「君の沙」
忘れるなんてできるかよ
君を思い出にしたくない
夏を目の前に散った
僕の知らぬ間に逝った
君に見せるために書いてた
詩や言の葉の数々も
今となっちゃ行く宛てのない
塵屑のようだ
雲に見え隠れする月が僕の影を揺らした
消えないように街灯を探して
真昼間を装っていた
どうかすべてを洗う砂時計よ
いまだけ全部停まれ
零れ落ちた君の砂粒を
できれば戻してくれよ
文字さえ書けりゃいいんだろ
報われなくてもいいんだろ
僕を変えてくれたのは君なんだ
もう全部終わりだ
このまま誰もいない夜の道へ
行くあてもない旅路へ
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