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2024年4月の記事一覧
【小説】一人十色 第1章「夢色透明」
吸ったことのない空気。見たことのない空。そして、私の知らない街。どこを見渡しても見覚えのある場所なんて一つもない。あるわけがないし、あってはいけない。わざわざそういう場所を探して引っ越してきたのだ。私は嫌だったけど、周りと上手く馴染めない一人娘を心配した父なりの行動なのだろう。
「彩葉、疲れたかい? もう着くから頑張って起きてるんだぞ」
「大丈夫だよ、お父さんこそ平気? ずっと運転してるけど
【小説】一人十色 プロローグ
みんなと違うことって、そんなに悪いことなのかな? 少なくとも、私の周りの人間は、私が普通じゃないことを許してくれなかった。そのせいで、運動も勉強も全部嫌いだった。ただ絵を描くことだけは好きで、将来は画家になろうと頑張っている。でも、周りはそれこそ普通じゃないと言う。それはなぜか、分かっている。私が普通じゃないことを決定づけることがあるからだ。それは、
ー色が見えることー