つき

つきっていいます。小説やシナリオを書いています。 毎週金曜日、21時に少しずつ小説を公開していきます。

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マガジン

  • あいすへるん血の池前店

    血の池地獄の前にひっそりと立つアイスクリーム屋 ここは【あいすへるん】 今日も亡者達は、遅すぎる最後の晩餐を求めやってくる。

  • 一人十色

    オリジナル小説、一人十色のまとめです。 毎週金曜日、21時に投稿予定。

最近の記事

【小説】あいすへるん血の池前店

≪ストロベリーアイス≫  暑い……、いや、熱いの間違いか。ただ立っているだけで肌がチリチリと焼けていく。だがそんなことは気にならない。あたりに散らばった手足も、付きまとう生臭さも、果ては止むことのない絶叫さえ。その全てがどうでも良くなってしまう。 「なんでこんなところにアイス屋があるんだよ」  確信はないがここはおそらく地獄と呼ばれる場所だろう。針山とか血の池あるし。罪を犯した人間にはぴったりの場所だ。そんな悪人の住居に似つかわしくないポップな看板と、笑顔を振り撒く店員

    • 創作小説「忘れてしまえ」

      「ねえ、じゃんけんしない?」  その言葉は唐突だった。放課後、私たち二人は教室に残っていた。提出期限が迫っている課題を終わらせるためだ。本来なら、帰ってから取り掛かってもなんら問題のないもにだ。問題ないから帰ろうとする私を、彼女は強引に引き止めた。どうやら、家だと集中できないらしい。でも、集中できないと言っておきながら、彼女は一向にペンを握ろうとしない。流石に少し注意した方がいいか。 「家じゃなきゃ、集中できるんじゃなかった?」 「そんなこと一言も言ってませーん。ね、ち

      • 【小説】一人十色 第5章「殺言観色」

        「行ってきまーす!」  朝が楽しみだと感じたのはいつ以来だろう。いや、そんなことどうだっていい。今が楽しいのなら、私は幸せだ。やっと見慣れてきた街並みが、今日は少し違って見える。どこを見ても美しいと感じてしまう。きっと、共感できる人と出会ったからだろう。今日はどんな話をしようか。  学校の近くまで行くと、同じ高校の生徒が増えてきて安心する。どうやら通学路はしっかり覚えられているようだ。胸の前で小さくガッツポーズを取っていると、前方から歩いてきた学生に声をかけられた。 「

        • 【小説】一人十色 第4章「某色蒼然」

           心地よい風が、鳥の歌声を運んでくる。鳴いてる鳥はどこにいるのかな。空を見上げて探そうにも、夕日が私の視界を眩ませる。でも、夕日が眩しいと感じるのは私だけみたいだ。これも病気のせいらしい。そんな、美しい夕日があまりにも眩しくて顔を逸らした時、目があった。教室で何度か目にした顔だ。確か名前は……。 「不知火君?」 「そうだけど、誰?」  驚いた。転校生とはいえ、今日一日一緒の空間で生活していたはずだ。なのに彼は、私を本当に初めてみたと言わんばかりに眉を顰めていた。 「ま

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        • あいすへるん血の池前店
          1本
        • 一人十色
          6本

        記事

          【小説】一人十色 第3章「目迷誤色」

           目が覚めた。眠い目を擦りながら時計を見ると、6時を少し過ぎたところだった。どうやら、早起きしてしまったようだ。いつもなら二度寝しているところだけど、今日に限ってはそれができない。なんともしても寝坊するわけにはいかないのだ。  とりあえず歯を磨いてから、キッチンに行き冷凍庫から食パンを取り出す。カチカチに凍った食パンを見て少し笑い、トースターへと放り込む。その流れでケトルの電源を入れしばらく待つ。  時間ができたのでテレビでも見ようかと思ったが、寝室で眠っている父を起こす

          【小説】一人十色 第3章「目迷誤色」

          【小説】一人十色 第2章「巧言玲色」

           この街に引っ越してきて1週間が経とうとしていた。最初こそ色々と困惑してしまい、自分は本当に上手くやっていけるのだろうか? そんなことばかりを考えていたが、人間とは面白いもので慣れてしまうのである。そして、慣れが来た後は、必ずと言っていいほど飽きが来る。ソファーに寝転がり、テレビのチャンネルをひたすら変え続ける。 「ザッピングの調子はどうだ? さあ、夕飯にしよう。ご飯よそってくれるかい?」 「うん、今行く」  テレビを消しキッチンに向かう。お味噌汁の良い匂いが食欲を掻き

          【小説】一人十色 第2章「巧言玲色」

          【小説】一人十色 第1章「夢色透明」

           吸ったことのない空気。見たことのない空。そして、私の知らない街。どこを見渡しても見覚えのある場所なんて一つもない。あるわけがないし、あってはいけない。わざわざそういう場所を探して引っ越してきたのだ。私は嫌だったけど、周りと上手く馴染めない一人娘を心配した父なりの行動なのだろう。 「彩葉、疲れたかい? もう着くから頑張って起きてるんだぞ」 「大丈夫だよ、お父さんこそ平気? ずっと運転してるけど」  私の質問を聞いて嬉しそうに笑う父。実の娘に気を遣われたことが可笑しかった

          【小説】一人十色 第1章「夢色透明」

          【小説】一人十色 プロローグ

           みんなと違うことって、そんなに悪いことなのかな? 少なくとも、私の周りの人間は、私が普通じゃないことを許してくれなかった。そのせいで、運動も勉強も全部嫌いだった。ただ絵を描くことだけは好きで、将来は画家になろうと頑張っている。でも、周りはそれこそ普通じゃないと言う。それはなぜか、分かっている。私が普通じゃないことを決定づけることがあるからだ。それは、 ー色が見えることー

          【小説】一人十色 プロローグ

          あいさつ

          初めましてのご挨拶〜。 皆様はじめまして、つきといいます。 小説を書いてます。紹介できるのはこれくらいです。趣味で書き溜めた作品をこちらで投稿して行けたらいいなと思ってます。 4/26(金曜日)から、週1回ペースで公開していく予定ですので皆様どうぞお楽しみください。 投稿する作品についてですが、初回ということで気合を入れたいので以前お仕事で書いた作品を投稿しようかなと。仕事で書いたと言っても結局ぽしゃって未公開になっているのでその辺りはご安心ください。 ではまた4/2

          あいさつ