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宇多田ヒカルと愛のうた

歌は、すごい。
最高の表現方法のひとつだと
しみじみ思う。

家族がひとり またひとりと増えてから、
宇多田ヒカルの歌が
以前より深く心に響いてくる。

*****

まず「花束をきみに」は、
亡くなったお母さんへの手紙らしい。


花束を君に贈ろう
愛しい人 愛しい人
どんな言葉並べても
君を讃えるには足りないから
今日は贈ろう 涙色の花束を君に


お母さんが亡くなるなんて
体がちぎれそうな痛みのなかだろうに、
優しい歌声で語りかけてくる。

わたしなら、詩を作っても
歌声にならないかもしれない。

そして
DESTINY 鎌倉ものがたりの主題歌
「あなた」 

何度聞かれようと
変わらない答えを
聞かせてあげたい

なんと言われようと
あなたの行く末を
案じてやまない

終わりのない苦しみを甘受し
Darling 旅を続けよう
あなた以外帰る場所は
天上天下 どこにもない

映画の内容に合った
夫婦の愛の歌だと思っていた。

しかし
あなた=旦那さんに向けた愛の歌
ではないと知った。

当時 3歳の息子さんに向けた歌らしい。

それを知ったとき、
ママ、ぼくのこと大好き?と何度もたずねる
小さな男の子と
大好きだよ、と繰り返し答える様子が浮かんだ。

「あなた以外に帰る場所は
天上天下 どこにもない」

息子とふたりで生きていく、
母としての強い決意が見える
究極のラブソングだ。

*****

同じく3歳の子どもが
助手席でうつらうつらしている。

スピーカーからは「あなた」が流れている。

基本的にいつも
ごきげんなママでいたわたしは
気付いてしまった。
母として、相当な苦しみのなかでないと
きっとこの詩は生まれてこない。

当時の彼女の心境に
想いを馳せ、
眺めた夜景はいつもより少しだけ
ぼんやりとしていた。













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