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何かを求めて

よどんだ空気。汗ばむ首すじ。暗澹とした気持ちを抱えたまま歩きだす。

何を求めているかもわからない。わからないけれど、確実に何かは求めている。どこへ向かうべきなのか。彷徨えど答えは見つからず。

なぜこんなにも重苦しい気持ちを抱えているのか。その理由さえわからずにいる。いや、それは正確ではないかもしれない。正確には「わかろうとしてこなかった」だろう。自分と向き合うことが、なにかとてつもなく恐ろしいことに思えていた。

気づけばまわりにいた仲間たちも、一人、また一人と消えていった。消えていくときの彼らの笑顔が忘れられない。その笑顔は、心底安堵したかのような、とても穏やかなものだった。一体いつになったら僕はその笑顔になれるのだろうか。たずねる相手ももはやいない。

僕は、僕という人間を知ろうとしてこなかった。ただ生きてさえいればいいと、むしろそれすらおざなりで、何度も止めてしまいたいと思っていた。

消えていった仲間たちは、きっと何かを手に入れたのだろう。そしてそれによってあの笑顔が産みだされたことはわかっている。けれどその肝心の何かはわからないままだ。今日も僕は「何か」を追い求めて彷徨いつづけている。

終わりは、まだ見えない。

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