日常

普通の、何気ない日常が、いまやとてつもなく貴重で尊いものになってしまった。

当たり前は、もはや当たり前ではなくなった。

メディアに踊らされ過ぎだと言う人もいるけれど、やはり今は考えずにはいられない。

わかっていても、目に入るニュースや、通勤電車に乗る人々の緊張感や、何も変化のない職場の勤務体制などが、私の心を疲弊させていく。

しかしこんな状況でも、花が咲き誇っていれば、その艶やかな美しさに感動するし、暖かな風が吹けば、思わず瞼を閉じてその心地よさに身を委ね、その風に運ばれてきた緑の青々とした香りに胸は高鳴るし、新緑に萌える木々が風にたなびいていれば、まるで木々が喜んでいるかのように思えて心は踊る。

私はこの感覚を失いたくない。

いまの状況は色々なものを受け取りすぎる私にはかなり辛い状況だけれど、これを乗り越え、再びこの世界の美しく儚い移り変わりを身体中で感じとりたい。

その日まで、私は、私に出来ることを、出来る限りやり続ける。ただそれのみだ。

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