見出し画像

猫抱く女子と見つめる男子


私はフィルムカメラで写真を撮ります。
特に大好きな人たちをファインダーに写し、シャッター音が手中で響く瞬間が愛おしいのです。

なぜ私は人を撮るのでしょうか、
その答えは川島小鳥さんの『明星』に詰まっている気がします。

彼が撮る人々は皆生きている。その生命を面白おかしく全うしている感じがするのです。

『明星』 著:川島小鳥

猫抱く女子と見つめる男子。
いくら見つめても2人を繋ぐハートの柵がどうなっているのかは、理解ができません。

決して着飾っている訳でも、構えている訳でもない、そんな彼らがいるだけなんです。
彼らの生きた表情があるが故にこの風景も特別になります。

それって当然なようで気づけない、凄いことに思います。カメラを持ち歩く先が旅行でなくても、映えなくても、近所の路地でもいいんです。

一緒に人がいて、その人が笑ってくれて、それだけで切り取る価値がある景色だと思えます。

私は写真で日々を記憶します。私が覚えていたいことは誰といつどこに行ったかではありません。

その時どんな感情だったか、
どれだけ意味のない会話をしていたか、
それらこそ抱きしめたい私の記憶です。


だから私は大好きな人達を、ぎゅっと撮りたいのです。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?