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「全国最中図鑑」56 伊達侯もなか (愛媛県宇和島市)
慶長19(1614)年、伊達政宗は徳川家康から「大坂冬の陣」への参戦の功績として伊予宇和島10万石を与えられた。政宗の長子・秀宗が別家としてこれを継ぎ、翌年宇和島城に入城して、宇和島藩が正式に誕生した。時が移り、明治維新の際、秀宗は大政奉還に功績があったとして侯爵に任ぜられている。
このことから秀宗公の風格をなぞらえて「伊達侯」と命名されたこのもなか、厳選した十勝産の小豆と氷砂糖を職人がじっくりと時間をかけて煮詰め、素朴だが上品な甘さに仕上がっている。皮は手焼きの極上加賀種。小ぶりの長立方体の皮が手にとって食べやすいフォルムだ。
殿様の名をいただいた菓子にふさわしく、風呂敷、黒化粧箱、杉箱など洗練された装いの包みで届けられるため、特に贈答などに喜ばれているという。
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百波
宇和島市中央町1-5-11
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日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途中で出会った最中のなかで、ユニークで忘れることのできないご当地最中を紹介していきます。