【日本全国写真紀行】22 栃木県那須郡那珂川町小砂
栃木県那須郡那珂川町小砂
森と樹々と水田と素朴な焼き物、郷愁をそそる美しい村
栃木県の北東、那珂川町の北部に位置する小砂地区は、本当に美しい村である。人口は約800人。総面積の64パーセントが森林で覆われた山間の村で、八つの小さな集落で構成されている。
とにかく絵になる風景が連続している村で、各集落を包む緑の濃淡がひたすら美しく、それが水田に光り輝きながら映る光景は、心のどこかに潜んでいる郷愁を呼び起こすのだろうか、いつまで見ていても見飽きない。日本の山里は、やはりどこの国よりも美しい、と改めて思う。
そんな風景が自慢の村、小砂は、もうひとつ「小砂焼」という独特の焼き物でも知られている。縄文土器が数多く出土している小砂は、平安時代にも須恵器を焼成するなど良質の陶土に恵まれていた。その陶土に、天保元(1830)年、水戸藩主で徳川慶喜の実父だった徳川斉昭が目をつけ、水戸藩の御用製陶所の原料として使い始めたのがそもそもの興り。その後、江戸期の嘉永四(1851)年に御用瀬戸の焼成に成功したことが、小砂焼の始まりだといわれている。
※『ふるさと再発見の旅 関東』産業編集センター/刊より一部抜粋
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