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バターチキン 【3】 食材と味の違い
インド食器屋「アジアハンター」の店主・小林真樹さんが、食器買い付けの旅や国内の専門店巡りで出会った美味しい料理、お店、そしてインドの食文化をご紹介します。
「バターチキン」というワードは、当時の私が主体的に記憶した最初のインド料理名だったかもしれない。今でこそコンビニの陳列棚はおろか学校給食の献立にすらなる時代だが、90年代初頭の日本においてバターチキンは、まだまったく一般化されていなかった。せっかく覚えた料理名を本場でも使ってみようと、現地のレストランのメニューで目にするたびに私はオーダーするようになった。
インド国内を食べ歩くにつれ、同じバターチキンとはいっても店や作り手によってかなり幅のあることがわかってきた。そしてそのいずれからも、日本のラージマハルで食べたようなハチミツの甘さや生クリームのコクは感じられなかった。この味の違いから、インド人の好みや特徴がかいま見えてくる。
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2024年12月13日(金)発売
『深遠なるインド料理の世界』小林真樹/著