ファルーダ【2】 ファルーダ流入の三つの流れ
前回紹介した通り、ファルーダは外来のインド料理である。その源流はペルシア(イラン)にあり、中でも東部の街シラーズが発祥だといわれる。イランのシラーズという街に私は今からちょうど30年前、1994年に一度だけバックパックを背負って旅したことがある。ただ当時は「ファルーデの街」としてのシラーズを知らず、せっかく滞在したのに一度も口にすることなく次の街へと移動してしまった。
このように、一つの旅の中で「あの時アレを食べておけば……」と後悔することは山のようにある。逆に「アレを食べていなければ……」などという後悔は不思議とない。仮にその後体調不良になったとしても、である。旅での食は正に一期一会。食べておくべきだった料理の存在を、その地を去ったあとに知ることほど悔しいものはない。
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2024年12月13日(金)発売
『深遠なるインド料理の世界』小林真樹/著