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【感想】地面師たち
今更ですが、Netflixで地面師たちを観ました。
地面師たちといえば、かの有名なピエール瀧さんの「もうええでしょう」ですよね。
これはネット記事で見かけたり、ハライチのターン!でも岩井さんが触れていて言葉だけ知っていました。
なんとなく観たいな〜と思いながらも重い腰が上がらず、気がつけば年末に。
年末年始観たい映画やドラマのリストに入れていたので、年末に思い切って一気見しました。
地面師たちを観ようと思った理由
話題になっている
「もうええでしょう」が何か知りたい
実際の事件をモデルにしている
7時間ぶっ通しで見られる時間が確保できそう
大根仁監督の作品好き
海に眠るダイヤモンドを見たので池田エライザちゃん熱が上がっている
Netflixで池田エライザちゃんが警察手帳を見せるシーンがサムネになっていて、気だるそうな表情なのに可愛さとかっこよさが両立されていて好き!
LOVEエライザ
全体的な感想
グロエロシーンもちらほらありますが、基本的にはとても見やすく、話も分かりやすく、尺もちょうどいいと感じました。ドラマの中弛みは結構辛いので、地面師サイド、警察サイド、企業サイドとテンポ良く進んでいくのはとてもよかったです。
*ここからネタバレを含みます。
冒頭〜最初の事件について
いきなり海外のシーンだったので、あれ?邦画じゃなかったっけ?と巻き戻してしまいましたが、ハリソン山中の大事なエクスタシーのシーンでした。失礼。
山の中で熊に襲われるというありきたりなシーンではあるものの、うっすら雪があるのも相まって、ゴールデンカムイじゃん!となり、あの熊はきっと冬ごもりし損ねて気が荒くなっている冬徘徊するものじゃん!と盛り上がっておりました。それにしても、死ぬかもしれないというギリギリのところにエクスタシーを感じるサイコパス山中(もはやハリソンより似合う気がする)を見ると、ゴールデンカムイの杉本がこんなことにエクスタシーを感じる人間でなくてよかったと深く思いました。(彼は彼でアドレナリン全開なので俺は不死身の杉本だ!などと宣っておりますが。大好きです。)
そして辻本拓海を地面師に勧誘するわけですが、辻本は自分を地獄に突き落としたやつと同じ職業(という名の犯罪)に就きたいかな?結局地面師になったけど何か魂胆があるのかな?と感じました。
最初の事件(島崎健一案件)はまず地面師たちがどのように仕事をしているかを見せていく部分。土地の売買のような場面に普段立ち会うことはないので、こういうやり取りがされているのかと勉強になりました。
後藤が取引先の人に島崎さんは気難しい人だからな〜みたいに言ってたけど、実際会ってみたらめちゃめちゃ腰低くて終始オドオドしてるじゃん!って思いそうだけど、これは仕事の説明部分なので仕方あるまい。(そしてきっと私の中の佐々木バイアスがかかっているんだ)
「もうええでしょう」について
前述した通り、「もうええでしょう」についての前情報があったにも関わらず、実際にピエール瀧さんが「もうええでしょう」と最初に言ったシーンで私はピンとこず、「あれ?」と思っていました。
なぜなら年末に地面師たちを見る頃には、私の中の前情報が改竄されていたからです。私の頭の中では勝手に生瀬勝久さんが「もうええでしょう」と言うと思い込んでおり、さらにはその使い方も、地面師たちが逮捕される時に警察官の生瀬さんから「(散々稼いだんだから)もうええでしょう」と言われるのかなと勝手な妄想を繰り広げていたのでした(警察官の生瀬さんって私の中で謙三一択)。
というわけで、人も意味も全然違うやないかい!
人間の記憶とはいい加減なものだなと改めて感じ、自らの妄想力に戸惑いを隠せません。
100億円事件の登場人物について
まず、企業サイド。青柳のキャラが濃いな〜。最初から飛ばしてきますね。一昔前の仕事スタイルでバリバリのパワハラ出世命男。「戦争やってんだよ、俺たちは!」が面白すぎて、そこからもうまんまとハマっちゃいましたね。俺たちは戦争をやっているからコンプライアンスは関係ないという理屈が超面白かったです。絶対に上司にしてはいけないですね。即異動希望出すか転職しましょう。部下が青柳の命令を録音しているのが賢いなと思いました。山本耕史さんがいい味出してました。
あと会社の派閥もあるよね〜となりました。会長派閥、社長派閥。
須永もよくキレるので見ていて楽しいやり取りはありませんでしたが、最後の方は本当に大丈夫か?とちょっと本気で心配してくれてそうな様子があったのにもちろん耳を貸さない青柳。会社の派閥やライバルというのが成功の足枷になるんだなと再確認しました。
川合菜摘の本人確認の際、自分の勤めている会社の創業年を覚えているのが愛社精神が強くてパワハラみをなぜか感じてよかったですね。どのシーンも謎の圧力とパワハラみを感じる非常に面白いキャラクターでした。ありがとうございました。
ホストの楓。最初は、ホストっぽいわ〜非常に分かりやすい典型的なホストだと感じてあまり好きではなかったです。海に眠るダイヤモンドのミカエル側の人間だ!と思いました。でも、脅されてからは従順になり、なんなら沖縄に詳しくないから川合から怪しまれるのではないかと心配したり(今思うと自己保身か)、しっかり立場を弁えた対応してるのがシュールで面白かったです。
警察サイド。
辰さんと倉持コンビ、とてもよかったですね。池田エライザちゃん、本当にかわいい。パンツスーツがかっこいい。ライダースジャケット?もかっこいい。バイクも乗りこなしていましたね。
最初の方、刑事ドラマに憧れている倉持が、上司のピンチに新人女警官が助けに行く!みたいな話を辰さんとしていたので、フリかなと思っていましたが、フリの甲斐なく辰さんがサイコパス山中に殺されてしまって辛くて辛くて、落ち込みました。その後、辰さんの自宅に倉持が訪ねていき、辰さんの奥さんが羽場理事官を嫌いと言うシーンは微笑ましく、そしてよくその選択をしてくれた!と心からガッツポーズでしたね。
そして辰さんを助けることはできなかったけれど、しっかり辻本の逮捕まで漕ぎ着けた倉持の力強さに感動でした。一人で調査して心細かったろうに。羽場理事官にチクられて倉持もサイコパス山中に見つかってしまうのではないかと不安だったので、最後まで生き延びてくれて本当によかったです。
地面師サイド。
とにかく竹下が何度も大声を出すので、ある意味サイコパス山中よりも怖かったです。どんどん金をせびってくるし、薬中だし。楓を容赦無く刺すのも怖かったですね。竹下の部下のオロチも非常に頭が悪くて、辻本がいつも普通の態度で接してるのがすごいなと逆に感心してしまいました。
手配屋の稲葉。一番面白かったのはやはり、旅館で谷口と息子の話をしている時、「どうせなら一番かわいい写真見てもらいたいな」と言いながら、「6歳 男の子 笑顔」って検索しているシーン。最高でした。笑ってしまいました。
法律屋の後藤は、ピエールさんがやるからあまりにもインパクト強すぎて、絶対この人この界隈で有名になって一発でバレるwと思いました。クセつよで面白かったです。
ニンベン師の長井だけは本当に癒しでした。本人の雰囲気だけでなく、猫たちがたくさんいて可愛かった。猫はサイコパスたちの中で唯一光り輝く生命体でした。
辻本とサイコパス山中は感情の起伏がなく、ただ淡々と過ぎていくので、安心してみていられる分、これがプロのサイコパスなんだな〜と思って怖くもなりました。
辻本は、最後に病室で、他人になりすまし、現実から逃げたかったのかもしれない、そんな犯罪にのめり込んでいったと言っていたのが切なかったです。人間は弱い生き物だなと。大切な家族を全て失って自分はもう死んだも同然だから何もかもどうでも良くなってしまった、自暴自棄な感じなんだろうな。地面師になった魂胆としては、地面師をしていたらいつか復讐もできるだろうしくらいの気持ちだったのかな。
しかし私は絶対に自分を貶めたやつと同じ人間になりたくないという気持ちが強いので、サイコパス山中に勧誘され、流されて地面師になるのではなく、どうやって自分で復讐したいあいつを探して復讐するか、を期待してしまっていました。辻本に関しては人間の弱さを描いた話でしたね。
サイコパス山中についてはもうエクスタシーとサイコパスということしか思い出せません。あとは「目的まであと一歩という時に、足を引っ張るのは敵ではなく必ず味方です」という言葉が印象に残りました。これは人間の欲深さによるものなのかなと思いました。味方をも意図も容易く殺してしまうサイコパス山中、名前に相応しい(本当はハリソン山中です)。
続編について
サイコパス山中が無事に生還してしまったシーンが描かれていましたね。wikiによると、
2024年7月、続編『地面師たち ファイナル・ベッツ』が集英社から刊行。海外に逃亡したハリソン山中が、シンガポールで新しい地面師詐欺チームを結成し、北海道・釧路での200億円不動産詐欺に挑む。
ということなので、また続編が制作されるのではないかと思いました。にしても額が増えとる!!
もし続編が制作されたら、また観たいと思います。