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プレッシャーを感じたあの日

「勝ってきなさい」

母にそういわれた。

ドキドキしながら土俵にあがる。

相手はあつしくん。

練習の時は、勝ったり負けたりだった。

負けたらどうしよう。

怒られるのかな?

勝敗よりもそのことが気になった。



喘息が治まった2歳半から預けられた。

4年保育。

年長の先生に可愛がられた。

お遊戯会の練習では

他の子の踊りまで丸覚えした。

いい子の見本だったかもしれない。


母は保護者会の会長だった。

母の代表挨拶で始まる運動会。

最後の見せ場の相撲で勝て

その圧力に体が萎縮しそうだった。

負けたら怒られる?

それとも、

お母さんが悲しむ?


園内に作られた小さな土俵に上がる。

園児と保護者が土俵周りを囲む。

母はどこかでみているはずだ。

園長先生の

「はっけよーい。のこったー!」

が響いた。

夢中であつしくんを押した。

彼が踏ん張る。

互いに肩をつかみ合う。

よろけそうになりながら

踏ん張った。


「押し出しぃー」

軍配が上がった。

母は喜んでくれるだろうか?

そのことだけが気になった。



あの日の写真がアルバムに残っている。
小さな体で感じた精神的プレッシャーを
今でも思い出せる。
褒めて伸ばすという考えがなかった時代。
あの頃の子供達が大人になった今、
人を褒めているだろうか?




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あっちん
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