モンテッソーリ教育の”制限”
家庭で、どうしても子どもに口うるさくなってしまい、反省することが多い。
モンテッソーリガイドの資格を取り、理論が分かっていても、実践することはそう容易いことではない…理論が分かってからがスタートラインで実践を積んでいく必要がある。
環境における制限
モンテッソーリ教育において、制限はかなり重要な要素である。
制限と言っても子どもをコントロールする様な制限ではなく、生活における共通の一貫性があるグランドルールである。
社会においても、
”信号が赤なら止まる”
など、全員が共通認識として持っているルールである。
各家庭・各クラスにおいても、
”外から家に帰ってきたらうがい手洗いを先ずやる”
など、全員が明示的な共通認識として持つのがグランドルールがある。
子どもをコントロールする制限(悪い例)
制限が大事と述べたが、悪い制限もある。
子どもを支配的にコントロールしようとする制限である。
”○○しないと、おやつはあげない。”
”帰らないなら、置いて行っちゃうからね。”
”○○しないと、鬼が来るよ。”
など、親がしてほしいことをしないと、子どもが嫌な目にあう制限によって子どもをコントロールする方法である。
人は心理的に、得することよりも何かを失うことを極端に嫌がる『損失回避バイアス』があるので、即効性の効果を期待できる。そのため、親は多用しがちだが、子どもは親の見ていない所で制限されたことをやり始めたり、従わなくなってくることが分かっているので、このような声掛けを子どもにすべきではない。
また、
”○○しないって言ったでしょ!”
”走らない!”
など、禁止事項だけ伝えて、どうすれば良いのかを伝えない制限も良くない例である。子どもは、ダメであるという事項だけを伝えられてもどうしたら良いか分からない。子どもはどうしたら良いかを知りたいのである。
良い制限の伝え方
グランドルールを守れていない場合は、必ず子どもに声をかける必要がある。一貫性が無くて、昨日は走り回っても何も言われなかったのに、今日は親の機嫌が悪くしつこく注意されるでは、子どもは混乱してしまう。
では、良い伝え方は何か?
”○○したら、おやつ食べようね。”
”じゃあ、○○したら今日は帰ることにしよう。良い?”
など子どもにグランドルールを思い出してもらったり、心理的な準備が出来る様に伝えることが大切である。
言うが易しで、こう言えば上手くいくのかと言うと、特に最初の頃は上手くいかない時も多い…しかし、根気と寛容な心と一貫性を持って、子どもに接することが大切である。
このために時間を十分確保しておかねばならない。親も声掛けのタイミングや根気強さなど相当な実践トレーニングが必要である。
また、
”走らない!”
の代わりに
”歩こうね”
など○○ないという否定の言葉から肯定文でどうするのが良いのかを話す様に心掛ける。肯定の言葉に置き換えるだけではなく、その場で実際に親がやり方を見せて、ロールプレイすることまで出来れば効果的である。
また、”待って!”の様に抽象度が高い言葉よりも”見ててね”や”離れて座っててね”と言った具体的なアクションを伝える方が良い。
道程は続く…
子どもに、1回や2回良い伝え方を実践してみても、すぐには上手くいかないことも多い。
多いと言うかそう簡単に効果は出ない。
”何度も言っているでしょ!”など怒らない様にしたいとは思っている…
そうは言っても、言ってしまうのが親側の課題なのである…親も同じなのだ。1回や2回反省しても、また言ってしまうのである。簡単ではない。
親も子どもをコントロールしようとしたり、怒ってしまったら反省して、一歩ずつ進んでいくしかない。
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