31:合鍵
昨日彼女の家に泊まった。
付き合って直ぐに、こんなに泊まるとは思わなかった。
いつも大変そうな君を見てると
手を貸したくなる。
でも君は拒否して、自分のためだと言う。
芯の強い、素敵な子だ。
昨日歯ブラシを貰った。
鏡の前とぼやけた視界。
2人並んで歯を磨く。
君の歯並びは世界一。
昨日合鍵を貰った。
よく来る僕に、コレッ。
と渡した。
僕はそれを自分のキーホルダーにつけた。
ふたつの鍵が
重なり、ぶつかり、寄り添っていた。
別れ、黄昏時の帰り道。
少し違う鍵の音色に
僕は少し笑った。