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光る白い壁、青い陽光。 偏光ガラスが色めいて、 今日も僕を照らしてる。 布団が背中にひっついて、 朝を恐れて眠れない。 管の数は日に増えて、 知らぬ薬を掘り込める。 小さな病院の一階に、 病に伏した女あり。 彼女に会いにエレベーター。 胸の高まり沈めつつ、 今日も偶然装って。 漆黒の重い廊下を忍足。 彼女は今日も起きていた。 すり足掠れる、カーテンと、 君の手をまた握っている。 明日は医者の胸借りて、 寸の出頭を迎え撃つ。 君に打ち明け、数
ずいぶんと久しぶりだな 呟いて、 もう会えないと思う 白露。 5年間、曖昧な時を 過ごした日、 君を忘るることもなしかな。 赤黒い西の空に 手を伸ばし、遠のく君を いまだに思わん。 あの匂い、幹線道路にコダマする、 タイヤの擦れる悲しさ共に。 真夜中に小さく泣いたあのセミは 今は違うが叫びたいとし。 走り出す、銀の改札、つゆ知らず 走るる僕はアテのない旅。 まだ遠い、至極便利な現代も、 あなたにもたれる、こともできずに。 角曲がり、走る君を
『おつかれー』 『またねー』 『なな、カラオケ行こうぜ』 『たりーな部活』 『監督さん、キレてるじゃん今日』 『あいっ!』 『こ、これは、超激レアですな』 『そうであります、非常に有用であります』 『へへへ』 『・・・』 『…ちょっと、なんとかいったらどうなの?』 『別に…』 『なんだよ、はっきり言えよ』 『・・・』 『もういい、帰ろうぜ』 『・・・』 『ほら、道草食ってないでさっさと帰れ』 『えー先生好きな人とかいるの?』 『馬鹿なこと聞
音に支配された梅雨の日。 僕の心は救われる。 コンクリートジャングルの喧騒から、 僕を救う。 自分の中のぐちゃぐちゃの世界に、 一つの波紋が浮かび、 音の広がりとともに、清めてくれる。 音が消える。 世界が白くなる。 その空間に静寂がやってくる。 美しい世界だ。 雨はこの世界を開くトリガーだ。
私には夢があります。 誰かが夢を叫ぶ。 私も僕も俺も。 皆が声をあげる。 自分にはない。 夢なんてない。 でも、何かを叫ばなければならない。 世界は目的を持った人生を肯定し、 行き当たりばったりの放浪を否定する。 外れた生き方だって。 それがどんなに素敵で楽しくても。 社会の尺度が嘲笑う。 だから自分は叫ぶ。 「私には夢があります。」 夢の安売りが今、始まる。