マーケティングトレース:Mr.CHEESECAKEが流行したのはなぜか?
さて、今回はマーケティングトレース第二弾で、『Mr.CHEESECAKE』をテーマに取り組ませていただきました!
まずは、2周年おめでとうございます!!
いつも購入しようとしても品切れなので、食べたことはございませんが。。
そうなんです、『Mr.CHEESECAKE』は数時間で売り切れる超人気商品で、「ミスチ」の略称で多くの人に認知されています。
今回は、この状態に到るまでの『Mr.CHEESECAKE』のマーケティング戦略をトレースしていこうと思います。
『Mr.CHEESECAKE』の概要
レストラン業界のことはよく知りませんが、田村さんは一流の道を歩んできた人であることは素人目でも調べても理解できました。
『Mr.CHEESECAKE』は、2018年12月にそんな田村 浩二(たむらこうじ)さんによって立ち上げられたブランド。
作ったチーズケーキをInstagramに投稿したところ、友人が食べてみたいと声をかけてくれたことが、『Mr.CHEESECAKE』始まりとのことです。
では、数あるチーズケーキの中でも『Mr.CHEESECAKE』は何が違うのか?
後に記載する内容にも関係してきますので、ここでは田村さんが込めている思いや考えを紹介できればと思います。
「世界一じゃなく、あなたの人生最高に。」
まずHPで飛び込んでくるのは、このキャッチコピー。もうパンチラインですね。
『Mr.CHEESECAKE』のようにスーッと入ってきます。(食べたくても食べられてませんが。。)
他にも印象的なのは、以下の文章。
僕たちはただおいしいものを作りたい訳ではありません。『おいしさ』で幸せのお手伝いがしたいのです。
『おいしい』のその先を常に見据え、ケーキが届いた後の体験をデザインしていることにとても感銘を受けました。
これ以上は僕の稚拙な表現だと薄っぺらくなるので、詳細はこちらのジャーナルからぜひ!
マーケティングトレースの前に:『Mr.CHEESECAKE』は、『想い』で広がった商品!?
「これだけ有名になった背景には、緻密なPR・マーケティング戦略があるだろう!!」
と思ってたのですが、良い意味で裏切られました。笑
たぶん、田村さんは良い意味で緻密にマーケティングを行なっていたわけではないと思っています。
田村さんが作ったチーズケーキ、そのチーズケーキに対する田村さんの思い、チーズケーキが手元に届いた時の体験、田村さん自身の考え、それらに賛同した人がファンとなりチームとなり自然に広まったのが、『Mr.CHEESECAKE』と解釈しています。
もちろん根幹には、『Mr.CHEESECAKE』を広げていきたいという思いはあったと思いますが、実際に広告費を使っていないのと、以下のように田村さん自身も発言していることから、上記のように解釈しました。
『流行りや売れそうといったものでつくられたものでは深みがない。』
『1つだけやったことが、プレスリリース。
その1件のリリースだけで300媒体に取材を頂いた。
そこから広告費0で2000媒体に拡散。ブームにのった。』
「マーケティングトレースやる意味ないのでは?」と思ったのですが、勉強になることが多かったので、着手することにしました。
では、前置き長くなりましたがマーケティングトレース開始!
Mr.CHEESECAKEのマーケティングトレース:PEST分析
まずは、PEST分析でお菓子業界についてみてみました。
特筆すべきは以下かなと。
チーズを使った製品は大手コンビニの参入、駅ナカに店舗を構えるBake、チーズタルト専門店PABLOなど、多くの競合がひしめくレッドオーシャン。
その中でも、『Mr.CHEESECAKE』は、以下の2点で差別化されていると考察。
Mr.CHEESECAKEのマーケティングトレース:5Force分析
次に、5Force分析。
図のように参入障壁は低く、競争は過激化している中で、『Mr.CHEESECAKE』はどのような強みを持ち立ち位置をとっているのか。
先ほど、「D2Cモデル」による販売と「数量限定」の差別化を行なっている点が強みだと記載しましたが、他のチーズケーキ商品も同じような形式をとることは容易です。
しかし、マネしたくても模倣できない点が、『Mr.CHEESECAKE』にはあります。
例え『Mr.CHEESECAKE』の味を模倣できたとしても、田村さんの想いが込められたブランドとプロダクトはどこにも真似できないですし、代替品として機能することは考えづらいです。
では、そんな『Mr.CHEESECAKE』ですが、どのようなマーケティング戦略に落とし込めるのか。
Mr.CHEESECAKEのマーケティングトレース:4P分析
productに関しては、一流シェフ田村さんが素材にもこだわり、研究を重ねていることは言うまでもなく、想いをのせた商品で得ることは先に示した通りです。
また、企画からinstagramでのスタートをしていることからも、ミニマムスタートから改善を繰り返してきたのではないかと推測。
その上で、『Mr.CHEESECAKE』の4Pで着目すべきはPR施策です。
『Mr.CHEESECAKE』のPromotion
『Mr.CHEESECAKE』のプロモーションで着目すべきは、『口コミ』と『ファンづくり』、『ユーザーコミュニケーション』だと考えております。
そして、『Mr.CHEESECAKE』のプロモーションは3つのフェーズに分けられるかと。
まず、チャネルとしては、以下にまとめました。
第一フェーズ:「口コミ創出」と「ファン増加」の基盤づくり
初期フェーズでは、Instagram上で口コミを創出する、『UDSSAS』の循環が起きていたことがキーポイント。
#mrcheesecakeや #ミスターチーズケーキとInstagram上で検索してもらえればわかるが、遡るのを途中で諦めるくらいのUGCが発生している。
また他のチャネルやインタビューを遡っていくと、チーズケーキが流行ったトリガーはTwitterのようで、田村さんの以下のツイートがバズったこと起因のよう。
しかし、それはほんの点での出来事にすぎず、『Mr.CHEESECAKE』のチャネル原点は田村さん本人のInstagram。
以下の投稿は、田村さんが『Mr.CHEESECAKE』を完成させた時の投稿。
(2018年4月6日)
Instagramを通して『Mr.CHEESECAKE』を販売し、口コミを通して色々な方から注文を受けていたようです。
1ヶ月後にはこんな投稿もされ始め、『Mr.CHEESECAKE』のUGCが発生し始めています。(以下の投稿は田村さんによるリポスト)
そこからは、『HOTEL SHE』を手がけている龍崎さん、はあちゅうサロン、レシピ本の出版など、『Mr.CHEESECAKE』だけでなく田村さんのことを知る人が指数関数的に増えて行った形です。
数量限定だったことも、結果的に注目を集めるトリガーになっていたとも思います。
そして、来たる2019年5月、『Mr.CHEESECAKE』はクラウドファンディングを行います。
第二フェーズ:『認知の拡大』と『ファンの爆増』
結果は以下の通り。
群を抜いた金額を叩き出し、『認知の拡大』と『ファン増加』をすることに成功しています。
以下Googleトレンドのデータを見れば振れ幅がわかるかと。
このクラウドファンディングが起爆剤となり、検索エンジンやSNSによってさらなる認知拡大を実現しました。
この時点で、Instagram上での『UDSSAS』だけでなく、Twitterでも『ULSASS』の循環ができています。(投稿が多すぎて遡るの大変でした。笑)
12月はピスタチオ&ストロベリーの『Mr.CHEESECAKE』が発売、3月はForbesに取り上げられていることもあり検索数が増えていると推測。
また、SNSで拡散されていく上で、チーズケーキだけに絞っていることで、口コミが分散しないこともまた一つの成功要因と言えそうです。
第三フェーズ:『オンラインショップの開始』と『POP UPストアの出店』
すでにこの時点で、堅実なマーケティング基盤を整えているので、オンラインショップはまあ成功するでしょう。笑
クラファンの資金で設備投資を行い、生産量を増やせたこともあり、Baseを使ってオンラインショップを展開しています。
しかし、単にEC展開をしただけではありません。
まず一つ、Journalを通してブランドストーリー、プロダクトストーリー両方を伝えていること。
『世界一じゃなく、あなたの人生最高に。』
2回目ですが、このキャッチコピー大好きです。
あと、Line@に登録してもらうことで、常にファンにアプローチできる状態にもしていて、確実にリピート率に大きな影響を与えるであろうCRM施策でしょう。
また、2019年9月11日(水)〜9月17(火)の7日間、伊勢丹新宿店本館地下1階フードコレクションで期間限定のPOP UPストアをオープンしています。
オフラインイベントで、新規なお客さんに食べてらもうこともそうですが、日頃から応援しているファンの人との接点も作っています。
あと、ユーザーとのコミュニケーションで良いなと思ったのが以下の投稿。
フォロワーを巻き込んで商品を決めるのって、フォロワー的にも嬉しいし、エンゲージメントも高まる施策で、ユーザーコミュニケーションのお手本だなと思いました!
以上のように、『Mr.CHEESECAKE』は過激な競争の中でも、「想起集合」にポジションを取ることに成功していると言えるでしょう。
これからさらに『Mr.CHEESECAKE』を広めていく上で、「想起集合」の中でも一番最初に思い出してもらえる、「第一位選択」のポジションをいかに取るかが勝負の鍵になるかなと思っています。
ただ、山賀琴子さんや、玉城ティナさんと行った著名人にもTwitterやInstagramで取り上げられていて、中身が伴わないことの多い単なるインフルエンサーマーケティングではなく、一人のファンとしてインフルエンサーがUGCを生み出しているのを見るに、『Mr.CHEESECAKE』の口コミによる伝播はしばらく止まらなそうですし、チーズケーキといえば『Mr.CHEESECAKE』という「第一位選択」のポジションも自然と取れてしまうのではないかなーと思わされます。笑
終わりに
なんか色々と書いてきましたが、後付けでしかなくて、根本にある田村さんの熱や思想、『Mr.CHEESECAKE』による体験が自然と広まっただけだと思います。
4Pの「Product」において田村さんが『Mr.CHEESECAKE』に全力を注いだことで、多くの人を巻き込めた結果、
『良いモノは勝手に広まるし売れる』。
プラットフォームやテクニックに依存せず、このことを体現した田村さんと『Mr.CHEESECAKE』は本当にすごい。
思わず長文になりましたし、『Mr.CHEESECAKE』と田村さんのファンになりました。笑
次こそは買うぞおおおおお。
良ければTwitterもフォローしてくださいー!
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宣伝 ※ここからは完全私情です。
僕の仲の良い先輩が『okoshiya』というおこし屋さんをやっています。
そして僕も手伝っており、これから色々仕掛けていく段階です。
「なんでOkoshiyaをやっているのか?」、「そもそもおこしって何?」、すぐ読み終わるのでぜひご覧いただけると嬉しいです。
そして想像以上に美味しいのでよければ!(オススメはメープルとブラックペッパーです。笑)
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!
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