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【感想】「虎に翼」第10話で、ただただ涙が止まらなかった

今期のNHK朝ドラ「虎に翼」。まだ始まって2週間だが、本当に面白いし、泣ける・・・!もはや心のデトックス効果があるのではないかと思うほど、泣ける。ドラマへの感情移入がきっかけだが、自分の私情も相まって止まることなく泣いている。

※第10話のネタバレが含まれるため、ご注意ください。

女性の権利が圧倒的に今よりも制限されていた時代、道なき道を切り開いていく、「地獄の道」への第一歩を踏み出した主人公の寅子たち明律大学女子部法科。

第10話では、取り戻すことは無理だと思われた物品返還請求裁判の判決で、妻が着物を取り戻すことが認められ、傍聴席にいた女子部一同にとっても今後進む道に、希望の光が差す展開となった。良心はあると。正義はあると。

第10話を見終わって涙が止まらなくなった。それは着物を取り戻すことが認められたからではない(それももちろん大変素晴らしいことだが)。最後のナレーションのフレーズにひどく心を揺さぶられたからだ。

「寅子はまだわかっていませんでした。自分がいかに恵まれた場所で生まれ育ったのか」

裁判傍聴の後、寅子は家に帰り母と義姉(親友)に今後の抱負を語る。一方、同級生のよねは歓楽街のカフェー(現代でいうカフェと同じものではない)で働く。さまざまな男性客に仕える女給さんたちを横目に見ながら。

寅子は家もそれなりに裕福で、自分のまっすぐな思いが挫かれることなく受け止めてもらえる家庭環境だ。不当なことや不公平なことに対してはっきりそうだと言えるのは、今まで正義を信じられる環境で育ち、今まで自分の「属性」だけで本当に不当な環境に置かれたことがないからだ。

もちろん、女性だから〇〇しなければならないなどの社会的圧力には既に直面しているのだが、例えば法律上「無能力者」扱いになるなどのレベルではまだないだろう。

「虎に翼」は女性の権利向上に向けた闘いの話だ。私はこれとは全く別の問題で、抑圧され闘ってこなければならなかったので、無意識に自分を重ねて見てしまった。

私は自分が闘ってきた問題について、一人の人間として納得することができない。けれど、私が闘えること、声を上げられることは、私自身の恵まれた環境の結果だと、最後のナレーションに慰めてもらった気がしたのだ。

いつも抑圧され、理不尽ばかりが押し付けられる環境にいたのなら、既にそれを押し返す気力も、能力も奪い取られていることだろう。そして、闘いの環境下で実際私は抑圧され、理不尽ばかりが押し付けられていたのだから、本当にあやうく気力も能力も失いそうになった。

本当につらかった。なんでこんな思いをしなければならないんだろう。なんでこんな理不尽がまかり通る環境があるんだろうって。

だけど、このナレーションで「つらいけど、あなたが理不尽をそうであると感じ振舞えること、闘えること、それはあなたのこれまでの環境があなたに与えてくれたギフトゆえなんだよ」って慰めてもらったような気がして、本当に涙が止まらなかった。闘ってきた自分を思って。気力や能力を奪われてしまった人たちを思って。

「虎に翼」今後も心のデトックスとして、ティッシュ箱片手に見ていきたい。


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