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おいしい小説~キャセロールとプティ•フール~
よくわからない料理名をタイトルにしてしまいましたがどちらもめちゃくちゃ美味しそうな料理です。
今日はご飯の解説も交えながら料理小説を二冊ほど。
マカン•マラン23時の夜食カフェ
古内一絵
商店街を入った路地裏に深夜にだけひっそりと営業しているカフェ、それが「マカン•マラン」。
店主は元エリートサラリーマンにして、今はド派手なドラファグクイーンのシャールさん。
ここには様々な悩みを抱える人が集まってくる—-
「どうか忘れないで。あなたはも私も、
決して一人じゃないのよ。」
マカン•マラン公式サイトより
悩める人にシャールさんのお手製の料理と温かい言葉が寄り添ってくれます。いろんなものを背負いながら生きてきたシャールさんの言葉は深く、温かく心に響いてきます。読み終えるのが寂しくなってしまうぐらいあったかい小説でした。四巻まで続いているそうなので絶対読もう。
本のはなし#2で書いた「十六夜荘ノート」と同じ古内一絵さんが書いています。
ドラファグクイーンが出てきたり、ドビュッシーの「月の光」という曲が話題に上ったり、エンパイアホームという不動産会社がアパートの立ち退きを強要したり、と似ているシーンがいくつもあって、なんとなくですが古内さんの好みだったり、書きたいことが見える気がしました。あくまで個人的な想像でしかないんですが。
話の中にキャセロールという料理が出てきてとても美味しそうでした。キャセロールとはどんな料理なのかというと、北米の家庭料理です。見た目はグラタンに似てる。ただキャセロールは煮込み料理なんだそうです。
味の方は私も食べたことないのでわからないですが小説のキャセロールは
焦げたチーズをスプーンで突くと、とろとろに煮込まれたキャベツや玉葱やじゃが芋が、中から顔をのぞかせた。(中略)春野菜の優しい甘みが口いっぱいに広がり、塔子は思わずうっとりする。
上にかかっているのはモッツァレラチーズだろうか。あっさりとしていて塩気が薄く、それでいてもっちりとした舌触りにコクがある。
—— 古内一絵 「マカン•マラン」より抜粋
と言った感じ。
読んでるだけでも美味しそうですよね。
いつか食べてみたいなぁ。
※写真はWikipediaより
西洋菓子店 プティ•フール 千早茜
下町のレトロな、地元に人に愛されている西洋菓子店のお話です。こちらは恋とか愛に悩む人々が出てきます。もちろんお菓子の甘い部分も書かれているけど、結構人間の薄暗い感じとか危ういところを書いていて、割と現実的な感じ。
「お前の作る菓子はときどき苦かったり、酸っぱかったり、複雑だよな。」
— 千早茜「西洋菓子店 プティ•フール」より抜粋
まさにそんな感じの小説。
こちらも様々なフランスのお菓子が出てきておいしそうでした。未知のケーキがいっぱいでなんか勉強になった。小説の題名であり、店名のプティ•フールとはどんなお菓子なのかというと小さい一口サイズのケーキの詰め合わせ的な感じです。
小さいのに凝っていて美しい。宝石みたいな感じですね。一度に何種類も食べられるなんて贅沢だなぁ。
※写真は家庭画報より
今日は 「マカン•マラン 二十三時の夜食カフェ」
古内一絵
「西洋菓子店 プティ•フール」
千早茜
でした。
ではまた。