名は体を表す。芝居は人生を表す。
今年も新年が訪れ、新しい風が世の中を駆け抜けています。
私はありがたいことに年末年始とお仕事を頂き、
日々、創作と向き合うことが出来ています。
今、携わっている舞台は久しぶりのストレートプレイ
エンタメというより、「お芝居」という音が似合う作品です。
ひと言の台詞を追求して何度も何度もリテイクしていく作業
とても息が詰まりますが、クリエイターとしては最高にワクワクする瞬間です。
芝居、こと恋愛ものにおいて
多くの人が共感できるであろう「葛藤」が随所にちりばめられることがしばしばあります。
こういったシーンのお稽古に立ち会うと、興味深い発見があります。
俳優その人がどんな恋愛をしてきたのか。どう相手に見られたいのか
これが手に取るようにわかるのです。
「この人は甘えるのが上手だな」
「この人はこうやって多くの人を泣かせてきたのだろう」
毎回ほほえましく見守ります。そしてその一つひとつがどこか納得できてしまうのです。
これが俳優の魅力につながるのだと思います。
「芸の肥やし」という表現はもう時代錯誤でありますが
人として生きてきた積み重ねでしか表現者としての自己は確立できません。
そのままの経験をしなければいけない、ということではありません。
そうでないと、殺人者役の俳優は前科者になってしまいます。
嬉しいこと、悲しいこと、恥をかいたこと、後悔したこと。
そして人を愛したり、裏切られたりする経験は、財産に他ならないのです。
これは、役者だけに言えることではありません。
人生で大失恋をした折、
その瞬間は苦しくてたまらない気持ちで溢れますが、
この経験があってこそ、人に思いやりを持てたり、
自分に向き合うことが出来たりなんてことがあります。
これが「若い時の苦労は買ってでもしろ」という言葉なのかもしれません
何より、これが自分を強くする
と思える心持が誰よりも自分の支えになるのです。
人生は発見の連続です。自己からも他者からも、沢山のものを吸収していきたいですね。
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