機械商社のしごと
現役機械商社マンのモノシルです。
商社のお仕事はCMや各社の採用動画でカッコよく作られていますが、実際は地味できつい仕事が多いです。
一方で、多くの取引先と交流を持ち、顧客に合わせた商材を選択できる非常にやりがいに溢れた職種だと感じています。
機械商社って何をしているの?と聞かれることも多く、自身の体験も交えて仕事内容を簡単にお伝えしたいと思い記事を書きました。
もし時間があれば読んでみてください。
自己紹介
・大学は電気工学専攻。
・自社製品だけでなく幅広い商材提案ができる商社に魅力を感じ、
国内外で20拠点を超え、取引先は1000社以上の機械商社に入社。
・入社当初は英語も喋れずTOEICも300点台。
・入社1~2年目は営業ではなく制御系の開発。
・3年目以降は国内外への装置輸出入~納入、立上げなどを経験。
・現在は新規事業の推進を兼務。
機械商社ってどんなイメージですか?
私は最初こんな先入観を持って入社しました。
確りと企業研究や業界研究をして、先輩社員に凸って聞くべきでした。
1.海外企業と英語ペラペラでハードな交渉をまとめる
2.キレイなスーツを身にまとい高級ビルに勤務する
3.誰とでも会話出来るコミュニケーション力を持つ
残念ながら全て幻想でした。笑
実際はこんな感じです。
1.実際、海外に行ける方はごく一部。
まず国内で実績を出し上司や会社に認められる必要があります。
英語が出来る"だけ"の人は社内に沢山います。
英語は"手段"であり、そもそも自分がビジネスマンとして"何を生み出せるのか"が問われます。
2.きれいな高級ビルに毎日通勤するのは一部の機械商社であり、かつ管理部門(経理や法務など)だけかなと。
機械商社の顧客は工場です。工場は地方にあるのでそもそも最前線でビジネスをする営業マンは田んぼに囲まれた地方勤務が多いです。外出が主ですし機械商社はお客様が工場なのでピカピカなスーツを着ている人は少ないです。
むしろ作業着を着ている営業マンの方が技術知識に明るいことが多く信頼されます。
3.メーカーや他の職種に比べたら多い方かもしれません。
しかしコミュニケーション力は必須ではありませんし実際に高度な技術知識と経験でお客様の信頼を勝ち取り商売につなげる方も多くいます。
製造業における機械商社の役割
元々は仲介業がメインの業種ですがインターネットの普及で商品が簡単に手に入るようになりました。
ただの仲介取引では付加価値は低く、機械商社に高い専門性やシステムインテグレータとしての役割を求められています。
・メーカーの営業代行
・商材プロデュース(市場調査、企画、広告、物流サービスなど)
・最新技術の商材提案
・在庫確保
・ファイナンス(為替変動リスクや売掛金回収リスク)
・海外取引先への輸出入代行
機械商社に入社して感じたメリット
1.選択肢は一つじゃない。
技術は日進月歩で進化し栄枯盛衰が激しい。
今日の最適解が明日の最適解とは言えない。
自社で製品を作らない分、顧客への最適提案を日々模索し提案活動に活かすことが出来る。
2.取引先との繋がりが多い。
多種多様の工場を見学でき、身の回りの商品がどのようにして作られているかを知れるのは楽しい。
また月毎や半期毎に取引先(顧客も仕入先も)の貸借対照表の内容を鑑みて取引限度額を決定するため、そのプロセス上で取引先の経営状況や売掛金回収に対する意識が磨かれる。
3.価値提供に対する意識が強くなる。
取引先(顧客、仕入先)に対して「この商売でどのような価値提供が出来るのか?」を日々考える。
その意識が低いとただの横流し商社マンとなり「MISUMIでも買えますが御社から買うメリットは?」と言われてしまう。
付加価値は、「商社で在庫を持つ」ことなのか、「ファイナンス」なのか、など顧客に合わせた付加価値の付け方をよく考える。
一方でメーカー営業マンは自社製品の提案活動のため「自社の付加価値は?」という意識が高くなく、他社比較や自社の製品説明がメインの営業マンが多い印象。
機械商社に入社して感じたデメリット
1.基本、仕入先ありきの商売。
設計も製作も社内で完結できない。納入後の不具合対応も取引先任せになりがち。
「任せる文化」が良くも悪くも染み付いてしまう。
2.プロフェッショナルな技術力が身につきづらい
そもそも営業職志望の新入社員や中途社員が多く、技術的会話が苦手な人が多い印象です。
また多種多様な商材を一人で取扱うため「浅く広く」になりがちです。
ただ顧客は設計や生産技術部の方々であり、技術的観点からの提案は不可欠ですし顧客側も「この営業担当、知ってるな」となれば信頼も厚くなります。
もちろん少数ではありますがプロフェッショナルもいます。
ただその方々は現場で取引先に怒られながら改善を繰り返し成長したケースが多く、知識や経験はあくまで血肉となり染み付いており体系化されていないため部下への教育が難しいです。
近年は商社にも高い専門性が求められ、技術職経験者を重宝する傾向があります。
3.世間のイメージがあまり良くない笑
「ピンハネ商社」とか「関所」とかよく言われます。笑
それでも自分に強い芯やモットーがあれば関係ありません。
仕事に対する愚直な姿勢と誠意、提案力があれば認めてもらえます。
機械商社に向いている人
個人的に「こんな人と一緒に働きたいな~」と思います。
・前向きでポジティブな人
・顧客の課題を心底から解決したいと思い昼夜考えられる人
・技術が好きな人
・好奇心が旺盛な人
・人と話すのが好きな人
・タフな人
今後したいこと
日々多くの異なる品種の取引先と面談する中で、
「この会社は本当に素晴らしい技術を持っている」と思うことが多々あります。
一方で「もっとSNSやWebを活用したマーケティングを取り入れればよいのに」や「訴求点はそこじゃない、説明資料の訴求力も弱いな。」といった営業力の弱さを感じることも多いです。
製造業において必要なのは "マッチング" だと思います。
自身の培った知識・経験・人脈を活かし、営業力が弱い取引先の商材プロデュースを行っていきたいと思っています。
商材や企業同士の組合せ次第で大きく成長する企業が沢山あります。
最後に
最後までお読みくださりありがとうございました。
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