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パスポートに先を越された変化と成長の話
気づけばパスポートの有効期限が近い。
もう10年か。
SFの舞台にしか思えなかった年度が、とうとうリアルにきてしまった。
せっかくなので、ちょっぴり電脳化の気分で領事館へ。
近所を通る度、密かにその煌びやかさを貶していた己の所業のせいか、初めてくぐる分厚い二重の鉄扉には日常とは少し違う味の緊張感が漂う。
館内は広々としている割には職員が少ない様子で、パスポート担当が一人にビザ担当が一人。
久々の母国語を発して尋ねたところ、こりゃまあ初っ端から大失敗らしい。
外部で撮ってきたパスポート用写真は使えないみたいだ。
白い背景の新しい顔写真を手にして窓口に向かうも、待っているのは今度こそマスクでも隠し切れない驚きである。
1ヶ月半もかかる!?!!?
1ヶ月半もして受け取ると、予想だにしなかった驚きの続編が。
其方ずいぶんと面構えが変わり果てたではないか。
深緑&ゴールドの表紙は紺色&シルバーになり、書体も新しい。
中身は更にドラスティックに変わり、どうやら顔写真ページはポリカーボネート製にレーザーで印刷されている模様。
この著しいアップデートに戸惑いを禁じ得ない私が、必死に我を保つ。
終にパスポートにまで追い抜かれてしまったか。
この10年、私は何が変わったか。
身に余るご縁にたくさん巡り合えたことは間違いないと思うが、当の私自身は大きくバージョンアップできた実感があまりない。
今こそ自分を奮い立たせ、一心不乱に自分の道を行きたい気持ちは山々だが、長い歳月の間凝り固まった外皮から無事脱皮できるだろうか。
未来永劫「やるぞー&やーめた」の呪縛に縛られることへの恐怖が近頃すこし勝ってきたので、パスポートに負けた鬱憤を晴らすがてら、頑張ってみようと思う。