2020-21
30日の夜に高台では少し雪が降ったらしい。朝足を止めた公園の東屋から、そこだけ雨みたいに雪解けが落ちていた。鳥が揃って鳴いて、脚立に乗って凍った車を流している人がいて、用のなさそうな人たちとすれ違って、それは無標な、でもどこか作り話のような休日のひとつだった。
年内最後のごみの日は、資源ゴミの地域もあれば可燃ゴミの地域もある。ゴミ捨て場に初めて視線を奪われたのはいつだっただろうか。人々の無意識の共同作業として積み上げられた物体、それぞれが切り離すことにして、きっちりと同じ単位の大きさでくるまれた塊が光を受けている様を、逆説的にでも批評的にでもなく美しいと思う。
1月1日も何曜日かであることに、毎年ある程度驚く。今年は金曜日だった。初詣は2日に、それなりに登ったところにある小さな神社に行った。ガラガラは取り外されていて、色々なことを、祈るというよりは噛みしめるように心の中で唱えた。500円玉しかなくて、お釣りをもらって引いたおみくじは大吉だった。山の上から見る街も、みんなが置いていくものも、いつもどおり。ただ、駅にあるアルバイト情報誌の空いたラックに置かれて少しずつ増えていたコンタクトレンズの殻は、2日には無くなっていた。
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