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海外EC統括EMに聞いた、メンバーがチャレンジするための環境づくりと、海外・中国事業立ち上げ、閉鎖から学んだこと

※本記事の内容は取材時のものであり、組織名や役職等は取材時点のものを掲載しております。

モノタロウでは国内事業だけでなく、海外事業も積極的に展開しています。海外事業では、その国や地域の環境に合わせた施策を少人数でスピーディーに取り組んでいます。その一人が2001年に新卒でエンジニアとして入社し、現在海外EC統括グループ長を務める古畑さんです。海外EC統括グループのミッションやグループ長として意識していること、海外事業の魅力などを聞きました。

マネジメントで意識する2種類のチャレンジ

ーーこれまでの経歴について教えてください。

2001年に新卒でモノタロウに入社し、ITシステム部に配属。ベンダー開発によるパッケージシステムからPythonやVisual Basicを使った内製システムに切り替えるプロジェクトに関わり、顧客情報管理システムやECサイトなどをPythonで一から構築する業務を行っていました。右も左も分からない中、必死にコードを書いていましたね。

2008年にはマーケティング部に移籍。当時、システムエンジニアのマーケティング部への異動はかなり衝撃的でしたね。施策の導入をスピーディーに行うために、システムが分かる人をマーケティング部に入れるという試みでした。

それまで「エンジニアで生きていくんだ」と考えていた自分にとって、マーケティング視点で物事を考えるという、新しい頭の使い方を学ぶいいきっかけとなりました。現在はシステムエンジニアリングとマーケティングの2つのスキルを組み合わせて仕事をしているので、マーケティング部での経験は自分のキャリアにとって、大きなターニングポイントだといえます。

2010年からは海外事業を担当するようになりました。親会社Graingerと共同での新会社設立プロジェクトを皮切りに、東南アジア向けの越境ECサイトの立ち上げにも参画し、その後、韓国や中国の子会社立ち上げプロジェクトにも参加しました。

中国の子会社立ち上げプロジェクトを行っている2018年に、海外事業部門が新設されることに。中国滞在中に辞令を受け取り、海外EC統括グループ長になりました。

ーー海外EC統括グループでは、どんなことに取り組んでいるのでしょうか?

海外EC統括グループのミッションは主に2つです。1つめは、越境ECサイトを通じ、東南アジア方面のお客様の間接資材の調達に寄与すること。国が違えばお客様が抱えている課題も違い、結果、ECサイトに必要なサービス、機能も細かく変わってきます。お客様に直接インタビューなどさせて頂き、現地ならではの困りごとについて理解した上で新たなサービス、機能開発を行っています。

モノタロウの越境ECサイト(monotaro.sg)

越境ECサイト開発について詳しい情報はこちら!

2つめは、海外子会社のECサイト開発支援です。国は違えど本社、海外子会社ともに「間接資材のオンライン通販」を行っているというビジネス自体は同じですので、様々な知見の共有が可能です。
私のグループでも定期的に海外子会社の開発チームとコンタクトを取っており、お互いの課題、成功事例の共有はもちろん、必要があれば合同プロジェクトを立ち上げ、一緒のチームとして開発を行う事もあります。

ーーメンバーが成長する環境を作るために、グループ長としてどんなことを行いましたか?

2021年1月に、グループ内に6つのチームを編成。 UI/UX、SEO、セキュリティなどECサイトで取り組むべき分野6つを定義し、各チームにその領域の開発を任せるようにしました。

チーム分けは自主性を重んじ、それぞれの希望を聞いたうえで行いました。各自がメインで取り組むチームとサブで携わるチームがあり、1人あたり2〜3チームに所属しています。

チームを作る前は、各メンバーに対し個別にプロジェクトを割り振っていくスタイルでした。このスタイルだと、プロジェクトからプロジェクトに渡り歩くことになってしまい、各メンバーが腰を据えて特定分野に関する自身の専門性を上げるということが難しかったです。
チームを編成したことによって、目先の案件だけにとらわれずに、越境ECサイトの商品検索はどうあるべきかや、今のユーザーに適したレコメンデーションは何かといった、もう少し大きな視野で物事を捉えられるようになってきていると思います。

ーーチーム編成以外に、意識していることはありますか?

チャレンジする環境を作ることを大切にしています。チャレンジには自発的なチャレンジと、上司から言われてやるような強制的なチャレンジの2種類があると思っています。

まずは「良いと思ったことは何でも自由にやっていいよ」というメッセージを出していますね。これは2008年に異動したマーケティング部での経験によるところが大きいです。当時、マーケティング部長だった鈴木(現CEO)からは、すべて承認を取らずとも外部の会社にコンタクトを取るなり自分で考えて動いてよいと背中を押されました。

わざわざ上司に伺いを立てる必要がなく、自分で良いと思った情報を収集して、必要であれば外部の方にも会いにいく。大きな裁量を与えられて、自由度の高い環境のなかで、自分自身、チャレンジ精神が育ちました。だから「私の承認がなくてもどんどん挑戦していいよ」というのはメンバーに伝えています。

一方で、成長したい、チャレンジしたいものの、自分の意志だけではなかなか重い腰を上げられず、行動に移せないことがあります。そんな時は、無理矢理にでも成長できる機会を作ってあげることも大切です。

例えば、英語を使って海外と仕事をしたいという思いがあるメンバーに「マレーシアの会社にコンタクトとってみたら」と背中を押したこともありました。筋トレのように、強制的にチャレンジ精神を鍛えることも意識して、マネジメントしています。

中国事業の閉鎖から学んだこと

ーー古畑さんは国内事業と海外事業の両方を経験されています。海外事業ならではの魅力を教えてください。

モノタロウの国内事業は年々成長を続けており、規模は拡大し、分業化が進んでいます。専門性は高まっているのですが、1人のエンジニアとして関われる範囲がその分狭まるのも事実です。一方で海外事業は小所帯のため、様々な経験を積むことができます。

たとえば、子会社の設立など社内で新規事業の立ち上げ機会が最も多いのは海外事業ならではの特徴です。そこでは会社の立ち上げから軌道に乗せるまでの0→1の醍醐味が味わえます。

また、人数が少ないぶん、やる気さえあれば経験が少なくてもプロジェクトの中核として活躍できるチャンスが転がっています。自分が手がけた製品がダイレクトにユーザーに届く感覚があり、ユーザーがどう変化したかという結果を身近に感じやすいのも魅力です。

さらに、海外ECサイト統括グループ内には中国、フィリピン、バングラデシュなど様々な国の出身者が働いているので、異文化のなかで働く体験もできます。

ーー海外事業は新たな挑戦が多いからこそ、壁にぶつかることもあると思います。古畑さんが印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

2017年、中国で子会社ZORO上海の立ち上げプロジェクトを行いましたが、残念ながら3年で会社を清算することになりました。

モノタロウでは、海外にビジネスチャンスがあれば積極的に子会社を作っていて、それまでも韓国やインドネシアに進出。当然中国も魅力的なマーケットということで、プロジェクトが始まったんです。

2018年には無事ECサイトをオープンでき、ECサイトに関する課題解決に向けて現地のメンバーと一緒に頑張っていたのですが、アリババなどEC業界のビッグカンパニーがひしめき合っている中国市場ではなかなかうまくいかず、2020年にZORO上海を閉じることになりました。

ーー今振り返って、失敗した原因はどんなところだと分析していますか?

事前準備不足ですかね。韓国での事業は黒字化を達成しました。韓国は日本と産業構造が似ていて、かつ子会社設立当時は競合も少なかったため、国内でやってきたことをそのまま韓国でやって、すんなり成功につながったんです。

しかし、そのやり方は中国には全く通用しませんでした。 中国は商習慣や文化が日本とは大きく異なります。たとえば、中国のお客様は偽物商品に対して非常に敏感です。なぜかというと中国で有名な大手ECサイトなどでも偽物商品などが多く流通しており、商品を購入する際にそれが本物なのか偽物なのか敏感にならざるをえません。そういった環境で新規にビジネスを行う場合は、如何に信用してもらうのかが非常に重要です。こういった事も含め、日本の感覚では容易に想像できない事もあり、立ち上げからたくさんの失敗を通じて、その国の環境を理解するためにもっと事前に準備するべきだったと反省しました。

ーー当時の経験を今、どのように生かしていますか?

中国での失敗で強烈に感じたのは、世界の中ではむしろ日本が特殊な国だということです。日本の常識でビジネスを考えることは、モノタロウがグローバル企業になるにあたっては弊害であるといえるでしょう。

中国での経験が、日本にとらわれず世界を見渡してトレンドを見たり、最先端の情報を集めようという意識につながっていますね。グループのメンバーにも視野を世界に広げて学ぶように、と言っています。

モノタロウには、チャンスがたくさん転がっている

ーーエンジニアとして、モノタロウの魅力は何だと思いますか?

チャレンジする機会が多いことです。まだまだ成長途上の会社で、日々、挑戦と失敗を繰り返しているため、チャンスがたくさん転がっています。

また、それぞれの道のプロフェッショナルが集まっているのも良いところだと思います。「この道を極めたい」と思った時に、師匠にしたいエンジニアが必ず見つかるはずです。師匠を見つけ、自分からどんどんチャンスをつかんでいく。やる気次第で、どこまでも成長していけるのがモノタロウの良さだと思います。

ーー最後に、海外EC統括グループの今後の展望をお聞かせください。

越境ECサイトは2020年にリニューアルを行い、サイトに掲載されている商品数もそれまでの約200万点から約1,400万点超へと大幅に増強しましたが、もっと事業を伸ばしていく必要があります。現状は、東南アジアのお客様が現地ではなかなか入手しづらい商品をネットで探し、結果私どもの越境ECサイトに辿り着くという感じですが、更に売り上げを拡大するためには、現地で流通しているニーズの高い商品を現地で調達して、大きな倉庫にストックして売っていくといった、新しいビジネスモデルを検討しているところです。

次のステップでは、どこまで現地に入り込んでいけるかが重要です。新たなビジネスモデルに応じて、ECサイトも進化させる必要があるでしょう。その他にも、グループ内の6つチームの専門性をさらに伸ばし、施策の高度化も行っていきたいです。

ーー古畑さん、ありがとうございました!

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