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インタビュー田原町08 ゲストは大川総裁

2/10㈯19:00~21:00
浅草・Readin’Writin’ BOOK STORE 
(東京都台東区寿2丁目4−7  地下鉄銀座線「田原町」駅下車3分)にて。


「インタビュー田原町08」
『大川総裁の福祉論! 知的障がい者と“食う寝るところ、住むところ”』(旬報社)を書かれた、大川豊さん(大川興業総裁)をゲストに、福祉の現場についてお聞きします。



2/10㈯の「インタビュー田原町08」のゲストは、お笑い集団「大川興業」総裁の大川豊さんです。

異色のお笑い集団「大川興業」を率いる一方で、『日本インディーズ候補列伝』(2007年・扶桑社)ではマスメディアが取り上げてこなかった「泡沫候補」たちを「インディーズ候補」と呼んで取材しつづけてきた大川さん。
『候補列伝』の取材をサポートし、のちに『黙殺』(2017年・集英社)で開高健ノンフィクション賞を受賞した畠山理仁さん(公開中の映画『NO選挙、NO LIFE』のメインキャスト)は、大川さんについて「いまの自分をつくったのは総裁です」と語られています。

『NO選挙、NO LIFE』上映後のトークショー。ポレポレ東中野にて。


完全な「暗闇」の中で行われる舞台公演を企画演出するなど常に実験的な試みを重ねてきた大川さん。コロナもあり、しばらく舞台公演にも行っておらず「どうされているのだろう?」と思っていたところ、先日ポレポレ東中野で前田亜紀監督のドキュメンタリー映画『NO選挙、NO LIFE』公開記念イベントのゲストトークに来られているのを拝見できました。
大川さんとは1990年代「週刊宝石」があったころ、大川さんオススメの本を話してもらうという連載で月イチくらいお会いし、「AERA」でも半年くらい密着取材させてもらったことがありました。

「今度、本が出ます。内容は福祉の現場です」
『NO選挙,NO LIFE』のイベント後、畠山さんと前田監督がサイン会をされている傍らで、お客さんにパレスチナ支援をされている団体のチラシを手渡しされているのを見ていて、相変わらず即行動のひとなんだなあと(1月には震災直後の能登にも大川興業としてボランティアに駆けつけている)。そこで、新しく出る本の話をすこしうかがいました。

北朝鮮やイラクにも取材に行くラディカルなお笑いのひと→福祉の現場??? 
そういえば、総理の記者会見場で、大川さんが避難されている障がい者のことを質問され、岸田総理が噛み合わない返答をしていた。

早速刊行された本を読んで、ちょっとビックリしました。
あのとき障がい者施設の実情を説明しながら質問をされていたのと結びつきました。

「1 暮らす」
「2 楽しむ」
「3 働く」3つのキーワードで構成。「暮らす」の冒頭インタビューに登場するのは、衆議院議員の野田聖子さん。
24時間の自宅介護が必要な息子との暮らしを話されていて、めちゃ大変だ。なかでも、ある日の深夜、血液中の酸素濃度が急降下してアラームが鳴りやまなくなったときの体験をこのように話されている。

野田 パニックになっていたその時、突然頭の中に「カニューレ」っていう言葉が浮かんできたんですよ。
大川 痰を吸入する「気管カニューレ」ですね。
野田 そうです。家族が定期的に痰の吸引をしないと、チューブが詰まって呼吸ができなくなっちゃうんです。そこで(後略)

切迫した体験の話ながら、不謹慎をおそれずにいうと「カニューレ」という耳なれない言葉が耳に奇妙に響きました。
すごいなあと感心したのは、大川さんがすぐに「気管」と足して聞き返したことです。
その後、野田さんと大川さんとで、痰の吸引の詳しい話をされるのを、その場に居合わせたかのように引き込まれました。

さらに話は、野田さんの息子さんが成長され特別支援学校でなく近所の小学校に通うようになって、言葉を発するようになったこと。それも、「ばか」とか「おばば」といった言葉を覚えてしまって、というのを楽しげにされているのが面白いというか、インタビューを読むうちに野田さんに対する印象が変わりました。

もう一つだけ。
本から紹介しておくと、それぞれのインタビューの終わりに大川さんの「取材後記」が、ケアの現場の申し送りメモのようにして添えられ、ある施設の女性職員に質問したときのことがメモされています。

〈若い女性職員に、自分よりも大柄で力の強い男性の利用者さんがいる中で、どうやって「他害行為」に対応しているのか、「怖くないのか?」など聞いてみた。
 通常、強度行動障がいのある人を受け入れる施設では、男性職員が力で抑えつける。すると、利用者さん側も男性の姿を見るだけで身構え、防御態勢や攻撃態勢を取る。しかし、女性職員は、決して力で抑えつけることはしないし、できない。それが読み取れるので、利用者さんも防御態勢をとらない。だから、実は女性のほうが向いていて、いざという時に男性職員が助けるなどの連携をするのがいいと話してくれた。〉

聞いてみないとわからないものというか。
それでもときには暴力をふるわれることもあるそうですが、さらに大川さんが尋ね、返ってきた言葉のやりとりがコントを見るようでもあります。

いろんな福祉施設などを巡りながら12人のキーパーソンをインタビューしていくのですが、根底にあるのは、どのようにすれば「障がい」をもったひとたちが楽しく暮らせるのか、親が抱える「自分たちがいなくなったあと」の解決策を考えていこうとする姿勢。
質問の中から、大川さんが単にインタビューするのではなく、『日本インディーズ候補列伝』の取材もそうですが、それぞれの施設を見学もし、問題の予習をしているのも伝わってきます。

取り上げられている人たちも、そんな団体があるの?という驚き。
知的障がい者が参加するスポーツ大会を運営するひと、「障がい者の性」の問題に取り組んでいるひと、障がいのある人たちが描いた絵を公共施設などにレンタルする事業を展開する民間の美術館。
そして、東海テレビ放送制作のドキュメンタリー映画『チョコレートな人々』(2022年・鈴木祐司監督)でも知られる「久遠チョコレート」の夏目浩次さんを取材しているんですね。

今回の「インタビュー田原町」では、お笑いの大川さんが「福祉」を取材するようになった経緯(そういえば、両手両足が使えない車いす芸人のホーキング青山をライブで見たのも大川さんがきっかけでした)や、取材現場の様子(取材写真をもとに)を聞いてみたいと思っています。

イベント終了後、サイン会も行います。もちろん本の販売もあります。
会場参加・ライブ配信とも、参加料1500円。

話し手
大川豊(おおかわ・ゆたか)
1962年東京都生まれ。大川興業総裁。明治大学在学中にお笑い集団「大川興業」を結成。就職試験で153社不合格となり、85年大川興業株式会社を設立。芸人であるとともにプロデューサーとして若手芸人育成のためのライブ「すっとこどっこい」を毎月開催。政治経済ネタを得意とし、北朝鮮、イラク、9・11直後のアメリカなどを現地取材。東日本大震災、熊本地震などの復興支援活動も行い、近年は福祉・医療の現場にも赴き取材活動を続けている。著作に『日本インディーズ候補列伝』(扶桑社)ほか。

聞き手
朝山実(あさやま・じつ)
1956年兵庫県生まれ。書店員などを経て1991年からフリーランスのライター&編集者。
人物ルポを中心に今年5月に休刊した「週刊朝日」で30年間「週刊図書館」の著者インタビューに携わってきた。著書に『父の戒名をつけてみました』『お弔いの現場人 ルポ葬儀とその周辺を見にいく』(中央公論新社)、『アフター・ザ・レッド 連合赤軍兵士たちの40年』(角川書店)、『イッセー尾形の人生コーチング』(日経BP)など。
編集本に『「私のはなし 部落のはなし」の話』(満若勇咲著・中央公論新社)、『きみが死んだあとで』(代島治彦著・晶文社)ほか。

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