岡田斗司夫の動画から考える

「空飛ぶクルマ」という概念がある。

 私が小さい頃は。「自動車」という枠組(ここがものすごく大事)にありながら、飛行も可能な物を指していた。

 具体的かつ現実的には、飛行ユニットを取り付ける事で飛行機になる自動車という事になる。

 これと似て非なる物に「エアカー」があった。エアカーは空気の力で地上から数センチから数十センチ浮いて走る乗り物で、ホバークラフトと原理的には同じであった。「ホバークラフトと違って船扱いにならない物」ぐらいに自分は考えていた。

 ただ、浮く為の力と前に進む為の力が必要な訳だから、燃料消費や騒音が大きくなってしまい、内燃機関を動力に考えると排気ガスも多く出るから、「省エネ」とか「エコ」とか「環境問題」といった「新しい未来」の前には分が悪かった。
 それでもアニメの『スペースコブラ』や『未来警察ウラシマン』に出ていたりして、1980年代中頃まで「エアカー」という言葉は通じた。

 この「エアカー」をものすごく強力にすれば、飛行可能になる。実際そういう乗り物も試作され、「フライングジープ」、「エアジープ」等として雑誌に載ったりした。作られたのはそれより昔だったりするのだが。

 よくよく考えれば、後にアニメ『機動戦士ガンダム』に登場する「ワッパ」のような乗り物である。

 これも実用化される事は無かった。

 一見上陸作戦等で有効に思えるが、砂塵を巻き上げたり、音がうるさかったりして敵に対して目立ってしまう。安定性も悪い。という話だった。

 現在また「空飛ぶクルマ」と呼ばれている物がある。ただ、「もはやそれ、言い逃れできないくらい『小型ヘリコプター』だろう」という存在のように自分には思える。

 ここまで書いていた所に、岡田斗司夫氏の配信する動画がおすすめされてきた。
 岡田斗司夫氏は、こういう「懐かしい未来」のネタがすごく好きな人で、この人の『失われた未来』という書名を見た時には「その言い方があったか!」と思ったものだった。「20世紀最後の夜に」という泣ける本も書いている。

 これがなかなか面白いのだが、冒頭部分を見て、ちょっと考える事があった。
 内容全体じゃなくて、冒頭部分だけね。





 という事なのだけど。

 どこかおかしいと思ったのである。どこがおかしいのか?

「ポピュラーメカニクス」という、大昔から続くアメリカの科学雑誌がある。中古がe-bayとかで出ていて、買えそうだとか買えないなあと思ったりもする。

 で、岡田氏が紹介していたのと同じイラストが、実際の表紙に使われているのである。

 そしてそれは1930年代ではない。

1940年11月号

1951年2月号
(左右反転してみて)

1961年8月号


 どう考えても「偶然の一致」ではない。

 で、岡田氏が「ちゃんと調べていない」や「誤訳」の可能性もあると思ったんだけど、岡田氏が使用したのが、ずっと後に再編集されたダイジェスト版(根拠は書体の新しさと注釈らしき文字)で、そこに書かれていた言葉に引きすられてしまったというのが、真相ではないだろうか。

 よく分からないけど。

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ものぐさ太郎α
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