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広報の専門家の視点から分析するジャーニーズ問題の根源とブラックボックス化。

ここ数カ月、BBC(英国国営放送)による故ジャニーズ社長による優先的地位による性的なハラスメントに関する記事やニュースが世間を騒がせている。

特に、報道されている内容を一部掻い摘んで、取り上げると、「事実認定がされていない」「他の幹部を含め、知っていた」「公然の事実」といった内容がニュースとして配信されている。
また、その事実をめぐって、ジャニーズ所属のタレントからの発言がないとか、現社長の謝罪・説明は不明瞭であるとか、様々なニュースが飛び交ているのが事実である。その一方、社外取締役に外部の有識者を招聘したり、また、事実関係を確認するため第三者調査委員会を立ち上げたとか、周辺情報を含め様々な情報が飛び交っている。

根本的な原因は何か?
そもそも、優先的地位を利用したハラスメント自体が、問題である。という論点が、ニュースでは少し欠落している。また、若年者に対するそれは、事実であるとすれば、非常に問題であることは間違いない。

ジャニーズ事務所を立ち上げ、一代にして、時代を築き上げた社長やエンターテナープロデューサーとしての手腕は誰しもが認めるところである。日本だけではなく、外国においても所属しているアーティストやグループの人気やそのパフォーマンスを考えると、有能であったことは疑いようもない。

それと今回報道されている、優先的地位を利用したハラスメントは別問題である。一代で築き上げた企業、これは何もジャニーズ事務所のみならず、他の会社にも傾向としてあると言えるが、オーナーや社長に対して進言できるものが社内に存在していないということである。
オーナーの有能さ、カリスマ性により、社内はその発言自体で方向性や戦略、営業などをはじめ様々なことが決定していく傾向にある。
そうなると、このようなネガティブな情報があったとしても蓋をし、完全なブラックボックス化になる傾向がある。

今回まさに、表面化したのは、対象者がすでに物故しており、ブラックボックス化ができない状態になっているということが考えられる。
これは、ある意味、健全化に向かっていると解釈もできるが、会見や説明を見る限り、その事実関係が認定されていないことは、非常に問題視されると分析する。

第三者委員会による調査は健全化されるのか?
少し前で、いうと日本大学のアメフト問題に起因する不祥事など、ニュースなどで報じられていたことがあるが、第三者員会のメンバーを見ると、その企業体質が見て取れる。第三者員会のメンバーで構成されるものとして、弁護士や大学教授などで調査、分析、事実確認をするとよく言われるが、広報の視点でこれをとらえると、毎度毎度、事実確認に基づく、法的リスクにフォーカスされすぎている感が否めない。

これは、報道機関や記者にも問題があると感じているが、質問としてされるのは、
「事実認定されたのか?」「賠償は?」とか、分かりやすいポイントに絞られている。これは、ニュース番組や情報番組の特性上わかりやすい構成であると考えられるが、このような事象を引き起こした根源に関する議論が、少ないと考えられる。当然ニュースでは限られた時間でわかりやすく伝えるという使命はあるが、そもそもの原因に対しての調査や報道がされないのは、非常に残念であると広報的な視点からは見て取れる。

企業でも起こりうるブラックボッスク化。
何もジャニーズ事務所に限ったことではなく、中小企業においてもブラックボッスク化は、非常に起こりえる問題である。
オーナー企業や一代で築き上げた企業にこのようなブラックボックス化は多い。
オーナーしか知らないとか、すべては、社長が決めているといった企業において、このような問題が顕在化すると、ひとたまりもなく、企業は崩壊していく。
中小企業だからこそ、(日本の企業のほとんどがそうだが)契約先に対する優先的な地位を利用したハラスメント、業務委託外労務の強要など、恒常的に行われていることは、他の社員や幹部も認識していも、オーナーや社長に何も言えない状態であることは、ジャニーズがおかれている現在の立場と同様である。
一部の企業においては、取締役会が機能していたり、社外取締役やアドバイザリーボードの設置などによる外部からのアドバイスを受けている起業もあるが、ほとんど会社の重要な決定事項は、一部の幹部内のみで共有されているのが、実状である。

なにも知らされることなく、事実が表面化した場合、会社の存続に関わる問題として認識している方が非常に現状では少ないと感じられる。ジャニーズの問題は、ただ単に優先的地位によるハラスメントの問題ではなく、日本の企業体質や社内の体制など、リスクマネジメントに関わる重要なポイントとして広報の視点からは分析している。


※ このコラムは、客観的に広報の視点でニュースや記事内容をもとに分析するものであり、その事実、内容の真偽はあくまでも、調査内容によって、変わってくることを事前にご了承いただければと思います。

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