#047. 春闘とGDP.
(1) はじめに.
毎年 2月~3月、Newsなどで「春闘」や「ベア」といった
単語を目にされる、耳にされると思います。
ただ 労働組合に ゆかりの無い方には、
「Newsにする程の内容なの?」と感じられると思います。
少なくとも 私がそうでした。
私が、組合の執行委員を務めさせていただいてます中での
「春闘」のことを 少しだけnoteいたします。
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(2) 春闘とは?
春闘とは、労働者が使用者(つまり会社)に対して
労働条件の維持・改善を求める活動です。
私が経験した範囲ですと、会社が 就業規則などで定める 年1回の
定時昇給が在りつつ、それと別枠で、世の中の情勢をかんがみて
・基本給を、○○○○円あげてください!
(ベースアップ、略して ベア と称されます。)
・ボーナスは、生計費の一部です。最低 〇ヶ月 を要求いたします!
といった内容を要求する活動になります。
自動車系や 電機系の大手企業にもなると、
ボーナス〇ヶ月ですとか ベア無しですなどが
Yahooなどニュースにもなります。
他には、退勤から出勤時間のインターバル制度の導入、
年齢毎の最低賃金、福利厚生の改善、〇〇手当の増額、
なども要望していきます。同一同一も見直していききます。
あと 自分の実例を挙げますと、COVID-19の影響で 在宅勤務が
導入されたものの、実は、就業規則に「在宅勤務」の
規約が 明記されていませんでした。
会社の建物に出勤することが「当たり前」だったので
在宅勤務の規定・規約がなかったのです。
ですので 組合と使用者(会社)とで
「在宅勤務を、正式に規則に明記しましょう」と話し合い
就業規則に追記する、といったことをしております。
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(3) 賃金決定の3要素.
春闘に際し、私が所属しております電機は、以下の3点を
「賃金決定の3要素」として、会社と交渉しました。
・生産性
・生計費
・労働市場
ものすごく大雑把に申しますと
世界経済が こういう状況で、
日本が こういう状況で
他の産業が このくらいの賃金水準だから
他の企業が このくらいの賃金で
私達にも これくらいの給料を下さい
という交渉になります。良い点、悪い点、両方あると思います。
最低賃金や、セーフティネットの考え方は、
生活に安心感を与えてくれます。
一方、長い間、人手不足が言われている ITエンジニアの
お給料が上がらないのも、こういった横並びの
文化的背景があると推察されます。
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(4) 今後の組合の闘い方.
日本のGDPが、この先の未来、発展してゆく可能性は、
現実的に厳しいものがあると、私個人は、考えています。
そうしますと、労働組合も、この先の未来における
「春闘」の闘い方を、時代性に合わせて変えてゆく必要がある
と考えます。
3要素の一つである生産性、ここは、GDPを参照しているので
対応案としては、
・生産性を 3要素の一つとして存在させるけれど
GDPを参照にするのを やめる。
・生産性を、「賃金決定の3要素」から除外する。
になります。
下がり続けるGDPをパラメータに入れているかぎり
「GDPが下がってゆくけれど、お給料を上げてください」
という交渉をしてゆくことになります。
これは、交渉において得策になりません。
交渉にあたり、自ら不利となるパラメータを
積極的に導入してゆくのは、ナンセンスです。
労働組合の組織率(雇用者全体に占める組合員の割合)は、
約 17% と推定されています。1950年ごろは、
40~50%あったそうです。傾向としては、
年々、減少傾向にあります。
・不要な存在ゆえに、時代から淘汰されているのか?
・それとも 望む/望まないですとか、良い/悪いは
別として、社会や 産業の構造として、
減少してゆくのが当然の設計になっているのか?
紐解いてゆく必要がありそうです。
いずれにせよ、
企業に変革が求められるように、
個人々々の働き方も変わってゆくように、
労働組合もまた、時代に合わせて、やることや考え方を
アップデートしてゆく必要があると感じています。
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最後まで お読みいただき ありがとうございます。
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