9歳のボクが考えた不思議な話【オモちゃんとウラちゃん】
ある日、怖い話が好きな男の子が、友達から『オモちゃんとウラちゃん』という話を聞いた。
友達は、最後にニヤニヤしながらこう言った。
「この話を聞いた日は、寝てるときに目が覚めても目を開けちゃダメなんだってさ!」
「え、なんで?」
「もし開けたら、オモちゃんとウラちゃんに見つかって体を持っていかれちゃうんだってよ~」
「え!? そんなことあるわけ・・・」
言ってる間に、分かれ道で友達と分かれた。
「まさかね、ただの作り話だよね」そう思いながら家に帰った。
〇
その夜。
「オモは人間の体の中でどこが1番好き?」
「うーん、舌かな? ウラはどこが好き?」
その声で男の子は目を覚ました。
何の声だろう?と思いながらも、眠くて眠くてそのまま寝ようと寝返りをうとうとしたら、体が動かない。
(え?! なんで? 動けない! 金縛り?)
(あっ、そういえば・・・)
男の子は昼間友達から聞いた『オモちゃんとウラちゃん』の話を思い出した。
(まさか、オモちゃんとウラちゃん?)
確かめたくてつい目を開けそうになったけど、咄嗟にグッとこらえた。
(そうだ、目を開けたら見つかって体を持っていかれるって言ってたよな・・・)
男の子は思い出して急に怖くなった。
体が動かないし目も開けられないから、耳を澄ます事しかできなかった。
やっぱり話し声が聞こえる。
(何話してるんだろう?)
「ウラは人間の指が好きじゃないんだ、だって食べられるところが少ないんだもん」
「そうだね。 オモも指は骨が多いからあんまり好きじゃないな」
(え?! 人間の指? 食べられるところ? 骨が多い?)
(もしかして、人間を食べるの!?)
男の子は、驚きのあまり目を開けてしまった。
すると・・・
「あれま、こんなとこに人間がいた」
「きっと目をつぶってたんだねえ。
ちっとも気づかなかった」
「ま、見つけたからには食べないとね。
けけけけ」
こんな怖いことを言って、オモちゃんとウラちゃんは男の子に近寄ってきた。
男の子は助けを呼ぼうとした。
けど、金縛りで声が出せない。
「ウラはこの肉でギョ-ザを作ろうかな」
「オモはカツレツを作ろうっと」
オモちゃんとウラちゃんはこんなことをつぶやきながら、男の子の体を表と裏に分けはじめた。
ギコギコ、ギコギコ、ギコ、ギコギコ・・・
男の子は、それでも声を上げることはできなかった。