9歳のボクが考えた不思議な話【傷子】
あるところに、元気な男の子がいた。
その男の子は、たまに男の子とも女の子とも見分けがつかぬ子を見た。
そして、その子を見ると、必ず自分がケガしそうになった。
転びそうになったり、物が倒れてきたり。
まるで小さい頃に、noteで読んだ傷子のようだ。
最近は、あの子は本当の傷子じゃないか?と、男の子は思い始めていた。
そんなある日のこと、傷子と思われる子が、男の子の前に現れた。
今度はどんなことが起こるかと身構えていると、となりの家のごみ箱が倒れた。
ギーー
ドゴゴーーーン
その音に、お向かいさんのやんちゃな犬がビックラこいたからたまらない。
キャンと吠えるが早いか、犬は飛び起きて男の子の方にものすごいスピードで突撃してきた!
これこそ、騎虎の勢いだ。
男の子は咄嗟によけた。
いや、よけたつもりだった。
男の子の上着は犬に奪い取られていたのだ。
男の子は、傷子のような子をキッとにらみつけた。
その子はニヤニヤしながらこっちを見ていた。
男の子はカチンときて、怒鳴ろうとした。
すると、またもや騎虎の勢いで犬がこっちに突撃してきた。
男の子は、これも辛うじてよけた。
男の子はこんなことを四、五回繰り返した。
ところが、ついに・・・
ドスッ
「げふっ」
とうとう犬が男の子のお腹に激突した。
男の子はズドーンと突き飛ばされた。
その拍子に近くの木の枝が折れて・・・
その枝が落ちて・・・
男の子の膝をかすって傷をつけた。
「痛っ」
傷子のような子は満足気に「ふふふ」と笑って、その場で消えていった。
それから二度と男の子の前に、姿を見せなくなった。
そして、しばらくして男 の子は、「あの子は本物の傷子だったんだ」と自覚した。
なぜって?
ちゃんとnoteには書いてあったのだから。
『傷子は狙った人に一度しか傷をつけません。
なぜなら、傷子は狙った人に一度傷をつけたら、その人を傷つけるのに
飽きてしまうからです』とね。
元気な人はご用心。