手触りを思い出す晶文社の本
昔昔にアメリカ文学をよく読んでいた時期があって、独特の文体の翻訳とか、晶文社の本が好みだったことを思い出し、そう言えば晶文社どうしたんだろう。晶文社の本は装丁が端正で手に持った紙の手触りもよく、本好きな編集者が作ったのが伝わってきて大好きだった。平野甲賀さんのデザインはフォント含めた総合的なアートだった。
今は書店にはめったに行かず、Amazonでレビュー読んで選び、本という作品を愛でる機会がめっきり減った。「情報」「コンテンツ」(同じ?)を消費しているように感じる。さて晶文社は、と探したら、経営危機で文学は半分以下、ハウツー本が並んでいた。時代とはいえ寂しい。
晶文社の棚は渋谷にいくつもあった大きな書店のどの棚に並んでいたかも思い出せる。書店巡りが仕事兼趣味だった。近所の配達してくれた小さな小さな書店も実に品揃えが好みで、狭い棚に厚い晶文社の本が並んでいた。晶文社の本を置いてある書店は書店としても私には格上に感じた。