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# 010 私のヨガの先生は、心の師。「俺さん。人を傷つけてはいけません。そして、自分を傷つけてもいけません」

前回のポストで、ヨガをやりはじめたと書きました。
今日は、その先生のお話(一人称が「俺」になってますがご容赦ください)

相手への想いやりが半端じゃなかった先生の仕事ぶり

先生が俺の会社に入社してきたのは、たしか5年くらい前の冬のことだった。
隣の部署。最初の仕事は、社内ヘルプデスクという新規プロジェクトのリードだったと思う。

人事、総務、社内ITなどなど、社員からの問い合わせを一元化するとともに、メール対応だけじゃなくて、対面での対応もしよう!というもの。
その窓口対応のリーダーだった。

そんな先生と俺の最初の関わりは、俺が送った全社メールの送信チェック。
先生が入社して2日目のこと。

俺は、あろうことか添付したURLを間違えていて、その旨をチャットしてくれた。

「全社メールは送信前に私がチェックすることになったんですけど、俺さん、添付のURLが間違っているかも!」

ニューカマーにいきなりのご指摘をいただき、だいぶ焦ってしまった俺。

「すみません!!!!!」と速攻でチャットを返し、すぐに修正メールを送った。

するとすぐに再びチャットが。

「俺さん、、、From設定が、グループじゃなくて俺さん個人になってるけど大丈夫ですか?」

やらかしました。1回目はできていたのに、焦って対応した再送メールでは、Fromが自分になっていた。

後日この話を、飲みの席で先生にすると「試されているのかと思ったw」と。
大笑いしてくれて優しいですね。

あまりの忙しさに文字通り心を亡くしたあの日。先生の優しい言葉に救われた

月日は経ち。ちょうど1年くらい前のこと。
会社全体が大忙しで、そんな中で、俺も前年比200%くらいの忙しさで(大げさじゃなく本当に)。

ひと山超えてもうひと山。5ヶ月間くらいの激務を終えたら、全身から力が抜けてしまった。
そして、心も荒んでしまって。刺々しくなっていた。

そんなある日、先生と話す機会があった。

「俺さん。そんなに無理しなくていいんですよ。辛かったら愚痴ったらいい」

大忙しだったのは先生も同じはずなのに、とても温かい言葉をかけてくれた。

のちのち知ったヨガインストラクターのこと。教えてもらったヨガ哲学

更に半年ほど経ったある日。その頃まだ俺は、先生がヨガのインストラクターの資格を持ってることを知らなかった。
雑談の中で、そんな話になって。ならばと、日頃イライラしたり精神的にしんどくなる話を聞いてもらった。
やっぱり年末の忙しさで余裕がなくなってた俺に、先生は、ヨガ哲学の話をしてくれた。

「ヨガって本当はスピリチュアルなものじゃないんだけど、ヨガ哲学の話をすると、そういう風に受け止められてしまって。嫌がる人もいるので、興味のある人にしか話さないんですけど」

という枕詞を添えて。

八支則とヤマ・ニヤマ

ヨガには八支則と呼ばれる経典みたいなものがあるんだとか。
その中に、ヤマとニヤマというのがあって、その中に心がけると良いことが書いてある。

ヤマ(日常生活で行ってはいけない心得)

●アヒムサ(Ahimsa)/非暴力、不殺生
いかなる生きとし生けるものも殺してはいけない。行動、言葉、思考のレベルで他者に暴力をふるってはいけない。誰に対しても怒りを抱かない。(もとの語源は、”苦痛を引き起こさないこと”。自分自身を大切にすることから始まる)

●サティヤ(Satya)/嘘をつかない
自分の利益やエゴを守るために、嘘をついてはいけない。ただし、他者を傷つけるようなことであれば、真実であっても言わ ない。その場合は、きちんと言わない理由を正直に言えばよい。第一にアヒムサ(非暴力)が優先される。(嘘をつかずに誠実でいるためには、言動、言葉、思考を日頃から一致させることを心がけ、自分に正直に生き、心が穏やかな状態でなければならない)

●アスティヤ(Asteya)/不盗
他人の物、時間、信頼、権利、利益などを盗んではいけない。自己中心的な行動はやめなさいという教え。自分自身がちっぽけな肉体だと思うところから、その肉体の感覚を満たそうと執着が生じたり、名声やよい評判を得ようというエゴが生まれる。

(約束の時間に遅刻したり、行列に割り込んだり、 相手の話をきちんと聞かずに遮って自分が話すことも他人の時間を盗んでいることとされ、アスティヤ(不盗)に反します。また、物やお金、地位、名声などは、常に変化します。どのようなものごとにも、人間関係や楽しかった思い出にも、執着しない状態でいることが一つの鍵です)

●ブラフマチャリヤ(Brahmacharya)/禁欲
もともとは、性欲に代表されるような、エネルギーの無駄使いをしてはならないことをせず、生涯を独身で過ごすことが説かれていた。現代では、パートナー以外の異性とむやみに性的関係を持たないことの他、利己的な欲を満たそうとするのは避ける こととされている。生命エネルギーは必要なところに集中させることが禁欲の本質。

●アパリグラハ(Aparigraha)/不貪
貪欲さを捨てること。次から次へと湧き起こる、尽きることのない欲望に身を任せない。何かを必要以上に所有しない。

(程度を超えた欲を持たず、独占欲を抑えること。必要以上に所有すると、執着がわいて、それを失うことへの恐れや他者への怒りと嫉妬を生みます。アパリグラハの実践は、外の物質世界に縛られず、自らに満足感をもたらし、寛容になり他者から奪うのではなく、与えることにつながります)

出典 立川発イタリア溶岩ホットヨガ&ピラティス専門スタジオ『ontheshore』

ニヤマ(日常生活で実践すべき心得)

●シャウチャ(Saucha)/清浄
自分の身体と心をいつもきれいな状態に保つこと。他人に不快感を与えないよう、身だしなみを整えることももちろんのこと、身の回りの空間をに清潔に保つことも含まれる。心の清浄さとは、嫉妬や嫌悪などネガティブ な感情と思考を排除するよう心がける。

●サントーシャ(Santosha)/満足、知足
今あるものに、常に満足すること。(環境、今置かれている状況、人間関係、自分の能力、健康、物質的なものすべてに対して)

ヨガの基本的な思想の一つは因果律。今置かれている状況は先に何か原因があり、ここに理由があって必然であると考える。なので、あるがままそれ自体で、すでに完璧である。そして、今、どんなに苦しく思える状況でさえも、実は何か成長のためのステップアップの機会かもしれず、今そこに何かしらの判断を加えることは無意味である。人は身の回りのものごとは当たり前だと思い感謝を忘れ、無くしてみて初めてそれが、かけがえのないものだったことに気が付く。健康も愛する人の存在も同様に。た、人の欲望は尽きることがなく、外の状況や変化してしまう諸々のことに幸福を求める限り、真の幸福は見つからない。自分自身で、今あることに感謝をし満足することが真の幸福への近道だ。

●タパス(Tapas)/苦行、自制
精神鍛錬のために困難なことを実行すること。または、人間として生きていく限り避けられない人生のさまざまな問題や試練を受け入れる。

強さを培うこと。ただし、ただ単に自分を痛めつけたり、我慢す ることはアヒムサ(非暴力」に反する。どんなに苦しい状況や試練に出逢っても、自分の成長の糧として受け入れられる強さを養うために実践する。

●スヴァディアーヤ(Svadhyaya)/読誦、学習、向上心
心を調える働きを持つ書物(聖典、マントラ、名著、人格者が書いた本、本質的なことが書かれている本など)を読むこと。

自分の心を善い方向に導いてくれる本を読むこと。得た知識を実生活を通じて、智慧に昇華させ、人格を成長させることを 意味する。

●イーシュワラ・プラニダーナ(Ishvarapranidhana)/自在神記念、信仰
唯一絶対なる存在(宗教では”神”と表現される)に信仰心を持ち、それに祈りを捧げること。 自らに備わっている神性を信じること。万物に対して、感謝と尊敬の気持ちを持ち、献身的な心を持って生きようとすること。

自分ではどうすることもできないこと(自然の力、時代の変化など)を受け入れ、身を委ねること。

出典 立川発イタリア溶岩ホットヨガ&ピラティス専門スタジオ『ontheshore』

「アヒムサ(Ahimsa)/非暴力、不殺生」はそんなだいそれたことではない

先生はアヒムサの話をしてくれた。
「非暴力、不殺生」というと、「そりゃそうだろう。犯罪じゃん」って思って終わるんだけど、先生はヨガのことと絡めながら説明してくれた。

「人を傷つけちゃいけないって、それは当たり前の道徳なんだけど、アヒムサで大事なのは、人の中に自分も含まれるってこと。
例えば、ヨガで難しいポーズをしようとしたとき、インストラクターは生徒さんが体を傷めないように配慮しながら進めるのだけど、これって自分でヨガをするときも同じなんです。
それは、自分のことも傷つけちゃいけない。だから、怪我をするような無理はしちゃいけないってことになる」

深い。確かに「哲学」っていうと敬遠したくなる気持ちも湧くけど、とても身近で大切な、ちょっとした心がけを教えてもらった。

「俺さん。人を傷つけてはいけません。『人』の中には、当然、自分自身も含まれます。俺さんは優しいから、自分を責めがちかも知れないと思って。でも、自分を傷つけてはいけませんよ」

先生ありがとう。
そして、「心を強くする」それはきっと、「人にも、自分にも優しさを持つ」ってことなんですね。

本日の体組成計

・体重 81.0kg(前日比 -0.4kg)

君も優しいんだね、体組成計さん(*^^*)


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