感情の量子性と引力に関する方程式 ー量子性の愛について
I.緑の髪に星屑を散りばめて
小道を彷徨う酔っ払った女
量子の愛の波動関数が
風に舞う紙屑となって拡散する
II.工場労働者の夏は 汗と錆の匂い
男の背中に斜めに夕陽が射して
季節の変わり目を主張する
シュレーディンガーの猫のあくび
愛の重ね合わせの旋律
Ⅲ.チカリチカリチカリ
寝不足の少女の瞳に星は宿る
無限の可能性を秘めた愛が
観測されぬままあらゆる可能性に開かれ
全ての状態で輝き続ける
星は囁く
早く寝なさい
Ⅳ.どうしてあの人は私を見ないの?
風に舞う紙屑は
酔っ払った女のもつれた愛の記憶
緑の髪に絡みつき
非局所的な共鳴を起こしている
Ⅴ.確率振幅の愛の揺らぎが
まどろみの中で交錯する
それは私たち人類の根源的な、
そして大きな問いだ
「愛は粒子か、波動か」
VI.言葉は道となり
道が人々を誘う
あなたの目の前の小道は
異なる宇宙の愛をつなぐ量子トンネル
多世界を横断する工場労働者の影が見えるかもしれない
もしあなたが
選択を誤らなければ
VII.酔っ払い女の哄笑が
無限の可能性から
ひとつの現実を選び取る一瞬で現実は溶解し
一瞬で世界は砕け散る愛の波動関数は
女の嬌声によって壊れる
後に残るものだけが真実だからねえ。
君はこれから、あらゆるイリュージョンに
心を備えたまえだってほら、
愛は全てを創造するから
VIII.秋の始まりがひんやりした空気と
風と金木犀の香りを連れてきた
塵が舞い上がり
愛の量子フィールドを形成するのだ
愛の深い底で関係性が生まれ
観測と感情の狭間で世界は変容し、
揺れて、揺れ続ける
IX.汗をかいた工場労働者の
ふしくれだった手のひらで
生成消滅を繰り返す
愛の粒子よ君は存在か、非存在か
量子は真空の恋の戯れ
Ⅹ.おもさに聞け
と野口三千三は言った
重さを与える愛のヒッグス場 の中で
酔っ払った女が踊っていたのだ
くるりくるりくるり
女が回転し、スカートが翻り
固いリノリウムの床の上で
切れかけた蛍光灯が瞬くたびに
新たな時代が始まる緑の髪は時空を歪め
その時重力と愛が一体となる構造が形成され
存在を形づくり 時間が流れ出す
止まらない音楽あなたの愛が間違っているのは
女が真性の酔っ払いだったから
XI.愛の超弦理論を描く小道
次元を超えた感情を紡ぐ
まどろみの中で少女は
自らの量子性の愛を探求する
XII.風に舞う 労働者の歌が
量子もつれを引き起こし銀河を震わせる
未来を切望し
明日を夢見る変わることを恐れ
毎日を諦めとともに生きそれでも
男の歌は宇宙に響いていくのだ
彼の存在が永遠であるが故に声は遠くまで響いていく
XIII.平行宇宙の愛は
アルコール漬けの女の涙で生み出され
シュレーディンガーの猫は
愛と無関心の状態を同時に生きる
XIV.工場の機械が刻む
愛の量子ビートに合わせて
少女は自らの内なる多世界の
全ての愛を同時に体験する自分の内側にも
酔った女がいることを
少女は知る大嫌いであるがゆえに
XV.緑の髪が量子跳躍するとき
愛の時間は可逆性を獲得する未来の愛と過去の愛が
現在の一点に収束する
XVI.小道の果てで
少女と、酔っ払った女と、
工場労働者が出会う時愛の大統一理論が誕生し
全ての感情が一つの式に還元される
XVII.まどろみが量子的覚醒となり
愛の不確定性が確かな絆に変わる少女の緑の髪は
あらゆる次元に伸び彼女の星屑を散りばめた瞳に
無限の愛が映り込む
XVIII.量子の愛を知る時
あなたの内なる少女は目覚め、
彼女の感情と 酔っ払った女の笑顔が、
あらゆる時空間に滲出するその時
工場労働者の手に 愛が全集合する
愛は遍在する全宇宙に手のひらを掲げて空を見る
指の間の青空の向こうには
果てしなく広がる銀河歌が満ちてくる
XIX.風に舞う紙屑は愛の方程式となり
星屑は多世界の愛の和音となる
全ての可能性が同時に輝きだす
存在と愛の量子力学的神秘を讃えるように
XX.最後に 観測者も被観測者も
愛する者も愛される者も
酔っ払った女も工場労働者も
塵も紙屑も星屑も 小道もまどろみも
シュレーディンガーの猫も
全てが量子もつれした愛と化し私たちは
愛の量子宇宙そのものとなるのだ
今ここがそうであるように
XXI.私たちは歌う
無限宇宙の愛の歌を私たちは踊る
多元世界のあらゆる次元に
共鳴が起こるようにそしてビッグバンが再びはじまり 宇宙が構造化され
時間と空間と存在が
またここから生まれ始める
ごらん。私たちはここにいる。
めくるめく関係性の渦の中で時にまどい、
時に絶望し 時に笑い、
時に光を見て互いの中に自分を映し
さまざまな感情を味わいながらゆっくりと知ってゆくだろうともに宇宙を愛し
愛されていることを愛の大きな波に揺れて
遊ぶ瞬間に立ち上がるものを宇宙が一人一人の
小さな「私」と呼んでいたことを