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東京の中心で、愛を叫べない

~皆様、好きな人との初デートと言えばどこを想像しますか?~




動物園や水族館でしょうか?


ショピングでしょうか?


それとも、オシャレなカフェやレストランでしょうか?


私は、妻との初デートは映画館でした。


映画館なら隣同士の席で
距離が近くてドキドキしますし
同じものを見てるので
共通の話題ができ、会話が弾みます。


ですので、私は妻との初デートは
映画館を選びました。


しかし、その映画館デートは
私にとって忘れられない出来事になってしまったのです。


今日もまた、皆様どうかお付き合いいただければと思います。






まず、私と妻の出会いからお伝えすると
私達は職場恋愛でした。


私が新入社員で
まだ仕事は、電話を取るということしか
できなかった時です。


妻は、当時就活中で
私が働く会社に面接を受けに来ました。


ところが、会社に行く途中で
妻は道に迷ってしまい
会社に慌てて電話してきました。


そこで、電話を取ったのが私でした。


慌てる妻を落ち着かせて
あまり動かないように指示をして
会社に事情を説明し
私が迷子になっている妻を探しに行きました。


そして、見つけだし
初めて妻に会ったのです。







はっきり言って



私は妻に一目惚れをしました。






それから、妻が面接に受かり
入社してからは
私は猛アプローチをし続けました。



そして、ようやく初デートの約束をすることができ、
冒頭で述べたように初デートの場所を
映画館にしました。




正直、私より後で入社した妻のほうが
仕事はできました。
しかし、社歴としては私のほうが先輩になるので頼りがいのある男でいたいと思っていました。



私は、妻に慣れないエスコートをして
新宿の映画館に連れていきました。


早速、売店で
チケットジュースを買います。


妻の分のチケットとジュースは
私が持つことで
頼りがいのある男
を演出しました。



そして、映画館(スクリーン)に
入れる時間になるまで
ベンチで待つことにしました。




ドキドキしながら会話をしますが
初デートということもあって
全く会話が弾みません。


好きなビタミンは何?って聞いたり
体の血管を全て繋げると
どのくらいになるでしょう?
ってクイズしたり、
白内障になるメカニズムなどを話したり
しましたが全て撃沈しました。




早く映画館を開けてくれ!


何度も強く願いました。



そして、
ようやく映画の時間が近づいた時
私はズボンのポケットから
チケットを出そうとします。







あれ?
チケットがない!?





私は、慌てました。

ポケットに入れてたような気がしますが
ありません。


初デートでチケットを失くすなんて
最悪です!
頼りなさ過ぎます!



絶対に妻にはバレてはいけません。

なんとか見つけださなければ。

きっとどこかに落としたのでしょう。


私は妻にトイレに行ってくると言い
どこかに落ちてるであろうチケットを
探しに行きました。




しかし、どこを探しても見当たりません。


どんどん映画の時間が近づいてきます。



もうなりふり構っていられません。


私は、
服についてるありとあらゆるポケットを
全てを裏返しました。


そして、カバンから
ありとあらゆる荷物を掻き出しました。


まるで、パニックの時のドラえもんです。


チケット!

チケット!


チケットオオオオ!!







「え?大丈夫ですか?」



心配になった妻が
私を見つけだして声をかけてきました。


なんとも情けない姿です。

かっこ悪すぎる…
私は泣きそうでした。


どうしようもないので
妻に事情を伝えました。


すると、妻はクスクス笑い始めました。




どうぞ、笑ってください。

私は情けない先輩です。





すると、妻は
私がベンチに置いていった
ジュースを持ちながら、

「ここを見てください!」と

私の目の前にジュースを突き出しました。




ジュースの側面を見てみると
ジュースの水滴により



チケットが2枚べったりと


貼り付いていました。







は~~~~!


チケットあった~~!




良かった~~!




私は全身の力が抜け
心の底から安堵しました。



そして、すぐに切り替えて
私は形勢逆転の
一か八かの賭けに出ました。







「え?ああ、知ってたよ。」




あたかもチケットが
ジュースに貼り付いていたことは、
知っていましたよという風を装いました。


まだ頼りがいのある男を演出できると思ったのです。



しかし、妻はクスクスと笑って
「もう無理ですよ。」
と言い、私の恋は終わった








と思いきや



なぜか、トントン拍子に私達の恋が
それから発展していき、
【手間をかけて花束を】の記事に続くのでした。

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