【エッセイ】空に憧れて
~皆様、世界の飛行機の1日のフライト数はご存知でしょうか?~
その数およそ19万便だそうです。
おったまげ~ですね。
世界ではこんなにもたくさんの飛行機が飛んでいるのですね。
今日も世界中の人が飛行機に乗り
空を渡っています。
地上にいる私達のにとっては不思議な感覚ですよね。
そんな飛行機にまつわるエピソードがありますのでお話させていただけないでしょうか?
私が小学生の頃です。
私の父はバスの運転手をしておりましたので土日は仕事であまり家にいませんでした。
そのため中々、家族で出かけることはなかったのですが年に一回だけ夏に長いお休みを取ってくれて、その時だけ旅行に行くことができました。
そして、今年の夏の旅行先は北海道でした。
私は北海道だとわかった時、胸が高鳴りました。
北海道に行くのももちろん楽しみなのですが何より楽しみなのは生まれて初めて飛行機に乗れるということです。
私は嬉しくて嬉しくて学校で友達に自慢しまくりました。
私が自慢したことで学校では
飛行機ブームになりテレビのCAさんのように「アテンションプリ~ズ」をどれだけアメリカ人っぽく言えるか流行りました。
また、嬉しくて嬉しくて
家でお風呂に入ってる時は
湯船に浸かる父や弟の前で
両手を広げて飛行機のモノマネをしたりしました。
「やばい墜落する!」と言って父のお腹に思いっきりダイブして怒られたりしました。
そんなワクワクドキドキの日々が続き
いよいよ明日が北海道旅行になりました。
私はお利口さんなので
前日に旅行の準備を済ませました。
旅行先でも夏休みの宿題ができるように
勉強道具も持っていきます。
そして、完璧な状態で当日を迎え
空港に辿り着きました。
生まれて初めての空港はとにかく大きくてびっくりしました。
飛行機に乗る前に時間があるので
屋上の展望デッキに連れて行ってもらい
飛んでいく飛行機を眺めました。
ものすごい音をたてて飛んでいく飛行機を見て興奮しまくりです。
「すげえ!!
今日、俺は本当に空を飛ぶんだ!!
無限の彼方へ、さぁ行くぞ!」
…と、その前に
保安検査とやらを通過しなければならないのです。
保安検査といえば
私の大好きなミスタービーンが空港でやらかしたエピソードが有名です。
私はあのエピソードをビデオが擦りきれるぐらい観ていましたので予習済みです。
さすがにあんなヘマを私はしませんよ。
ここを通過するのも1つのイベントとして楽しみです。
弟、姉、母、父は案内されるままに別々の保安検査ゲートを通過していきます。
私の案内されたゲートは少し遅れていて家族のなかで一番最後に通過することになりました。
私は真上にそびえる保安検査ゲートを
ジーッと眺めながら通りました。
「すげえ、なんかSF映画みたいなカッチョイイゲートだ…」
すると、
ピンポン!
とどこからか音が鳴りました。
え?
ピンポン?
私は辺りをキョロキョロと見渡しました。
みんな私を見ています。
どうやらこのピンポンは私に向けてのピンポンのようです。
目の前に誰よりも冷たい目で無表情で見つめる女性がいました。
保安検査員さんです。
「これはなんですか?」
ロボットように感情のない声で検査員さんが言います。
学校の先生からもこんな恐ろしい顔で見られたことはありません。
検査員さんはカッターナイフを持っています。
「もう一度お聞きします。これはなんですか?」
あまりの迫力に小便がチビりそうです。
検査員さんが持っているカッターナイフは
私が宿題の自由研究で作ろうと思っていたミサイル型貯金箱の工作道具です。
北海道でも自由研究ができるように
リュックに入れておいたのですが
どうやら持ち物検査で引っ掛かってしまったようです。
私は検査員さんの質問に答えようとしますが、あまりの張り詰めた緊張感に言葉が出ません。
もし変なことを言ってしまえば怪しまれます。
私は何も悪いことをしていません。
普段の私はとってもお利口さんなのです。
やっとの思いでなんとか振り絞って声がでました。
「…じ…ゅう」
「銃?」
はわわわわわわっ!!!
違います!!
そんな恐ろしい物ではありません。
自由研究と言いたかったのです!!
検査員さんは私の顔に穴が開きそうなぐらい鋭い眼光で見てきます。
早く続きを言って誤解を解かなければ!
「…け…ん」
「剣?」
ぬわああああああ!!!!!
またまた物騒な物へと変換されてしまいました!
検査員さんは獲物を前にした虎のような目をしてきます。
もう後がありません!
今度こそはっきりと伝えなければいけません。
「…えと…北海道…で…
ミ、ミ、ミサイル…つくり…ます」
「…はぁあ?ミサイルゥウ!?」
もわあああああああっ!!
もう、私の人生終わりです。
検査員さんは眉をひそめて考え事をしています。
こんな大犯罪を予告した奴を一生牢屋にいれることを考えているのでしょう。
お母ちゃん、お父ちゃん、姉さん、弟よ…
ごめんなさい
私は飛行機に乗って北海道に行くのではなくパトカーに乗って刑務所に行ってきます。
そんなことを考えて絶望していると
母が駆けつけて、
私の代わりに保安官と話し合ってくれ
カッターを処分し何事もなく飛行機に乗ることができました。
楽しみにしてた人生初めてのフライトは
放心状態でほとんど何も覚えていません。
そんな私がコンビニでやってはいけないことをしてしまった時のエピソードがありますのでもしよろしければお読みください↓↓