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【エッセイ】もう小学5年生だから



~雄弁は銀、『?』は金~



皆様、こちらの諺
『?』の部分に何て入るでしょう?














正解は…




『沈黙』です。


時と場合はありますが
雄弁であることより、沈黙の方が得するという意味だそうですよ。
(間違えておりましたらすみません…!)


皆様もそういった経験はありますか?



言わなくても良いような一言を言ってしまって、トラブルに巻き込まれてしまったりなんてこと。


私にも、そういったエピソードがありますのでお話ししてもよろしいでしょうか?









私が小学生5年生の頃です。


私にはカズマくんという友達がいます。


午前中、カズマくんの家で遊んだ後
午後は、私の家で遊ぼうということになり
自転車で私の家に向かっていた時のことです。






めちゃくちゃ怖い顔をした
高校生ぐらいの男の人が
道路の真ん中であぐらをかいて座っていました。


いわゆるヤンキーと呼ばれる方です。


いくら、田舎で車通りが少ない道だからといっても道路の真ん中に座るのは、良いことではありません。


危ないです。


そして、この日は
とても暑い日でした。


こんな暑い日なのに、
わざわざお日様がたくさん当たるような所で、アツアツのアスファルトの上でお尻を犠牲にしてまで座る必要はありません。



この人には、
暑さの感覚がないのだろうか
不思議に思いましたが
着ているTシャツの袖を、
肩が全て見えるまでグルグル巻きにして
上げているので、暑いことは暑いのかもしれません。


田舎なので近所の人の顔は
だいたい知っていますが
この人の顔は初めて見ました。




いったいこの人は誰なのでしょう…?




自転車に乗る私達を、
睨んでいるように見えました。


そして、困ったことに
この怖いお兄さんが
ど真ん中に座るすぐ横を通り過ぎないと
私の家には行けません。


この道路は、そんなに広くなくて
車が1台分しか通れないほどの狭い道なのです。




うー、嫌ですねー…





私は、カズマくんに
「頑張って通ろう!」
アイコンタクトをして、そそくさと
この怖いお兄さんの横を通り過ぎようとしました。


なんだか、めちゃくちゃ睨まれているような視線を感じますが絶対に目を合わせないようにしました。


今にも、襲いかかって来そうな雰囲気があります。


小学生からして
中学生のお兄さんでさえ怖いのに
高校生のお兄さんなんて
もっともっと怖いのです。





私は、心臓をバクバク鳴らして
怒らせないように慎重に通りすぎることに成功しました。





ぷふぅぅぅうううううう~


緊張しました~。



これで後は家に向かうだけです。





















「なんだぁ?この人?」








カズマくんが思ってることを
うっかり口に出してしまいました。



カズマくん…
確かに私も心の中では
「なんだぁ?この人?」なのですが
口に出して言っては絶対いけませんよ。


世の中には
言っていいことと
言ってはいけないことがありますから、慎重に言葉を選ばなければいけません。





ほら、怖そうなお兄さんは
案の定カズマくんの一言に反応して
舌打ちをしてから「おいごらぁ!」と
すごい顔で追っかけてきました。





私達は、200%の力で自転車を漕いで逃げました。


そして、私は
恐怖のキャパを超えてしまうと
笑ってしまうクセがあります。


先生に怒られてる時に
面白くないのに笑ってしまい
更に怒られてしまうことがたくさんありました。


今回も、そうです。


私は、恐怖のあまり
「あはははっ!!」
と大爆笑しながら自転車を漕ぎながら逃げていました。


お兄さんには、とんだ悪ガキに見えたことでしょう。





本当にごめんなさい!
面白いから笑ってるわけではないのです!


こ、怖いから笑っているのです!!





お兄さんが
何か叫びながら追っかけてきますが
さすがに高校生の走る速さと
小学生の全速力の自転車の速さでは
私達のほうが速かったみたいで
どんどん距離を離して家に着きました。









私は、汗ダラダラで呼吸もゼエゼエと息をするのがやっとな状態でした。


落ち着いてから
カズマくんにぶちギレます。


「こ、殺されるところだったじゃないか!!」


カズマくんは、呆然として
全く私の怒りの言葉を聞いてくれませんでした。


そして、
せっかくカズマくんが遊びに来たのに
私達は、険悪なムードのまま
ほぼ会話をせず、夕方のチャイムが鳴って
解散することになりました


私は、カズマくんに
「じゃーね」とぶっきらぼうに
お別れをしました。


でも、カズマくんは
なぜか帰ろうとしませんでした。



理由を聞いてみると

「また、あの人が帰り道にいたら怖いから帰れない…」

と言うのです。




確かに、その通りです。


あの怖いお兄さんは、またあの道路で
座ってるかもしれません。


私は、カズマくんに
「大丈夫だ!」と言い
家から、STAR WARSのライトセーバー
ハリー・ポッターの杖
ロード・オブ・ザ・リングの指輪
当時好きだった映画のグッズを持ってきました。


「もしまた襲われたら、これでやっつけろ!!」と渡しました。


少しでもカズマくんの不安な心を取り除きたかったのです。



カズマくんは笑顔で
「ありがたいけど、受け取れない。
こんなの自転車に乗せて走るのは、恥ずかしいから」

と断ってきました。




確かに、その通りです。

私達が、小学校低学年なら
勇気の源になったのかもしれませんが
もう高学年です。


あと2年後には中学生になります。


さすがに、こんなおもちゃ恥ずかしいですね…


なんともアホな提案をしてしまいました…












私は、小学校高学年なのに
ウルトラマンのTシャツを着ている
カズマくんに



「その服も恥ずかしいけどね!」

とは



思っていたとしても絶対に絶対に絶対に口が裂けてでも言わずに、笑顔で見送りました。



暗闇でピカピカと光る仕様のウルトラマンの服を着た
カズマくんは、怖いお兄さんに会うことはなく、無事帰れたそうです。










そんなカズマくんに励ましてもらったエピソードがありますのでもしよろしければお読みください↓↓





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