【エッセイ】闇にうごめく者

～皆様はホラー映画はよく観ますか？～

私は、とても怖がりなのですが
ついつい興味本位でホラー映画を観てしまったりします。

その度に子どもの頃、
夜中にトイレに行けなくなっていたので
母に怒られていました。

ホラー映画のようなことが
もし自分の身に起きてしまったらと思うと怖くて怖くて堪らなくなるのです。

でも、あれはフィクションなので
実際に自分の身に起こるというのはめったにありません。

…そう信じていました。

…つい、この間までは。

今回は私が体験したホラー映画のような出来事を皆様にお話したいと思います。

よろしいでしょうか…？

今年のお盆のことです。

妻は子どもを連れて長期の里帰りをしていました。

家には、私、母、帰省中の弟の3人でした。

我が家には代々謎の仕来たりが多く残っていました。
(我が家の仕来たりについて書いた記事はこちら↓)

その中でも、お盆になると
より細かい仕来たりがあり子どもの頃から
それをなんとなく守っていました。

例えば、
お墓に向かう道は必ず決まっていて
違う道で向かうと、ご先祖様が迷子になってしまうということで古い農道を軽トラで通らなくてはいけなかったり。

お盆が終わり
ご先祖様を家からお墓に送りに行った後は
ご先祖様がまた家に付いてきてしまわないように帰り道だけは違う道を通ったりと

正直現代人の私にとっては罰当たりですが
面倒くさいなと思う仕来たりばかりでした。

そして、仕来たりの中でも特に面倒くさいのは、必ず8/16にご先祖様を送りに行かなくてはいけないと言うことです。

私の地域では農業が盛んなので
繁忙期のお盆は1日短くして8/15に送りに行くところが多く、仕事の始まりが8/16という職場が多いのです。

なので8/16には
母達は仕事に出ていってしまうので
私と弟だけでお盆の送りに行かなくてはいけません。

地元の友人達も8/15にはお盆行事を済ませているので、8/16から遊びに誘ってきます。

でも、私達は1日ずれているので
いつも断っていました。

仕来たりに厳しい隣家に住む祖父に
「周りに合わせて8/15にしよう」と提案しますが、いつも穏やかな祖父が頑固にも「代々受け継いでいるものだからダメだ」と拒否してきます。

そんなことがあり
渋々8/16に毎年送りに行っていました。

しかし、今年は8/16に台風が関東に接近するという報道が流れました。

さすがに今年は8/16に行けません。

祖父も「無理してでも行け」とはさすがに言うこともなく、
我が家で初めて8/16に送りをしないという事態が起こりました。

ということで、その日は台風なので
我が家でおとなしくしていました。

前述したように私は怖がりですが
お盆ということもあって弟と一緒に
ホラーな動画をYouTubeで興味本位で観ていました。

その動画というのが人形が勝手に動き出すというものでした。

隠しカメラで撮られている人形が
いつ動き出すのか弟とじーっと見ていると突然ノイズが走りだしました。

私達はこういう演出なのかなと思いあまり怖がることはありませんでした。

人形が勝手に動きだした瞬間ノイズがより激しくなります。

弟と「ふっ、ありきたりですな」と感想を言い合いました。

そして、その後
気になる育児動画があったので
そちらの動画を見ると、先ほどと同じように激しいノイズに見舞われます。

「え？このノイズ
動画の演出じゃなくて俺らのテレビだけじゃない…？」

私が呟くと
弟が怯えた顔で

「もしかして、8/16に送りに行かないからご先祖様の祟りなんじゃないか…？」

と言うのです。

「…ははっ。祟りなんかあるわけないじゃないか？」

私は内心めちゃくちゃビビっていましたが
弟の手前、強がってみせました。

「台風の中、無理してでも
送りに行ったほうが良いんじゃない…？」

「バカヤロウ！この大雨と強風の中で墓に行ったら死んでしまうよ！」

弟がアホな提案をしてきたので
私は断固として拒否しました。

そして、私は威勢よく震える足でトイレに行きました。

出すもの出して落ち着こうと思ったのです。

ところが用を足した後
水を流そうと思ったのですが水が流れないのです。

こんな時にトイレが壊れたのです。

水が上手く流れないので
バケツに水を汲んでトイレのタンクに水を入れて流すしかありません。

弟が私の後ろで呟きます。

「ね、これはもう絶対祟りでしょ？
考えてみて？台風で死ぬのと祟りで死ぬのどっちがいい？」

…どっちも嫌に決まってるだろ。

「祟りなんてあるもんか！たまたまに決まってらぁ！」

弟の言うことを一掃して
私は怖いので早めに寝ることにしました。

台風の影響で家がガタガタ揺れます。

そんな中、怖い夢を見ました。

スーツを来たのっぺらぼうに
追いかけられる夢です。

大人になってから久しぶりに怖い夢を見ました。

私は、ますます恐ろしくなり
真っ暗なリビングに行き水を飲みに行きました。

時計を見ると、時刻はまだ
23時57分です。

…あと3分で8/17になります。
我が家で初めて8/16にご先祖様を送りに行かなかったということになります。

0時を迎えた瞬間に幽霊とか現れませんよね…？

本当に本当に怖くなってきました。

今からでもお墓に送りに行ったほうがいい？
いや、まだ外は強風だし真っ暗だ。

そんなことを考えていると
廊下側がピカピカと灯りが点きました。

我が家の廊下には人感センサーで灯りが点く仕様になっています。

誰かが通った？

弟？母？

いや、人が歩けば我が家は古いので
足音が聞こえてくるはずです…

足音は…全く聞こえません…

廊下側がピカピカと光ります。

私はブルブルブルブルブルブル震えました。

祖父がやたらと8/16に拘るのは
そういうことだったのでしょうか…？

8/16にご先祖様を送りに行かなければ
祟られて殺されてしまうのです…！！

私が怯えていると、

突然、リビングに何かが入ってきました。

ガダガダガダガダガダガダガダガダーーーッ！！！！

私は恐怖のあまり声も出せず、
急いで逃げようとしたことで
思いっきり棚にぶつかり
棚とともにド派手な音を立てて倒れました。

うあああああああああああああああーーー！！！！

私は棚にぶつかったことによる痛みで
大きな悲鳴をあげました。

ドタドタドタドタドタドタッ！！

弟と母が何事かと
吹っ飛んで寝室からリビングに来て
闇に蠢く私を見て唖然としていました。

「…本当に祟りにあったのか？」

弟が心配そうに聞いてきました。

私はぶつけた足を抑えながら
「いえ、祟りではなく勝手にびっくりして怪我しただけです。お騒がせしました」と謝りました。

そして、廊下で人感センサーに反応して
リビングに現れて出てきたのは一緒に暮らす茶々丸(ネコ)でした。

次の日、何事もなく
引きずる足でご先祖様を送りに行きました。

(ノイズやトイレが壊れたのは台風の影響でした)

ほかにもホラー体験で大変な思いをしたことをこちらの記事にも書いてるので、もしよろしければどうぞ↓↓