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【エッセイ】友達の脳ミソが飛び散った話



~クイズです。日本の都道府県のうち自転車保有率No.1はどこでしょう?~



A 東京都
B 京都府
C 福岡県
D 大阪府















正解はBの京都府だそうです。


学生の街とも呼ばれてることもあり、自転車に乗る人が多いみたいですね。


京都の雰囲気っていいですよね。
特に鴨川周辺の雰囲気が好きです。


でも、今回お話ししたいのは
京都に関するものではなくて
自転車のほうなのです。


どうか皆様、自転車にまつわるエピソードを聞いていただけないでしょう?







私が小学生の頃です。


当時、自転車に乗れるようになったばかりでカッコいい自転車を買ってもらい
「これでどこにでも行ける!」
友達と色んな所に行っていました。


土日はみんなで小学校の校庭に集まって
ドリフトを披露したり手離し運転ができることを見せつけたり、誰が一番自転車を漕がずに長く乗っていられるかを競いあったりしました。


自転車でできるあらゆる遊びをしたと思います。



そんなある夏の日、みんなで自転車で
近所の大きなお寺に行きました。


そのお寺は初詣の時は
人が多く来るのですが普段は閑散としています。

なぜ、そのお寺に行こうと思ったかというとお寺に繋がる道がかなり過酷な坂になっているからです。


その過酷な坂を足をつかずに登りきれるか
みんなで勝負をしたかったのです。


大人でも悲鳴をあげるほどの過酷な坂です。


みんなで必死で登りますが
ほとんどが登りきれずに足がついてしまい歩きでお寺に向かいました。


私も登りきることはできませんでした。


でも親友のカズマくんだけは違いました。


顔を真っ赤にして歯を食い縛りながら
足をつかずに登りきったのです。

私達はカズマくんのもとに集まって称賛しました。


「すげーな!カズマくん!!」


この瞬間カズマくんは私達の中でスーパースターでした。


そして、お寺に来たのだからと
せっかくなのでお参りしました。


すると、お寺のお坊さん(同級生のおじいちゃん)がスイカをご馳走してくれました。


頑張って坂を登った分
スイカがめちゃくちゃ美味しく感じます。

そして、スイカを食べ終わった後
みんなでまた自転車に乗り、坂を下ることにしました。


登りと違って下りは最高です。


何も頑張る必要がないのです。

みんなで「イヤッホー!」とか「ヤッフー!」とか叫びながら快適に降りました。


スピードが出過ぎるとさすがに危ないのでブレーキをかけながら下ります。


そんな感じで楽しく下りていると
私達の横をものすごいスピードで何かが駆け抜けました。













カズマくんです。



私達はあまりのスピードで駆け抜けるカズマくんに一瞬唖然としました。


カズマくん、さっき坂を登りきって
スーパースターになったからって調子に乗ってはいけませんよ。





「カズマくん危ないよ!!」


私が大きな声で呼び掛けると
カズマくんは怯えた声で
「ブ、ブレーキが効かない!!」と叫びました。








え、え、え、えええええ!!!


それは本当にヤバいやつです。


一大事です。絶体絶命に近いです。


「ああああああああ!!!!」


カズマくんは叫び散らしてます。


「カズマくん!何か柔らかい所にぶつかれ!!」


「カズマくん!足を使って止めろ!!」


みんなで必死にピンチを切り抜ける方法を伝えました。


カズマくんも頑張って足を地面に着けて止めようとしたり、ぶつかっても大丈夫そうな柔らかい場所を探しますが上手くいきません。


カズマくんは意を決して
Uターンするかのように大きく円を描くように曲がってスピードを落とそうとしました。





グリンと自転車は見事な半円を描きます。


さすが自転車スーパースターのカズマくん、あのものすごいスピードが見事に落ちました。


私達はフゥと胸を撫で下ろしました。


しかし、無理に曲がったせいで
カズマくんは派手に転びました。



私達は慌ててカズマくんのそばに行きました。




すると、倒れてるカズマくんの頭から
赤い物体がたくさん飛び散っていました。



それを見て誰かが言いました。












「の、脳ミソだ…」







え…?


そんな…


ウソでしょ…?


みんなパニックです。


「うわー!脳ミソが飛び散ってるぞー!!!」


カズマくん、ウソだろ…


脳ミソが飛び散るなんて…


スピードが落ちてから転んだから大丈夫だと思ったけど…


確かに、さっき坂を登る時
顔真っ赤にして登ってたから
脳ミソに負担がかかってパンク寸前だったのかも…


それで転んだ拍子に破裂したのかもしれない…


「カズマくん!嫌だ!死なないでよ!」


私はカズマくんに呼び掛けました。





すると脳ミソを飛び散らかしたカズマくんが「いててっ」と平気な顔して起き上がりました。








え?




人って脳ミソ飛び散っても
そんなに平気な感じでいけるの…?



「カズマくん、脳ミソ大丈夫…?」


私達はとんでもないものを見たかのように
目をまん丸にして恐る恐る聞きました。




すると、カズマくんは


「皆の者、案ずるな

これは脳ミソではない…







さっき我々が食べたスイカの残骸である」


と恥ずかしいのを誤魔化すかのように
カッコつけて言いました。


どうやらカズマくんは
家で飼っているカブトムシ達のために
お寺で食べたスイカの余りをリュックに入れていたようです。


転んだ拍子に飛び散って
それを私達は動転して脳ミソだと勘違いしたのです。


カズマくんは掠り傷程度の軽傷でした。


大人になった今でもカズマくんの頭蓋骨の中に脳ミソはしっかり入っていて元気なので皆様ご安心してください。



自転車に乗る時はヘルメットが大事ですね。




そんなカズマくんが何者かに奇襲を受けたエピソードがこちらにありますので、もしよろしければお読みください↓↓



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