【エッセイ】キングオブペイン
~皆様、人生で1番痛いと言われる病気は何か知っていますか?~
それは、尿管結石だそうです。
世界三大激痛の1つと言われたり
キング・オブ・ペイン(痛みの王様)とも呼ばれたりと世にも恐ろしい病気です。
私は、なったことがないのですが
なられた方の話を聞くと
「脇腹を雑巾絞りされてる感覚」だとか…
絶対になりたくないなと思います。
皆様は、人生で1番痛かったことは何がありますか?
できれば痛みとは無縁な人生が良いですよね。
今回は、そんな痛みに関する話をしたいと思います。
どうか皆様お聞きいただけないでしょうか?
私が中学生の頃です。
私には3人の友達がいます。
クーさん(空母のような体をした友達)
ゴリラさん(ゴリラになりたい友達)
カズマくん(とても健康な友達)
ある日、この3人と遊びに行くことにしました。
地元から電車で少し行くと
広大な大自然の中にショッピングモールが
ポツンと建っています。
私達はそのショッピングモールの
ゲームセンターで遊ぶことにしました。
当時、私の住む地域ではカラーギャングが
流行っていて怖そうなお兄さんがチラホラといました。
私は、母から
「怖そうな人とは、決して目を合わせてはいけないよ。」と教え込まれていたので、視線は一点を見つめて彼らを刺激しないようにしました。
しかし、私の考えが甘く
いくら私だけが気をつけようと
友達3人が怖そうなお兄さん達を見てしまっていたら意味がありませんでした。
特にカズマくんは
喧嘩を売ってるのかと思えるほど
アホみたいに彼らをジーっと見ていました。
怖そうなお兄さん達は
カズマくんの視線に気づき
私達のほうに肩を揺らしながら歩いて向かってきました。
まず、カズマくんが全速力で逃げました。
それに続き、みんなで一目散に逃げました。
それぞれ無我夢中で走ったので
ショッピングモールの中を
バラバラに分かれて逃げてしまいました。
私とゴリラさんとカズマくんは
すぐ合流できたのですが
クーさんだけが見つかりませんでした。
私達は、クーさんが捕まってしまったのではないかと、ガクガク震えました。
でも、クーさんならきっと大丈夫です。
過去の記事【階段でやってはいけないこと1選】で書きましたが
クーさんは2階の高さから転落しても、次の日元気よく学校に来るほど最強です。
怖そうなお兄さん達に捕まっても
多分、大丈夫でしょう。
…とは言っても心配です。
カズマくんは、責任を感じて
少し泣きそうになっていました。
そんな状況でもゴリラさんだけは
お腹が空いてしまったようで
「クレープを食べたい」と言いました。
ゴリラさんは
食いしん坊タイプのゴリラなのです。
私達は、怖そうなお兄さんに
見つからないように物陰に隠れながら
ショッピングモールの端っこにあるクレープ屋さんに行きました。
すると、クーさんが呑気に
1人でクレープを美味しそうに食べていました。
やっぱりクーさんは
このような状況でも最強でした。
私達は、ホッとして
みんなでクレープを食べて
ショッピングモールを後にしました。
ショッピングモールを出ると
駐車場のどこからか改造バイクの爆音が響きました。
恐らくさっきの怖そうなお兄さん達のでしょう。
私達(クーさん以外)は、再びガクガクと震えました。
そして、大通りの目立つ道から帰ると
怖そうなお兄さん達に見つかるかもしれないと、人通りの少ない裏道から駅まで帰ろうということになりました。
今では、スマホがあるので
地図アプリを使って道に迷うことも少なくなりましたが、当時持っていたのは
ガラケーなのでナビ機能などもなく
私達は道に迷ってしまいました。
空も徐々に暗くなってきて不安が募ります。
そんな時、クーさんのガラケーが鳴りました。
クーさんのお父さんからです。
どうやら、思っていた以上に帰りが遅かったので心配で電話してきたみたいです。
クーさんは
「○○郵便局の近くにいる」と
お父さんに伝え、車で迎えに来てくれることになりました。
私達が田舎道で待っていると
クーさんのお父さんが大きな車で迎えに来てくれました。
クーさんのお父さんも
クーさんと同じように空母のような体をしています。
いつもは優しいクーさんのお父さんが
とんでもなく怒った顔で車から降りてきました。
そして、何も言わずに
クーさんの頬をビンタしました。
パン!!っと風船が割れたかのような音がしました。
目の前で大男が大男にビンタしたのです。
ものすごい迫力で
私達は、めちゃくちゃビビりました。
そして、なによりもとても痛そうでした…
ビンタした後、クーさんのお父さんは
いつもの優しい口調で私達に
「さぁ、乗りな~」と言ってくれましたが
車内では重苦しい空気が漂いました。
決して喋ることはできない雰囲気です。
しかし、カズマくんだけは違いました。
空気を読まずにクーさんに
「さっきのビンタ痛かった?」
と聞きました。
(カズマくん…
痛いに決まってるじゃないですか…
あの大きな体のお父さんから
ビンタされて首が吹き飛ばされなかっただけでも奇跡ですよ…
そんな当たり前のこと
こんな状況で聞くものじゃありません…)
私は心の中で
カズマくんに文句を言いました。
クーさんは
「痛くなかったけど…」
とお父さんの隣の助手席で静かに
カズマくんのアホな質問に答え始めました。
「…心が痛い。」
クーさんは、ぐしゃぐしゃの顔になり
男泣きをしました。
それを聞いてクーさんのお父さんも
少し涙ぐんでいるように見えました。
私は、なんてかっこいい親子なんだと
感動していると
窓際に座って
ずっと黙っていたゴリラさんが
このかっこいい雰囲気に便乗して
腕を組み、月明かりに照らされながら
「無痛ビンタというやつだな…」
と意味不明なことをボソッと呟いていました。
そんなクーさんを怒らせてしまったエピソードがコチラです。もし良かったらご覧ください↓↓(有料100ポイントです…)