えくのむ

東京にひそむ美大生、ふとしたきっかけで美術のみちに迷い込みました。

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最近の記事

グリーンバーグ批評選集 備忘#4 終わり

 全部読み終えたグリーンバーグ批評選集。  もちろんある程度の絵画知識が必要な本ではあるけれども、あまり絵画史の勉強をしていない私でも追いつけたので極端に難しい本ではないのだろう。  第1章らへんは批評家グリーンバーグの小難しい授業を聞いているようで文体に慣れずに最も苦戦したところであったけれども、そこを読み込んでおくといつのまにかグリーンバーグおじちゃんとお話ししている感じ。  ただし知識を持っているからいい絵が描けるようになる、とは思っていない。だけれどもニューマンや

    • グリーンバーグ批評選集 備忘#3

       もしかすると本文は書籍を持っていればいつでも参照できるので、感想のほうがのちのち見直すときに重要? さらに新たなるラオコオンに向かって1940  アヴァンギャルドとキッチュを読み終えてから読むと意外と読みやすい。支配的な芸術に対する他の芸術がどのようにして相互に影響を及ぼし合ってきたかが序盤説明されていて、特定の芸術の優位性は他の芸術が効果を模倣するため芸術の混乱が起きるのだとか。ただそれは自身のミディアムを隠すだけの技量がある場合に限る(イリュージョンが得意ということ、

      • グリーンバーグ批評選集 備忘#2

        太字は本文を要約である。 アヴァンギャルドとキッチュ(1939) Ⅱ~Ⅳ  産業革命による生産率の向上により識字率が上昇。それまでの正式な文化は読み書きができ、教養を伴う余暇と慰安を自由に行える層が享受するものだったが、「読み書きはできる」新たな層に代用文化が必要となった=キッチュ。キッチュは成熟した文化の結果を模倣するため、無教養の農民でも絵の中に描かれた価値を発見することができる。一方でアヴァンギャルドにおける価値は造形的価値によって委ねられた直接的印象を反省すること

        • グリーンバーグ批評選集 備忘

          前書き 現代美術史の勉強のために読んだ本の個人的な備忘録をつけておく。 本文を要約し太字として掲載しながら、それをもとに個人的な解釈を述べるものであり、正確さは保証できない。 また美術史の勉強においても概略の勉強は行っているものの、抽象表現主義系の専門書はこれが初めてであるため知識不足は否めない。 アヴァンギャルドとキッチュ(1939) Ⅰ  社会発達の最終段階において形式の歪みが顕在化されると芸術による既成概念の変化が現れる。これがアヴァンギャルドであり、発祥は西欧のブ