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青インクへのこだわり : "poems&pottery" 展示日誌_2

2020年9月17日(木)〜19日まで(土)、京都のSocial Kitchenにて開催される、"poems&pottery"

私、moni (aoi)の詩と、ドイツ人陶芸家のTina Kentnerの陶芸作品のコラボレーション展です。

展示についてはこちらから ⇨ https://note.com/monito/n/na808eabc0790

なぜ(aoi)としているかというと、普段私は友人・知人にaoiとして認知されており、このブログでも使っているmoni(monicaからきている)をフライヤー等の告知に載せても、誰??となるかな、と思い、悩んだ末に急遽(aoi)を追加しました(;^^


Tinaはもともと建築家で、パリにある大手企業で自社のサロン(展示会)やショールームをデザイン・設営する仕事をしていました。
(Tinaの経歴や作品については、記事の最後にリンクをまとめてあります)

そのため、展示の実際的なところはTinaのアドバイスを頼ることが多いのですが、唯一「mmm...」と顔をしかめてしまったのが、筆記具です。

私は普段からペンでも万年筆でも青インクを好み、昨年夏に行った往復書簡形式の詩の展示(Distance)も一方の筆跡を万年筆の青で書きあげました。
その後、偶然モンブランの万年筆とブルーブラックのインクが手に入り、この一年の筆記はほぼ青一色でした。

もうほとんど、自身にとってのサインのようになっている青だったので、今回の展示も青インクの万年筆で、というイメージはずいぶん前から持っていました。


しかし、購入した紙でいくつかテストをして、展示会場に持って行ってバランスをチェックすると、広い空間、大きな紙に、見慣れた万年筆の文字は何とも薄弱でした。

中字のMというペン先を使ってノートに書くと、インクのにじみも手伝って、存在感が出過ぎてしまいますが、大きなフォーマットだと「ほら、ちょっと離れると全然見えないよ」とTinaに言われてしまいます。

さらに「黒の方がいいね」とも。そちらの方がはっきり見えるとためです。
「普段青を使っているから、青でいきたい」と言うと、「一つのやり方にこだわらず、色々試してみた方がいい。最初に思っていた考えが、いつも一番いいとは限らない…」と言われてしまいます。mmm….

その後も色々ディスカッションするなかで、黒の筆ペンを使ってもっとくっきりと、もっとリズミカルに、ダイナミックに書いた方がいい、と提案されます。Tinaの言いたいこともわかるのだけれど、考えやイメージが日本の書道にひっぱられすぎているような気がして、mmm…

ただ、Tinaの言っていることも分かるので、別れた足で筆ペンを探しにいきます。その前にも太いペンを探していたのですが、遠目にみて分かる字を書こうと思ったら選択肢はマジックか筆ペンくらいしかないと、自分でもわかっていたからです。


いくつか筆ペンを購入し、テスト。
一つトライして分かったことは、ある程度の太さがあると、しっかりとした大きな文字が書きやすい、ということ。文字の大きさは線の太さで定義されているのだと、気づいた瞬間です。
確かにTinaのいうとおり、黒の筆ペンで書くとはっきりし、白い紙上での見栄えが格段によくなります。筆先のおかげで、トメ・ハネのメリハリがつきやすく、自分でも驚いてしまうほど、美文字が書けます。

しかし、何だかつまらない…
普段万年筆で書いている文字が、ゴシックよりの味のある書体だとすると、筆のペン先でかいた流麗な文字は明朝より。きれいにまとまってはいるけれども、何だか優等生の所信表明みたい…


私は悩みます。
はっきりしているのは黒だし、やはりTinaのいう通り筆ペンでいくべきだろうか…
きれいだけど、文字に自分らしさが出ていない気がする…
悩みつつ、短冊を作って、ペンを変え、書き方を変え、見た目にも楽しい画面を考える。でも、読んで欲しいのはテキストだから、あまりビジュアル的な美が優先になるのも…

そして、ふとコピックの筆になっている方で文字を書くことを思いつきます。
家にあるグレーで太さを試すとちょうどいい。
店にダークよりの青を探しにいった際、いくつか筆タイプになっているイラスト用の青ペンを購入し、またテスト…

そうこうしているうちに短冊作りにも慣れ、先の柔らかいペン先にも慣れ、大きな文字を書くのにも慣れると、書体も自分らしいものに。
ここ数日で、またしても人間が成長した瞬間でした…


そしてもう一つの大きな発見は、線が太くなれば青でも文字が見やすくなったこと。
文字を定義しているのは、線の太さだと、改めて実感。
線の太さは大事だよ。

手を動かすことで、新しいアイディアが生まれた瞬間でした^^


今回の展示のコラボレーション相手、Tina Kenter に関する情報

プロフィール:Artist profile : Tina Kentner
個展(陶芸)に関する記事:【展示予告】陶芸家 Tina Kentner "silence"
Instagram:https://www.instagram.com/my_studioworks/


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