全国オーガニック給食フォーラム10/26
少し前になりますが、10月26日に、皆様よくご存知の、民主党政権時の農水相出会った山田正彦先生(御歳80歳)が渾身の力を振り絞って仕掛けた、あの、笑顔溢れる給食の集会が一回りもふた回りも大きくなって、大々的に催されました。
2年前の八芳園の際は、丸一日中、取材しました。今回は、筆者が会場にいられたのはほんの30分ほどでしたが、せめて資料を取りに行こうと思ったのです。配られた資料は、途中堆積しても内容を網羅できる立派なものでした。
【記事】今年3年目になる「オーガニック給食全国フォーラム」が10月26日に中野ゼロホール(1200人収容)で行われました。
ほぼ満席、更に全国の62のサテライト会場が全国に準備され、そこにも人々が集まり、4000人規模の大会にはなったようです。
種子法の条例復活を唱えて全国を行脚して来た山田正彦・前農水相は勿論、食の安全議連などの賛同国会議員・自治体議員を交え、消費者連盟、日本の種を守る会や大地を守る会、パルシステム、生協関係者など、これまで食の安全や食育を訴えてきた有識者や市民達も、一堂に会しました。
米国でどのようなマーケティングがあり、販路ターゲットとされる日本で何が起こっているのか、を正確に私たちに伝えてくれる、国際ジャーナリストの堤未果(川田龍平夫人)も来場してています。2020年の八芳園の時は圧巻の説明でした。ここでハンドルを切るべき時、と、危機意識がちゃんと伝わったと思います。
更に、今回は画期的なことに、農水大臣政務官の藤木眞也氏、自民党 農政議連事務局長山田俊男等も迎えています。素晴らしい、進歩であります。
2021年3月から、日本の農水省は農業耕作地の25%を有機栽培にしたいという目標を立てています。山田正彦先生を中心とした第1回目の給食集会は2020年の9月でしたから、この動きを、農水省が受け取ってくれたということになりますね。
しかしこの日、本当に驚いたし感動的であったのは、1年目は1桁台であった参加自治体が大きく増え、オープンセレモニーに30人を越える市町村長(又は副市長などの代理人)が登壇したことです。もはや、観念ではなく、力強く実施の波が全国に波及していることが、ひしひしと感じられました。
農水省が先頭に立ってくれたことで、「農薬を使わないことが地域や農協におけるタブーでなくなった」ことで、多くの地方自治の政治家達が一気に動き出した感があります。本当に、何事も諦めるものじゃない。心を込めて、出来るだけのことをしてみるものですね。(今は「温かい動き」というものの方が珍しく人々を惹きつけるのかもしれませんね)
今回のように、自治体のトップが集い、励まし合うことには大きな意味があるのでした。なぜならば、給食の実施要綱の裁量を持つのは自治体なのです。自治体の首長には強い権限があります。地元の農業経済を潤し、教育と健康の両面から支持者の喜びの声をその身に受けて、地方自治体が再び政治活力を取り戻す事ができるのが、有機食材を使用した学校給食実施のアクションなのです。
先駆者として有名な千葉県のいすみ市の市長がそうであったように、実は全国の市町村の首長さんの一声で、あなたの街のオーガニック給食の実施は不可能ではありません!!日本の子供達が心身・頭脳共に健やかに育つように、有機のお米やお野菜を子供達に食べさせることに賛同し、同時にまた、その為の生産者を増やしていこうではありませんか。と、こういったことが主旨なのでした。
さて、有機野菜というと贅沢な響きもありますが、給食を無償化する流れと共に考えて、自治体がこれを地元から「買い上げ保障する」という前提で考えることが大切です。また、失敗の少ない有機農法を一緒に模索し、指導できるようになることも
大切です。
自治体が有機作物を<適正な買い上げ価格で買い取る約束>をすること、これで有機農業者が安心して、手間のかかる仕事に愛情を持って取り組むことができます。そしてお墨付きをもらうことで、これまであった問題〜慣行農業者からの圧力に晒されずに、徐々に良心的な有機栽培仲間を増やして行くことができるようになるのです。急がば回れで、一挙両得となります。
2030年迄に全国の学校給食米を100%有機にしよう!
それは決して遠いゴールではありません。
全国の水田の2%を有機水田にすれば、全国で100%の有機米給食が可能になるのですから。
子供達への有機給食実施の成果としては、次のようなことが言われています。まさに実施が急がれることがわかります。
地方行政がこのように、次々と有機給食化に積極的に関与するのには、その他にも下記のような理由があります。
まずは、大手を振って地元農政への投資ができる点です。子供を安全な食材で育て上げることを大義名分に、給食の材料購入費用を自治体が負担し、費用や労力のかかる有機農業実施者への買取保障を条例化する事ができます。価値のある地元農産物によって「町興し」的な地域経済の活性も図れます。
高額の農作物の買取を自治体が保障してくれるようになると、農薬の使用を手控える農家が増えていき、その事で環境も次々と良くなり、動植物の再生があり、人々が暮らしてよかったと思えるような町になるそうです。
更に子供への食の安全が保障され、給食が無償化された自治体には、若い夫婦が次々と引っ越して来て、人口も増えていくとのことです。安全な給食の食材が身近な農家から届けられていることを知り、時には農作業に参加させてもらう事で、子供達と農家の関係ができると、更に心のエネルギーの循環は促進され、子供達も親御さんも、健康と感謝に満ちた温かい生活を送れるようになるそうです。
一方、その条例を推進した市長や幹部、もしくは市議会・町会議員達は、有権者である地元農家から支持され、子供達の親からも礼を言われ、市政でも成果を上げ、仕事上の充実感をも味わう事ができるでしょう!まさに『良循環型社会』の再現が可能になるとのことで、昨今は自治体間での情報交換が実に活発になっているというのも、まさに頷けます。
第一部では、
このセレモニーの後、法整備実現までの、海外事例の紹介と、日本の役所の進捗情報が示されました。
人権意識の目覚めの早いフランスや、お隣の韓国では、有機野菜を使用した無償給食が既に以前から実施されています。将来ある子供達には、大人にも増して良い食材を食べさせるべきという考えで、法律が編まれているのです。
韓国の場合、最初は食中毒がきっかけで民営化した給食の、全学校に調理場を設けた再公営化が実施されることになったのですが、憲法の条項を利用して、各地で安全で高品質な食材を子供に与えるための条例が編まれて行き、最終的に有機給食の法律となりました。
日本でも、日本国憲法に保証された「健康的で文化的な最低限の生活を送る」面に即して考えると、《子供達の身体を蝕むような食品を食べさせて、間違っても損害・被害を与えるようではいけない》わけですよね。
多くの国民の声によって実現が急がれる中、日本でもまず、できることとして、有機栽培や有機給食への決断を後押しができるような既存の制度について、役人の登壇によりそれぞれ、説明されました。
例えば、農水省では既述の有機野菜を耕作地の25%へ、そこに沿わせて「有機農業を後押しする、設備購入補助費等の使用を奨励する法律」がありますよと、案内がありました。制度も、あまり知られていないと意味がないので、ここで情報共有されてよかったですよね。
文部科学省からは、「オーガニック給食を支援できる予算を要求している」とはっきりとした発言もありました。文部科学省の範囲では「食育」という考え方と文化が確立されて久しく、「地域での食育コーディネート代を補佐するシステム」を持っているそうです。まだちょっと弱いですけど、無いよりはいいですね。
また、環境省では「グリーン購入法」を用いて、国の運営する場の食堂では出来るだけ有機野菜を使う方針にする事で、ブームを喚起すると発言がありました。地味ですが、民間にもその奨励を広げて言って欲しいなあと思います。
第二部からは、
現場の専門家達のクロストーク、そしてこの世界ではアイドルの如き有名な、鈴木宣弘東大教授のお話、そして山田正彦先生と共に、自由貿易経済圏の設置による弊害に詳しく、市民にとって堤未果氏と並ぶ国際情勢指導者である、PARCの内田聖子氏、などの専門家などからの発言がありました。
◉JA(農協)から茨城の有機栽培に格闘された茨城の秋山組合長
「JAもオーガニックでなければ生き残れない!」
「全部でなくても販売部門の一部は有機化するべき。」
「JAも郷土を守る気持ちがなければダメだ。」
◉いすみ市職員、実施担当者の鮫田晋さん
「大切なことは、地域に対立軸を作らないこと」
「優れた事例に学ぶこと」
「市民の立場で優れた人と手を結ぶこと」
◉東京大学大学院、鈴木宣弘教授
「子ども達を守るとは、洗脳されやすい国民から脱却することを指す」
「来るべき食糧難に備える段階」
「決して、多国籍企業の実験体になるなよ、子供たち!」
◉PARC、共同代表理事 内田聖子
「学校給食を、再び公営に取り戻すことは」
「新自由主義経済理論から、地域経済と地方自治を取り戻し」
「教育の権利保障、貧困と格差を乗り越える術となり」
「失われかけた公共の概念を再生する事にも繋がります。」
有機食材での給食という企画は、非常に急がれる今日的な話題なのです。なぜなら、現在の日本には喫緊の課題があります。いえ、日本だけでは無いのですけれども・・・。それは昨今、アトピーやアレルギーに苦しむお子さんや、自閉症や発達障害と呼ばれるお子さんも増え、親御さんに大きな育児の苦労や悲しみを与えていることです。意外と良家の子息にこれが多いことも特徴で、省庁職員や政治家自身も、家庭で悩みを抱えているという話が少なくありません。
化学物質が代々臍帯に溜まり、生まれながらにアレルギー体質で生まれてくるお子さんも多いです。お母さんが妊娠前からデトックスを努力しなくてはいけない、と言うのはよく言われるものの、育つ過程で子供が不調に陥って行くのに我慢もならず、原因追求するのも、同調圧力から難しかったりします。
その昔、クミチャンネルにもご出演いただき、お話し下さっていた山田正彦さん。農業への所得補償を行なっていた大臣であり、自身も口蹄疫に苦しんだ酪農家です。日本の第一次産業、医療、検疫、多くの公的機関を破壊する、TPP等の「自由貿易協定の闇」を追求する裁判チームを率い、細則に於いて破壊される国が国民を守ろうとする権利全般において、注意喚起を行ってきました。
世界勢力の目論見は大きく、水の支配・種の支配・医薬品による命の支配、という三要素が自由主義経済の覆面を被って国内に到達する体裁をとると言われ、TPPにおいてあらゆる面で不利に置かれる日本の農政立場を説明するのに、「体に良い作物を作る権利」というものを、身近で喫緊の題材として扱ってこられていました。
ある時、強く勇気付けてくれるママさん達の話が米国から飛び込んできて、山田正彦さんは思わず現地に飛んでいきました。自身の子供の「自閉症」症状に疑問を持ち、農薬のグリホサートの弊害を突き止めて、子供に食べさせる食物を有機野菜に絞ると良化することがわかり、これを全米の母親に呼びかけ、有機野菜の定額購入運動を展開し、成功させた、ゼン・ハニーカットさん達のことです
その悩みに対し、医食同源としての有機米や有機野菜などが、症状の緩和や、治癒解決への大きな助けとなるとのことで徐々に認知されて来たことが、このオーガニック給食フォーラムの取り組みを広げる大きな原動力となって来ました。
彼女は夫や友人に協力を仰ぎ、全米を回って呼びかけを開始したのです。「買い手が現れれば、需要が増えれば、市場は変化し、有機野菜を栽培する人が増える!」このことを信じて、好循環を作り出して行きました。それが成功して行ったのです。
子供の自閉症や皮膚病を治すには、無農薬の野菜というだけではダメで、NON GMO(遺伝子組み換え野菜の拒絶)も必要でした。彼女達は、商品にNON GMOを示すステッカーシールを作り、米国中の国民に、これを周知していったのです。
今や、GMO野菜は本国アメリカを追い出され、新たな市場として、日本への輸出販路が拡大しつつあったのでした。日本では今後「遺伝子組換えではない」という表示ができなくなります。米国アグリビジネスの大企業の利益のために行政が歪められ、国民の健康を守ろうとしたこの表示制度が撤廃されることになっているのです。自由貿易協定とは、そのように利益至上主義で「正義」が通らない契約なのです。
山田先生はラウンドアップの散布による皮膚癌を訴えた男性について、モンサントとの裁判に勝訴したケネディ弁護士にも会い、そして日本へゼン・ハニカットさんを招き、日本の親御さん達に向けた講演会を行いました。
アメリカの大規模農業では、本来、天日干しをしてから脱穀すべき小麦に対し、そのプロセスが面倒だからと、空から枯葉剤を撒いてカラカラにして収穫していたのです。これをポストハーベスト小麦と呼びますが、従来の農薬では考えられないほどの毒素を穀物に蓄えてしまっていたのです。
アメリカからの輸入小麦を使用した日本の食品はとても多いので、今では大抵の日本人の毛髪から、この脳神経に危険な毒素、グリホサートが検出されるような事態になっています。こう言ったことに気がついた消費者は国産小麦を利用するようになって来てはいます。
しかしいまだに日本は、大手の製粉・製菓・製パンメーカーが米国の小麦を受け入れ、商品を製造し、そればかりか、日本のホームセンターでは堂々と、除草剤としてラウンドアップが販売されています。
ポイントは、有機野菜の購入者・消費者を増やせば、有機野菜を作付けしてくれる農家は増える、ということです。しかし、日本でこれをやるのに、一番効果的なのが、学校給食ではないかということになって行ったのでした。なぜでしょうか?
有機農業はコストや手間がとてもかかる上に、元々は自民党の利権として農薬使用が奨励されてきたこともあり、有機栽培農家が、近所の慣行農業者や農協から嫌がらせなどの圧力を受けるという慣例も日本には多くありました。
また、現在のままでは有機野菜は価格が高く、富裕層だけのものになってしまいます。しかし給食となると、話は一気に普遍的になり、正当化されます。発注量も多いため農家は採算が取れ、価格も安定してきます。利用者もその良さを知って家庭で調理する野菜も変えていくなど、今後の販路の広がりも見込めます。
有機野菜の定義としては、農薬を使わない、だけではありません。ゼン・ハニカットさんたちが運動したように、治癒のためには「NON GMO」、遺伝子組み換え食物も使わないことが鉄則です。ゲノム編集もいけません。
子供の体や脳神経を治癒し、守ることのできるのは、神の創造物だけです。この大会で、食の安全超党派議連の代表である川田龍平議員は、こう宣言しました。
「安全な食を求める時、今後は必ず、種の問題を考えていかなくてはなりません」
さて、最後に、
失敗のない有機栽培方法、その技術が必要です。
昨今ウクライナ危機により、化学肥料の原料の輸入が難しくなっていると聞きます。よく考えてみたら有機農業は、日本人が日本人であることを生かして、その材料が身近にあることを再認識できる、運命的な機会ともなっています。
今すぐに、化学肥料の原料が入ってこなくなったとしても、この集会の資料で紹介された、いくつかの機関を当たれば、1年目から発酵土壌における、免疫力の強い穀物や野菜を栽培することが可能なのです。
私達日本人の知恵、江戸時代までに大成された技術を使い、このハードルを乗る越える事ができるようです。。。
というのは、既存の農と食の循環の中で、大豆カス・籾殻・米糠、から肥料に必要な「窒素」「カリウム」・「リン」が採取できる事がわかっています。政府が手を添えれば、十分に活用可能な肥料産業となるでしょう。
国内の研究所には更に、微生物や虫や雑草やの特徴的な生育性質を生かした失敗の少ない有機農作の研究成果もあります。
田植え前の代掻きの際に、糠やモミで土壌を発酵させるのも、冷害や虫や病気に負けない丈夫な稲作の条件になっています。深く水を張って浮き草などに太陽光を遮らせ、雑草対策もしながら、一本の成苗を丹念に生やした方が、収穫量も多いのです。切り株の直径は15cmにもなります。
川田龍平事務所が、稲葉光圀さんの教えを動画で見れるようにUPしています。
https://youtu.be/4_95vIoV_OA
一方畑でも、糸状菌(菌根菌)を使って空気中の窒素を土中に固定する方法、あらかじめ諸条件で菌発酵の盛んな土を作り、その土地に生えている雑草を寝かせて土を温め保護しながら、丈夫で美味しい野菜を栽培する方法を伝授している先生がいます。(長崎県佐世保市 吉田俊道さん)
【農業法人(株)菌ちゃんふぁーむ】
https://kinchan.ocnk.net/page/6
微生物や虫や雑草をうまく扱い、農作物や食事にに良結果を引き出すのは、我々、日本民族の太古の昔からの、得意分野なのです。
▼参照番組(NHKオンデマンド)
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2022122221SA000/?capid=nte001&fbclid=IwAR02DRdXSCNSSiEhHN8Xi4knlBkKH2bcjdELHBeiP33Y_0wBT4GWFvamOjA