新聞の価値を高めるには、他紙に先駆けて特ダネを打つことである。しかし、捜査機関が報道発表以外の情報を出すことは守秘義務に反する恐れがあり、基本的に口外しないので、独自ネタを掴むのは中々困難だ。そんな中ででも、担当記者は取材先と様々な手法を使って必死に人間関係を築き、ネタを引っ張り出してスクープ記事を生み出す。 今回話題になった東京高検検事長の賭け麻雀問題で、朝日と産経新聞の記者が卓を囲んでいたことが明るみになった際、オレは善悪の判断よりも先に、検事長と麻雀するくらいの食
自分は石川県に生かされている。 穏やかな元旦の夕暮れのひと時を直撃した能登半島地震。それから日が経つごとに、その思いは深みを増している。 学生時代にバカをやって過ごしたツレは七尾と金沢の野球小僧。 氷河期と称された就職活動を乗り越え、入社したのは石川の地元第一紙。 そして、現在の旅行業務で和倉温泉をはじめとする北陸の温泉旅館を紹介するチラシを北陸三県の地元紙に折り込み、電話で同地域の顧客とやり取りをし、旅館を手配してご飯を食べている。 今年も3日にチラシ折り込みを予
先日、ライターとして、伝わる文章の書き方について講演した(内向けではあるが)。 新聞記者と現在のwebライターとの経験から自分自身で編み出した内容であり、一般的な文章術全てを触れている訳ではない。文章を書く時に気を付ける部分を挙げている。 しかしながら、素性も実績もよく分からないwebライターが、SNSで主張する文章術よりはまともだと考える(情報商材ぽいのもあるので)。 その講演で使用したレジメを加筆修正し、ここに記しておきたい。 1.文章全体の構成方法について ➀伝えた
「お前は絶対に、もの書きになったほうがいいって!」 2004年6月。 新聞社を辞める際のあいさつ回りで、当時の学芸部長から言われた一言。 そのつもりでは、あった。 辞めた直後は大手新聞社に転籍しようとしていたが、激務からの解放感でモチベーションが上がらない。そもそも高学歴が多数を占める新聞という業界で、Fランク大卒のオレが採用されたのは奇跡だと自覚していた。 仲の良かった他社の記者の紹介で中途採用試験を受けたが、ろくにテストの小論文も書くことができずに不採用。そのうちに富山を
「よお、あの猪木がついに引退だってよ。」 1998年春。 愛知県豊田市のBOOKOFF。 大学生となって 愛知で初めて アルバイトにありついた職場で 古本の研磨作業をしていたボクは、パチンコ屋のバイトと兼業しているフリーターの先輩に、そう話しかけられた。 「へええー。そうなんですか」 (富山はテレビ朝日系列放映されてないからさ、新日本プロレスのこと言われても分かんないんだよっ) と思いつつそっけなく返す。 「ええっ!引退だよっ!なんとも思わないの?」 キラキラした目でこっ
9月26日に観光庁より正式に国内の旅行割引「全国旅行支援」が発表された。 だが、報道発表資料から判明しているのは、 ①実施期間は10月11日~12月下旬 ②宿泊を伴う旅行の割引が5000円を限度に最大40%割引 ③交通を伴う宿泊旅行の割引が8000円を限度に40%の割引 ④旅行先で買い物等に利用できるクーポン券が平日は3000円、休日は1,000円付き という点のみ。 マスコミの先行報道では「取り直しなどの混乱を防ぐため、現時点で対象期間内の予約済のものは割引を適用する」と
梅雨入りとは何だったのか、と気象庁ならびにメディアに問いたくなるようなピーカン晴れの6月下旬早朝、とやま観光塾の特別研修に参加するため、オレは背中に汗をにじませながら富山駅の構内をひたひたと歩いていた。引きずっているキャリーケースのゴロゴロという音が、添乗であちこち行ってたコロナ前を思い起こさせる。 集合場所の富山駅北のバス乗降場に到着し、乗務員にあいさつすると、久しぶりの顔に出会えた。 バスガイドのふくちゃんだ。 個人的には富山県でナンバー1のバスガイドではないかと思
全国旅行割引支援の話でも書こうかと思い立っていたが、6月下旬より新型コロナウイルスの増加が報道されはじめ、本来ではあれば7月14日から開始予定だった旅行割引が延期となってしまい、書くタイミングを逃してしまった。 現在は旅行割引を話題にすることすら憚れるほどに、テレビやネットメディアはポーカーゲームのダブルアップのように倍々に増加する感染者の「数」をフォーカスして連日報道、ここ2年半で何度も繰り返されている重苦しい雰囲気が漂っている。 こうなると、外出も各々制限するようにな
富山市の初夏を彩る風物詩といえば、6月1日に開催される日枝神社の春季例大祭「山王祭」である。 「山王さん」という呼び名で富山市民に親しまれている祭には、毎年700を超える屋台が日枝神社を中心に総曲輪、西町、中央通りなどに軒を連ね、同市中心街は浴衣を着た人や学校帰りの小中高生、親子連れなどで賑わう。 と言うか、ごった返す、が正しい表現か。 日中は中心部各商店街の神輿が街を巡行、威勢の良い掛け声で神輿を引きまわし、祭のボルテージは否応なしに高まっていく。 夕方になると、日
高校の時、オレはコーラス部に入部した。 その理由はただ、オレはオレの野望、欲求のために歌が上手くなりたかっただけだ。 小学校6年生の時、オレは伝説のロックバンドと称される「BOφWY」の音に出会った。 ネット社会の到来なんて想像していない31年前、兄貴がいるという理由で情報が早い同級生が鼻歌で歌っていた「marionette」という曲を聴いてBOφWYに興味を持ったオレは、それなりに小遣いをもらえるようになった中一の春、家の近くにあった書店のCDレンタルで借りたアルバム「L
前回の記事↓ 音楽の聖地への通行券を手に入れたオレたちは、それまでに蓄積された疲れが吹っ飛んだかのような晴れやかな足取りで、徹夜で血走った目をギラギラに輝かせ、ステージの方へ向かって芝を蹴り出した。ちょうど一組目のアーティストのAIRが演奏を開始したところ。空間を切り裂くエレキギターの音が鳴ったと同時に、オレは武者震いを覚え、“音楽フェス”にいる実感が沸き上がってきた。 …という風に行く訳でもなく、AIRを3人とも良く知らないため、「へえ~」や「ほお~」と言いながら遠目か
ロックフェス。 今や夏の風物詩、日本のカルチャーとして根付いた一大イベント。ギラギラに照り付ける日差しの野外で、音という共通項で集まった人たちと、もみくちゃになって汗や泥にまみれながら、会場に響く生の音に熱を上げ、歌い、騒ぎ、踊る。 そのフェスが今年はコロナの影響でほとんど全部取り止め、全トケとなってしまった。 行ったことのあるフェスが中止や延期を発表するたび、開催されない寂しさと、密集密接を禁じられている状況的にどうしようもないという空しさを感じた。と同時に、頭の中に
「コロナで苦境 民泊施設 オフィス分散化 任せて」 「富山の2社 空室生かし 新ビジネス」 6月30日、このような見出しでオレを含む3人の取り組みを伝える記事が地元第一紙の朝刊第四社会面(地域総合面)トップとして掲載された。 記事の中身は、コロナ禍での不要不急の外出制限で客足が遠のいた旅行代理店と民泊業者がタッグを組み、現在空いている民泊施設について、旅行者の宿泊施設という概念を覆し、企業の短期的なサテライトオフィスとして貸し出す、いわばコロナを逆手に取ったプランを作成
何気なくインターネットの通販サイトを見ていたある日、ある画像にオレの心は奪われた。イギリスのサブカルチャーご用達のブランドがデザインした白と黒のチェック柄が入ったポロシャツ。その紋様はスカとパンクロックを融合させた音楽「2トーン・スカ」のシンボルを彷彿させるデザイン。チェック柄の上からしれっと左胸に入るあの月桂樹のロゴ。 いやこれ、シャレオツやん。勝ち組やん。 これ着たらオレ、ロックで天下取れるやん! パンクロックDJヒカルが見たら「チョーヤバイ!」って言われてチヤホヤ
コロナウイルス関連の記事が「クラスター」や「2けた感染」などの文言で不安と緊張を覚えた花冷えする時期を経て、「減少」や「ゼロ」などの前向きなキーワードが目に付くようになった新緑の風そよぐある日、一つの新聞記事の見出しに目が留まった。 「車内で映画楽しもう」 それは、コロナウイルスによる県民の自粛ストレス緩和を目的とした「ドライブインシアター」の開催を伝える記事だった。車の中で外の大画面に移された映画を見ることで、感染リスクを避けながら楽しめるという。子どものころ、昭和
スキー当日、オレは朝5時に家を出て新聞を買うために最寄のコンビニに向かった。抜かれ記事が載っているとされるY新聞を手に取った後、なんとなく怖いので全紙を購入。家に戻りすぐに一面、社会面と紙面を開き、該当の記事がないか全紙を隅々まで確認した。 抜かれ記事はどこにも存在しなかった。 アイツ、適当なこと言いやがって。乱雑に畳んだ新聞をテーブルに放り投げる。心の安定と睡眠時間が奪われたことに憤慨しつつも、身支度を整え次席検事の住む官舎へ車を走らせ、一路立山山麓へ。そのネーミ