皐月十日 旅の記憶その9 芦野公園
さて、いよいよ旅の最終日です。
今日はちょっと忙しくて、夕方までに取材を済ませ、空港に行かなければなりません。
効率よく動かねば! ということで、あさイチで駅に向かいました。
駅はもちろんこちら。
これまたあこがれの津軽鉄道。
しかも桜の季節。
目指すは当然芦野公園駅。
そこにお目当ての人が待っているわけですし。
ちょうど登校時間帯にあたったようで、駅も車内も学生さんでいっぱいでした。いいなあ、この鉄道に乗って通えるなんて。私なんて何の色気もない大阪市営地下鉄でしたよ。今は大阪メトロたらクソだっさい名前に変わっちゃいましたけど。
ま、恨み言はさておき、ここからは美しい風景をお楽しみください。
陶然としました。たぶん、あれは私が生涯見てきた春景色の中でも五指に入る美景だった。
時間がないのはわかっているのに、どうしても足が止まります。いつまでも眺めていたい。そんな風景がここにはありました。
夢遊病者のように園内をさまようことしばし、名残惜しいけれども目的地に向かわなくてはいけません。
私は今、「もっと文豪の死に様」という連載をよみものドットコムでやっておるわけですが、それにこの人物を加えるかどうか散々悩んでいたわけです。で、もし現地で何かいい着想があれば入れようかな~と思って彼ゆかりの地をいくつか回ったわけですが、遺憾ながらいい着想、湧いてしまいました。行ってみて、彼の死について私なりの解釈が生まれてしまったのです。
うーん。入れるつもり、なかったのになあ。
でも、なんというか、ものすごい勢いで「オレ! オレ! オレ入れろ!」って胸ぐらを掴まれたような偶然が重なり、入れないわけにいかなくなったというか……。なんだろう、この人のこの圧の強さ。参りました。
てなわけで、短い時間で金木町の関係施設も周り、分厚い資料も購入したわけです。その顛末はいずれ「もっと文豪の死に様」で書きますので、ここでは省略。
公園以外で一番の思い出といえば、このフライでしょうか。小イカをまるごと揚げてあるワイルドな一品でした。
一旦五所川原に戻り、最近できたという太宰治「思い出」の蔵を見学。こちらは前夜の居酒屋で居合わせた方に存在を教えてもらいました。
ごく小規模な施設ですが、映像資料もあったりして、「故郷の太宰」を知るには見ておきたい感じです。
これで、ようやく予定クリア。あとは一度弘前に戻り、バスで空港へ向かうだけです。
あ、そういえば弘前に戻る前に立佞武多の館をちょろっと覗いて、このように味わい深い佞武多を見学したのでした。
五日間の旅もこれにて終了。どの土地でもよい思い出ができました。
次は取材目的ではなく、ゆっくりと訪れたい場所も多数発見しました。食べられなかった名物もあるし、今からすでに再訪を夢想しております。
北国の春、最高でした。