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【番外編】タイムマシンに乗って昔の博多ラーメンを食べに行こう!
※この番外編は「その②」からの続きです。
(再掲)博士:よし、思い切って本場の博多まで行ってみるか。昔西新にあった「みち」というラーメン屋でな、「メルシー」とはまた違う中毒性があった。ああ、もう我慢できん。では早速1980年あたりの博多に飛んでみるか!
博士:さあ、1980年の博多についたぞ。懐かしくてワクワクするわい。
トシ:でもちょっと視界不良のような気がするけど。
博士:うむ。この過去はワシの頭の中の記憶を投影しておるんじゃ。よって一部は曖昧で、一部はかなり美化されて・・。なにせ今回のタイムマシンの開発は未来に予算をつぎ込んだので、過去は作り込めていないんだ。
トシ:じゃあ早速地下鉄に乗って・・、と思ったら地下鉄は開通前なんだ。
博士:そうじゃな。じゃあ西鉄バスに乗って西新に向かうか。
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トシ:やっと西新についたよ。地下鉄工事の渋滞で移動時間が長かったね。
博士:効率重視の現代とは違って、移動だけでヘトヘトじゃな。
トシ:おお、商店街が賑やかだし、学生街は若者であふれかえっているね。
博士:懐かしいなあ。では、この狭い路地を入っていくぞ。
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トシ:ゲーセンがあるんだ。しかもインベーダー、しかも一回10円!
博士:ギャラクシアンやモナコGPもあるぞ。
トシ:そしてお好み焼きの匂いが・・。
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博士:むう、なかなか目的地にたどり着けんな。この店の一番安いお好み焼きは確か250円で、具材に肉は入っておらず野菜だけだった。ワシは卵入りの300円を良く食べたなあ。当時の物価からしても格安で腹一杯になったもんだ。喫茶店のコーヒーが250円だったから、コーヒーは見栄を張りたい時にしか行かなかった。
トシ:そしてその奥にあるのが・・。
博士:うんうん、ここが紛れもないラーメン「みち」だ!
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博士:「みち」の中毒性の高さは早稲田の「メルシー」と双璧だとワシは思っとる。なにせ博多と全く関係ない横浜のFM局で、「みち」の思い出を30分番組で延々と熱く語り続けたDJがいたくらいだからな。
トシ:よほど美味しかったんだろうね。
博士:金欠の学生は、友達二人でまず一杯だけ頼んで一人目が食べて、替玉で二人目が食べるみたいな事をしていたらしいんだが、優しい店のおばさんは大目に見てくれていたそうだ。そんなエピソードも語っていたぞ。
トシ:まさに人情商店街だね。
博士:ラーメンは一杯250円で当時でも十分安かったけど、さらに学割で220円になったんだ。そして替玉が70円、締めて合計290円で腹一杯になったなあ。食べた後のどんぶりをちゃんと返すのが、学割適用のルールだった。学生街だからか、商店街でも学生を暖かく育てる雰囲気があったよ。
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でも商店街で不審火による火事があって、移転したんだ。地下のスナックみたいなところを居抜きだったのかな。店の雰囲気は変わったけど久々に食べたら味はそのままで感激したよ。やっぱり「みち」は他のラーメンと違う事を確信した瞬間じゃった。そのあと西新とは別の場所に移転して、閉店されたのかなあ。
トシ:じゃあ早速食べましょうよ!
博士:うむ、君だけで行ってくれないかな。このタイムマシンでは本物の「みち」の味は再現できなかったから、昔の博多ラーメンの素朴な味だと思うぞ。ワシは西新商店街をブラブラしてるよ。
トシ:じゃあ、食べた後はその先の店で待ってますよ。
博士:懐かしいなあ、この商店街。昔はリアカー部隊がびっしり出ていて歩くのも一苦労だった。
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https://www.city.fukuoka.lg.jp/sawaraku/t-shien/charm/documents/03nishijinkoukunoshoutengai.pdf
「山路」のグラタンが500円かあ、我々には高値の華で一回しかいかなかったなあ。女子は良く行ってたようだけど。あの店もこの店も・・今は無い店が多いな。一軒づつ見ていきたいが、全く時間が足りん。まあ、今でも博多に帰ると行きたい店が多すぎて、いつも制覇できないからなあ・・。
トシ:お待たせ。「みち」のラーメン、博多ラーメンの原点のようでホントに美味だったよ。
博士:そうかい、それはよかった。今回のタイムトラベルにあたっては、事前に「みち」の味に近いラーメン店を探して食べ歩いたんだが、もう「無いものねだり」は止めることにするよ、ワシは。
トシ:ところでこの今川焼、ボリュームがあっておいしいね。
博士:そうじゃろ!蜂楽饅頭と言ってな、この当時で一個50円だな。夏はかき氷もあるぞ。
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トシ:おっ、新聞が置いてあるな。まだ年金不信論は目立っていないか。
博士:1980年あたりはまだそれほどでもなかったかな。まず70年代は人口が多すぎることが重要なテーマで、老後のことを考える真剣度合いも今より低かった。平均寿命も今より短かったしな。その後1985年には基礎年金導入などの改正になる。
トシ:では博士、次の店にいきませんか。
博士:うむ。ラーメンに限らず行きたい店や場所は一杯あるが、段々マニアックな内容になってしまいそうでな。名残惜しいが、そろそろ現代に戻ろうか。
(その③へ続く)
(マネーリテラシー総研 代表 尾崎 哲郎)
※この話はフィクションです。
※冒頭の写真は久留米のラーメンです。シンプルで美味でした。
※ラーメン「みち」に関する情報や写真などございましたら是非コメントをお願いします。「みち」の味に近いラーメン店情報も是非。