認知症とお金の深刻な問題 1
1月6日、米食品医薬品局(FDA)は、エーザイとアメリカの製薬会社バイオジェンと共同開発された認知症の進行を遅らすことができる新薬「レカネマブ」を承認したと発表しました。
認知症は高齢化が進む世界で経済的にも大きな影響を与える病気です。
認知症は、老化などによって認知機能が低下し記憶障害や徘徊(はいかい)、妄想などの症状が出ると言われています。アルツハイマー病や脳血管性、レビー小体型などがその原因と言われています。認知症は、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。
アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多く、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきる認知症です。次いで多い血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によっておきる認知症です。
初めは、老化による単なる物忘れと考えられますが、徐々に仕事や家事など普段やってきたことで何かが違うなということが現れ始め、その後お金の勘定ができなくなる、慣れた道で迷う、話が通じなくなる、憂うつ・不安になる、気力がなくなる、現実には見えないものが見える、妄想が出てくるなどと症状が深刻さを増してきます。
これらのサインが出てきたときには、早期に専門機関に相談することをお勧めいたします。
認知症患者は世界で5000万人強いると言われ、日本では2025年に700万人以上が認知症になるともいわれています。
認知症で最も厄介なことは、生活が一人では難しくなることです。
日常生活で様々な問題が生じますが、中でもお金の取り扱いができなることが、周りの家族にも大きな問題となります。
認知症の人によくある金のトラブルには以下のようなものがあります。
お金の管理が正しくできない
オレオレ詐欺などに遭いやすい
患者さんのお金に関する被害妄想が激しくなる
銀行口座や証券口座が凍結されてしまう
お金の管理が正しくできない
認知症になると判断力が低下し、計画性のないお金の使い方をしてしまいます。周りから見てもなぜ同じものをいくつも買うのかなど、理解できないことが起こります。
また、計画性がなくなるだけでなく、ものを買うという欲求をコントロールすることができなくなることがあります。
オレオレ詐欺などに遭いやすくなる
認知症になると判断力が低下します。いわゆるオレオレ詐欺や振り込め詐欺など相手の言動や行動が正しいのかどうか、判断する力が低下します。普通の状態ではなぜひっかかるというような簡単な詐欺などにも容易にひっかかります。
お金を取られたと被害妄想する
被害妄想は認知症の人に見られる周辺症状のひとつです。
被害妄想の症状が出てくると、現実には被害を受けていないのに被害を受けたと錯覚してしまいます。
たとえば、お金を使ったことを忘れてしまい、誰かにお金を盗まれたと思ってしまうようなことが起きています。
また、家族にお金を使いこまれたと思い込み、周りの家族を攻撃することもあります。
銀行口座や証券口座が凍結される
銀行や証券会社は口座の名義人が認知症だと分かった場合、口座を凍結します。その理由は詐欺や意図せぬ支払いを防ぐためです。
それらの口座が凍結されてしまうと、原則介護費用などの支払いまでできなくなってしまいます。
ただし、後にふれる様々な方法を使うことで、口座にあるお金を利用できるようになります。
(以下 次回へ続く)