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下落相場でもリターンを稼ぐ!ヘッジファンドを支える3つの柱
こんにちは、金融ブロガーの本郷マサシです!
みなさんは、ヘッジファンドについてどんなイメージを持ってますか?
「全く知らない」「名前ぐらいは聞いたことが…」という方が大部分かもしれません。そもそも、身近に「ヘッジファンドで働いている知人」っていないですよね。
メディアから伝えられる情報は、弱った会社を食い物にしたり、株を買い占め無理難題を要求したりするネガティブイメージも少なくありません。
ヘッジファンドに対する先入観の中には、誤解に基づくものが少なくありません。たとえば、「ヘッジファンド=富裕層御用達」といったイメージも根強いですが、ヘッジファンドの資金は、世界中の退職年金基金など機関投資家によるものが大きなウエイトを占めています。つまりヘッジファンドは、わたしたちの退職金を運用してくれているわけです。
僕のコラムでは、ヘッジファンドの実情についてわかりやすくお伝えしたいなと思っています。第1回の今日は、ヘッジファンドの運用手法をお教えします!
◆ヘッジファンドが目指す「絶対収益」とは◆
日本でも、ヘッジファンドは運用業界において認知度を高めつつあります。上場企業で働く社員の退職金原資を運用する「企業年金基金」も、かつては信託銀行・生保に資産の大部分を委託していましたが、ここ数年はバランス投資の観点からヘッジファンドのウエイトを高め、現在では資産の5%、5000億円強の運用資産を委託しています。
基金がヘッジファンドに委託する目的は、「安定的な絶対リターン」つまり相場に影響されないリターンの確保です。基金運用で損が出たからといって、企業は退職金を減らすわけにはいかず、自己資金での補填を余儀なくされます。だからこそ、安定した利益が大切なのです。
株式運用を受託する信託銀行は、一般的にTOPIX(東証株価)やS&Pをベンチマーク(指標)として、これを上回ればOKとする運用成績をめざします。裏を返せば、TOPIXがマイナス10%の場合、運用成績がマイナス8%でも合格ラインなわけです。
一方でヘッジファンドは、相場の好不調にかかわらず、常に安定したリターンを維持します。では、なぜ相場(とくに下落)の影響を受けずにすむのでしょうか。
◆絶対収益を支える3つの柱◆
絶対収益を支えるのは、空売り、レバレッジ、そして成功報酬制の3つとされています。
(空売り)
株の世界では、手元にある株を売ることを「現物売り」と呼びます。一方で、先物や信用取引を利用して手元に株が無くても売ることを「空売り」と呼びます。
現物売買では株価が上がった時に利益が出ますが、空売りは逆に株価が下がった時に利益が出ます。
相場が落ち込んでいるとき、現物売買だけでしのごうとすると、いったん持ち株のポジションを現金や国債などに換えて嵐が過ぎ去るのを待つしかありません。
ところが空売りを使えば、相場下落の局面が「大きく稼ぐ」チャンスに変わります。ポンド通貨危機時のジョージ・ソロスや、サブプライムショック時のジョン・ポールソンなど、ヘッジファンドは空売りを駆使して10億ドルを超える利益を手にしています。
(レバレッジ)
レバレッジを利用すれば、少額の資金で多額のポジションを張ることができ、その分だけリターンも増幅できます。
相場が急落すれば荒稼ぎするヘッジファンドですが、緩慢に株価が上昇傾向にあるような「適温相場」は苦手です。現物持ち高によるリターンを空売りによる「ヘッジコスト」が圧迫してしまうからです。
そこでヘッジファンドはレバレッジを活用し、「平時」のリターンを膨らませます。このような多用な手法が取れるからこそ、ヘッジファンドは相場上昇時も下落時も安定して稼ぐことができるのです。
(成功報酬制)
さて、最後は手数料の話ですが、投資信託の場合、手数料は預かり資産残高の何%といった形で決まり、運用成績とは関係ありません。
一方でヘッジファンドの多くは成功報酬制を採用し、獲得したリターンの20%前後がヘッジファンドの取り分とされています。頑張った分だけ報酬につながるだけに、ヘッジファンドマネージャーは利益獲得に強いインセンティブが働くのです。
みなさん、ヘッジファンドについてなんとなくイメージがつかめたでしょうか。今後は不定期でヘッジファンド列伝、アクティビストとヘッジファンドなど、さまざまな切り口でお伝えしていきたいと考えています。
また下記記事では僕マサシがおすすめする優秀な国内ヘッジファンドを紹介しています。気になる方はチェックしてみてください!
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