【第二言語習得理論】デュアルプロセス理論から学ぶ英語習得-③テクニック編-
こんにちは!
MONEY ENGLISHコーチのFumikiです!
今回はデュアルプロセス理論(二重過程理論)から学ぶ
英語習得、テクニック編です!
まだ、前記事を読んでいない方は下記からチェックしてみてください。
https://note.com/money_english/n/n13ea0d7247a1
https://note.com/money_english/n/n41d151d3ffce
前回の大枠編では、デュアルプロセス理論の大事な2つの要素システム1&2を学び、記憶の構築編では記憶のメカニズムについてみていきました。
第1弾大枠編では、
システム1は無意識下で記憶を使いあなたの毎日の行動や思考をサポートし、
システム2はそのシステム1のサポートを利用しつつ意識的に新たな問題や複雑な考えを解決する機能でした!
そして学習の流れは
理解(システム2)→練習→記憶の定着/慣れ(システム1)→内容レベルアップ
でしたね。
第2弾、記憶の構築編では
記憶には3つの柱があることを説明しました。
・エンコーディング(暗記)
・ストレージ(短期記憶・長期記憶)
・リトリーバル(想起)
効果的な記憶法は
関連性を広げた暗記&定期的な復習
2つの記事を合わせてみると
理解=エンコーディング
練習→定着=ストレージ(短期記憶→長期記憶)
慣れ=リトリーバル
これらの英語学習サイクルがあり、
最終的な内容のレベルアップに繋がっていましたね。
そして今回の記憶のテクニック編では皆さんの1番の悩みである
「単語の暗記にすごく時間がかかってしまう!」
「せっかく暗記したのにすぐ忘れてしまう!」
「なかなか学んだフレーズ等が定着しない!」
上記の悩みに使える実践的なテクニック6個を解説し、
効果的な暗記&復習方法に磨きをかけていきたいと思います。
全ての記事を読んで頂くと、
記憶を利用して英単語&フレーズを効率的に覚えて忘れなくなる学習法を導き出せるようになります!
この記事では英語を学習する上で効果的な6つのテクニックを紹介していきます。
ミニテスト効果
まず1つ目はミニテスト効果と呼ばれるものです。
ミニテストとは学校で行われる中間試験や期末テストとは違い、
トピック毎に受けていた小テストのようなものをイメージしてください。
初めて学んだ知識というものは、
まだ長期記憶のストレージには入っていない状態でしたね。
その出来立てほやほやの知識を長期記憶のストレージに入れる助けになるのがミニテストなのです。
ミニテストは定期的に行うことで、
情報が短期記憶から長期記憶への定着を促すことができます。
更には、学習内容が定着したかどうかを確認することができる利点があります。(要するに、情報がシステム1に入ったかどうかを確認できます)
確かめ方の例はいくつかありますが、以下が例になります。
〇英語の基礎
単語・発音:意味がパッと出て、発音が聞けるか / 言えるかテスト
文法:英訳できるか、日訳できるかテスト
〇4技能(読む・書く・聴く・話す)
リーディング:長文をどのくらいの速さで読めるか、意味がどれくらいわかるかテスト
リスニング:一度でどれくらい音が拾えたか、どれくらい意味がわかったかテスト
ライティング:文法的なミスがないか、言いたいことはどれくらいの速さでかけたかテスト
スピーキング:文法的なミスがないか、言いたいことはどれくらいの速さで言えたかテスト
ミニテストの内容、目標は個人で異なりますが、
・手持ちの教材にある問題などを利用すること
・手軽に出来る頻度で定期的に実施すること
この2点を意識すると続けやすいです。
スペーシング
2つ目のテクニックはスペーシングです。
「スペーシング」とは学習するトピックを短期間で学ぶのではなく、
そのトピックを分割し、長期間にわたって学習するテクニックです。
分割して長期間で1つのトピックを行うことでそのトピックの知識に触れる回数が増え、覚えたい情報の長期記憶への定着をより効率的にします。
例えば・・
過去完了の文法を1日で詰め込むのではなく、週2回の1ヶ月で終わるようにトピックを分けて取り組む方が、過去完了のコンセプトと会う回数が増え、理解を深めることができます。
長期記憶において大切な復習も兼ねることができます。
インターリービング
3つ目のテクニックである、インターリービングは1つの学習に際して、取り入れ得る要素やスキルをいくつか取り入れるテクニックです。
あまりイメージがつかないかと思いますので、例をいくつかあげます。
単語の勉強の際に、
例えば、単語帳の赤シートで隠しながら覚えるという作業だけに閉じず、
・発音の確認する
・例文を読んでみる / 聞いてみる
・単語を使って一言スピーキングしてみる
のように様々な角度からその単語を覚えてみると良いよ!ということです。
他の例で言うと、1つの文章を音読をする際にも他の4技能と基礎を関連づけて学習を行えば、
・まずはリスニングしてみる
・スクリプトをリーディングしてみる
・わからない発音や単語、文法は調べる
など様々な要素を1つの学習に入れることが出来れば、長期記憶に定着しやすいということですね。
長期的記憶の特徴である
「主に関連性で情報を探す」という事項とリンクしていますね。
1つの学習事項・学習方法に内容を閉じず、いつでも様々な角度から関連性を持たせて学習することがインターリービングで大切な意識になります。
スキーマ
さて、4つ目はスキーマと呼ばれるテクニックです。
スキーマとは、
人間が経験の積み重ねにより獲得する、外界を限られた情報から理解するための枠組みのことをいいます。
「黒と緑のストライプ柄で、果肉は赤色で、夏といえばのフルーツ」という情報を提示されるだけでも「スイカ」を連想できるのは、スキーマが形成されるているためです。
英語学習で言うと、
・単語の頭に"in"と書いてあったら、何かを取り入れたり、中に入れるという意味の単語かな?
のように、スキーマとは色々なものにまつわる一般化された連想イメージの枠組みのようなものです。(スキーマは概念や定義が難しいので、ざっくりで理解しておいてください)
何故このスキーマが重要かというと、
スキーマに当てはめられない物事を覚えたり使ったりすることはとても時間がかかり、苦労することが多いからです。
例えば、熟語の暗記のシーン。
run on - 長々と続く
という意味があります。
何故、run onで長々と続くなんだ!脈絡が無いじゃないか!と思うわけです。色々と調べていくと、動詞+on の組み合わせには、動作が続くというようなニュアンスがあることが分かりました。
そこで、
carry on
新しい熟語に遭遇しました。
この熟語が初見でも、carryしてonということは、
carryする状態が続くということかな?と動詞+onのスキーマから連想出来るわけです。
carry(運ぶ)+ on = 運び続ける?的な感じの意味だろうか。と推測が立ちます。
そして、意味を見てみると、
carry on - ~を引き継ぐ と書いてありました。
「なるほど、運び続けることで、何かを誰かに引き継ぐのね」
これが、スキーマがある状態でのエンコーディング(暗記)です。
スキーマがあるのとないのでは、carry onという熟語の定着率が多分違うのだろうというイメージは沸いたのではないかと思いますが、これがスキーマです。
このように、新たな情報を学んだ時に、その情報が既に自分の中に存在しているスキーマにはまらないと入りづらいということです。
スキーマを増やす為には、たくさん英語に触れて、その法則性を理解することが重要です。
大量に触れながら、気になるときは調べつつ、自分の感覚的な法則を見出していきましょう。
ちなみに自分のスキーマが間違っている場合もありますので、新しい英語に触れながら、常にスキーマは見直して修正し、スキーマの改善も必要に応じて行っていきましょう。
要するに、新しいスキーマを増やしつつも、自分の中にある様々な英語スキーマを磨いていきましょうということです。
これが学習・暗記の効率アップに繋がるわけです。
大枠に沿った情報は上手に整理・処理できますが、
大枠と合わない記憶は弾かれてしまう特徴を持っているそうです。
チャンキング
5つ目のチャンキングはシンプルなテクニックですが、すごく効果的です。
前回の記事で、
短期記憶の特徴は
「短期記憶は約7個の情報しか覚えられない」
と紹介したのを覚えていますか?
約7個は少ない数に感じますし、それでは電話番号すら覚得ることができないです。
ここでチャンキングが生きてくるわけです。
チャンキングとは情報を分けてグループを作ることです。
08012768824の11桁の電話番号は
3つに分けて080 1276 8824と覚えると楽ですよね。
このようにグループ分けをしてあげることで
約7つグループを覚えることができ、そのグループに入る情報は格段に増える分けです。
例えば、単語を100個覚える時も、
ランダムに100個を順不同で覚えるよりも、
動詞・名詞・形容詞・副詞、のようにグループに分けて覚えてあげると、少し暗記が楽になるかもしれません。
もしくは、接頭辞(単語の頭について、意味を成す文字)や、語尾形(lyで終わる単語、tionで終わる単語)等でグルーピングしても良いですし、
単語のイメージ(ポジティブ/ネガティブ)でくくって、まとめてその単語群を覚えるも良しです。
面倒な単語の学習は、
ぜひこのチャンキングテクニックを使ってあげてください。
関連性を広げる意味でも
様々なチャンキングを同時に使っていくこともすごく効率的です。
Deliberate practice(意識的な学習)
最後は、かっこよく英語表記。
Deliberate Practice(意識的な学習)です。
メンタル的なテクニックです。
当たり前ですが意識的な学習は、常に目指しているゴールを意識して取り掛かることです。
学習を続けていると最初にあったモチベーションが低下していたり、学習が覚えるだけの作業になっていたりしていませんか?
目標を常に意識することは意外となおざりになっています。
何事も常に目的や目標を意識することが、学習の高い還元につながります。
リスニングを100%聞こえるようになろう!と意識している人の学習と
特に明確な意識をしていない人のリスニング学習は、質と集中度が違いますし、英語力の伸びも変わってきます。
とりあえず、単語を頑張ろう!ではなく、
自分の目標レベルにはざっくり必要単語数がこれくらいだから、これを目指して頑張ろう!等です。
これからの基礎・4技能学習はそれぞれの目標を持ち、学習に取り組む前に1度その目標を意識して取り組むと、これまでのテクニックを最大限に引き出せることでしょう。
まとめ
今回の記事では、記憶に役立つ6つのテクニックを見ていきました。
どれも日常で使っている脳の機能ですが
当たり前にしていることでも、構造を理解して、利用することは大きなアドバンテージになります。
全てのテクニックが、皆さんの学習の効率アップに繋がりますので、
ぜひ取り入れてみてください。
何より今回の3つ記事を読んでいただいて皆さんには今、
「デュアルプロセス理論の記憶を利用した学習を効率的にする手順」
がスキーマとして出来上がっています。
このスキーマをぜひ皆さんの学習の基盤として使っていただき、これからの自身の学習法で迷ったときに頼れるリソースにしてもらえたら幸いです。
MONEY ENGLISH
Fumiki
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それでは、また次回の記事で皆さまに会えることを心より楽しみにしています。
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