中国にとって処理水の安全性が問題なのではない。
巷では日本の水産物の全面禁輸が話題になっています。
そして、多くの方がトリチウムの濃度が安全か安全でないかの問題を議論していますが、安全性については中国は対して大きな問題ではありません。
中国にとっては、水産物の禁輸は外交的なカードとして使用しているだけです。
それは中国にとっては、最近の日本の外交が意に沿わないという根本的な原因があります。
本当に処理水は安全なのか
まず、福島原発の処理水が国際的な基準を通過しているかについて記載します。
世界には International Atomic Energy Agency(以下 IAEA )という国際的な組織があります。この機関の目的は以下のとおりです。
この国際機関はすでに下記のプレスの中で、福島原発から排出される処理水が国際的な安全を満たしていることを発表しています。
放出されている処理水のライブデータも下記のURLから見ることができます。
上記の情報から国際的な機関からは安全性について承認を得ているものと考えます。
何が問題なのか
さて、中国にとって何が気に食わないのでしょうか。皆さんもご存知かと思いますが、台湾の問題があります。この台湾を巡って昨今中国と日本の関係が悪くなっています。
また、中国国内の問題もあります。それぞれ記します。
①日本の外交が米国寄りなため
日本は敗戦からアメリカの同盟国(ポチ)になりました。
日米安保のこともあり、米国寄りになるのは仕方ないことです。
また、地政学的にアメリカにとっても、日本は太平洋の覇権を中国と争うのに重要な位置になります。もし、日本が地図から存在しなければ、アメリカと中国という2つの大国は海を隔てて接することになったでしょう。
そのため、日本はアメリカにとって緩衝国的な役割であり、日本を味方につけることは肝要になります。
緩衝国は大国同士が拮抗し、直接的対立を回避または緩和させる国のことでありますが、最近の日本はアメリカからの圧力からなのか軍事力の強化や台湾問題への積極的な関わりを表明しています。
下記の記事では、日本のお偉いさんが、戦う覚悟を持つことを表明しています。
時は遡りますが、日本の従米的な姿勢について中国の外交トップも「欧米人にはなれない」に牽制しています。
このアメリカ寄りの態度が中国を刺激しているものと考えられます。
②中国の国内問題について
最近のニュースでご存知かと思いますが、中国経済が失速しています。
不動産会社が破綻したり、若年層の失業率が20%を超えていることもあります。
よく使われる手ではありますが、国内の問題の矛先を政府からずらすために海外に目を向けさせるというのは中国がよくやっていたことでありました。
そのため、中国国内のメディアでも原発処理水の問題がピックアップされ報道されているのでしょう。
私も最近語学学習のアプリを使っていたところ、見知らぬ中国人から処理水の問題について罵詈雑言のメッセージを貰いました。(ブロックしましたが)
そのため、若い世代にもこの問題は多く報道されていると考えています。
上記の理由から日本への牽制として、水産物の禁輸が決定したと見られます。今回は水産物の禁輸でしたが、将来的にはあらゆるものが外交のカードとして、使われる可能性があります。
今後どうするべきなのか
今後どのように中国と関わるかですが、この問題については下記の田原総一朗さんの見方が面白かったです。
動画の中で「中国が台湾に武力行使させないためにどうするかを考えるべき」と仰っています。
私もその意見に賛成ではあります。ただそのために、具体的にどのように関わるべきかについては、難しい問題です。台湾との連帯を強調すると今回のように禁輸などの措置を取られます。
ただ台湾問題について無視を決め込むということもできません。なぜかというと、米軍基地は日本に存在していて台湾有事で米国と中国に軍事衝突が発生した場合、間違いなく巻き込まれるからです。
先に述べた通り、中国はあらゆるものを今後外交のカードとして使う可能性があります。習近平政権が続く限りはこのような外交姿勢が続くと見てまず間違いないでしょう。
そのため、あらゆるものが中国の外交のカードとして使われる可能性を考慮した戦略を立てるべきであると考えます。
以上、駄文を読んで頂きありがとうございました。
おまけ
水産物の禁輸は全く想定しなかったそうです・・・
(そこは嘘でも想定内ですと言ってほしかったです)