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読書: #4a 英文詳説世界史 (WORLD HISTORY for High School) | 山川出版社

読書家ぶるつもりはありません。
単なる趣味的規律/ノルマとして 普段から何種類かの本を
分野並行で読んでいます
(集中力を欠く遅読者 を自覚してますので 日々の読了ページ数は
 言わずもがな。。。)

読書の対象分野は 概ね 歴史、地理、外国語(学習教材含む)、時々自然科学系、そして 読まずにいるままの各種物語一般、など。

これらカテゴリの本達を一群にまとめ 外出時はカバンに詰め込み
それぞれを毎日ちびちびと読み進めるのですが、
どこかのカテゴリに硬い内容が含まれる場合は 他のカテゴリに読みやすい内容のものを充当する、といった具合に 遅読者なりに日々の速度バランスを取っています。

そんな中 歴史カテゴリで Peter Frankopan氏によるシルクロード視点から世界を俯瞰するベストセラー  "The Silk Roads"  を読了したので
次の候補を探さねばなりませんでした:

美しい装丁。
古代から富は中東と西アジア地域にありという主張で綴られる歴史観。

Silk Roads was named The Daily Telegraph's History Book of the Year 2015. It went to Number One in the Sunday Times Non-Fiction charts, remaining in the Top 10 for nine months in a row, as well as being #1 in China, India and many other countries around the world, selling more than 2m copies.
It is one of 'ten books that change how you see the world' (The Times).
It was named one of the 'Books of the Decade' 2010-20 by the Sunday Times.

https://www.peterfrankopan.com/

そうだなぁ 次は一部の地域に偏らず 広い地域を俯瞰して 今一度世界史のおさらいをするか と
高校時代にお世話になった 山川出版社の高校教科書『詳説世界史』の英語版を選択しました:

発行部数 = 質 を是とするならば 例えば日本の新聞は、、、、。

実は かなり逡巡しました。

素人の穿った考えかもしれませんが
高校教科書は 歴史がその節目節目にじわじわと展開していく具体的な理由をそう深くは解説していない と想像していたからです。
*高校生当時は今より読解力や集中力が不足していたことも理由なのかもしれませんが。

総じて教科書というものは 国/文科省の青少年教育上の要求水準を満たすよう 極力平板に記述されねばならず 主観的な表現や挿話は意図的に排除しているのかな、 と邪推してしまいます。
今ひとつ 淡々とし過ぎて つまらないかもな と。。。。

例えば『マクニールの世界史』のように著者の強いメッセージや選択的な照明/ライトの明白な当て方により生じる いい意味のアクみたいな要素が
本書からはすっかり洗い落とされてしまっている感じです。
教科書なんだから あっさりした記述でないと 授業に使えないんだよね と言われれば さもありなんですが。

欧米のエリート御用達だそうで。
確かにこれは面白いです。

思い起こせば高校時代:
私が受けた世界史の授業では 歴史を構成する要因が歯車のように噛み合い展開する様子、その理由、関係する諸々を 教科書の記述の補足程度でお茶を濁さず
生徒への質問を通じて生徒自身に考えさせ ユーモアを交え しっかりと説明くれていました。
*担当の川原先生(=戸籍登録時の手違いで ’原’の字の中の '点'  が無い そうで 同時にその希少性をやや誇りにされてました。)、
 万が一この記事をご覧になっていれば お久しぶりです :} 

歴史=事実の集積 ではあるにせよ 淡々としたテキストだけでは腹落ちできないよなぁ、、、 なのでこの教科書をまた温めても、、、と感じる反面、
進路選択の都合で世界史を最後まで履修できず残念で 教科書を通読したい気持ちが残っていました。

そして 「ひょっとして英文なら しかも現在の版であれば 昭和の日本語版とは違い 論理展開の補足も多少は行間に込められてたりするかも? 読み進められるかも?」 と、かなり怪しい論理に基づき 期待してみることにしました。


[最後まで読み終えた印象を少々]

先に挙げた論理展開の懸念については 想像通り 薄味且つ平板な印象でした。。。
でもまあ 豊富な写真や図表にも支えられてますので
特に近現代以前は 全419ページをのろのろ読んだ時間投資への
相応の対価を頂いた気がします。

それはともかく 下記の 余計な雑味/違和感 も同時に感じました:

違和感 その1)
 ちらほら見受けられる誤記

Amazonの本書書評欄に 「歴史的事実に誤謬あり」 との指摘がありますが 自分の見つけたのは 単純な誤字脱字の類です。
印象としては近現代の章あたりから頻度高く目につきますが
出版社のホームページに正誤表の案内は見当たりません。
*読んだのは 2019年9月15日発行 第2版です。

違和感 その2)
 コンマ区切り(punctuation)の位置および必要性

近現代あたりから 必要のなさそうなコンマ が頻出する印象です。
自分が正調の英文に不慣れなのか? 歴史専門書では好まれるスタイルなのか?

例えば:

This resulted in mutual decreases in tariffs, common agricultural policies, and free movement of capital, became possible.

p.383) 最後の capital 後の コンマ は必要?

違和感 その3)
 
読み進めにくい近現代以降の文章

明瞭性が重視されるプレゼン資料等では
並列する事象や概念が多数登場する場合 先ず 幹となる文を書き、
句点で閉じ、次の文に事象や概念を付記すれば 読者は混乱しませんが
本書ではそれらを敢えて一つの文に詰め込んだような記述があちこちにあると気付きます。
軽い法的文書や契約書の類を読んでいるような。。。。

例えば:

In Cambodia, a civil war continued between the pro-U.S. right-wing forces, which had expelled Silhanouk, the head of state, in a coup in 1970, and the liberation forces including the Khmer Rouge, led by Pol Pot.

p.394) between で示す2つの陣営が それぞれ同格の説明要素を伴っている。
一つの文で記述されており 初見で把握しにくく 且つ コンマだらけになっている。 

長く出版してされてきた日本語文を 英語版でもそっくりそのまま維持させようとする意図があるのかもしれません。
ですが 本書で想定する読者は日本語話者ではない、ですよね。
ならば 読者が読みやすいように日本語記述を編集再構成するのが適切ではないでしょうか。

2)3)の類例はもっとありますが 当該箇所を仔細に控えてませんので
いまから本書全体を見返すのは時間の無駄に感じ 気が進みません。。
(といいつつ 暇な時 こっそり例を探して追加するかも。)
英語熟達者の方々に コメントなどでお導きいただければ 有り難いですが。。。


随分長くなってしまいました。
読了後に気づいた もっと楽しい事柄は 別の記事で扱うことにします。

本書の四名の監修者の皆さん、出版社の方、翻訳を手掛けた有限会社ランゲージハウス社さん、
上記 根拠のないクレームかもしれず お行儀悪く恐縮です。
(これらの疑問に解説を頂ければありがたいのですが それじゃぁ当り屋と 大差ないな。。。。)


<おまけ>
こちらの記事に続きます:



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